CO2削減率、国内建設業ではトップクラスに
東急建設株式会社(東京都・渋谷区、寺田光宏社長)は、2023年1月に竣工した(仮称)銀座5丁目プロジェクト新築工事で、低炭素型コンクリート「CELBIC」を初採用し、CO2削減率46.5%を達成した。
プロジェクトを進める中で、より多くのCO2を削減するため精緻な検証を行い、結果として地上躯体中心に30%、その他各所で50%と、高炉スラグ微粉末の使用率を高めた。これにより、建物の品質を損なうことなく、当初の計画を上回るCO2削減率を達成した。
これは政府が掲げる2030年の温室効果ガス46%削減(2013年度比)の目標値に匹敵し、コンクリート材料に由来するCO2の削減率としては、国内建設業界でトップクラスの成果となった。
CELBICは、コンクリートの材料として一般的なセメントの一部を「高炉スラグ微粉末」で代替し、セメントの製造過程でのCO2の排出を削減する低炭素型コンクリート。高炉スラグ微粉末は、製鉄所での銑鉄を生産する際に生成される副産物であるため、これを積極的に活用することは廃棄物の削減や天然資源の使用削減にもつながる。
また、CELBICでは建築コンクリート構造物に求められる所要の品質を確保しつつ、建物の部位により高炉スラグ微粉末の使用率を10~70%の範囲で調整することが可能になる。また、部位ごとに要求される強度発現性や耐久性に応じた最適な高炉スラグ微粉末の使用率の選択が可能であり、建物の品質確保と環境に配慮した施工の両立を実現する。
工事の現在の出資者であるイートンリアルエステート(株)は、環境意識の高い前身の出資者の方針を引継ぎ、環境配慮に積極的に取り組む方針で、東急建設は、同工事では顧客の高い期待に応えるべく、CELBICなどさまざまな提案を行い今回の削減率に至った。
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東急建設は、環境配慮設計による物件運用時の総CO2排出量削減に加え、建築時の総CO2排出量を削減し、同建物のLCCO2に対し幅広く貢献することを目的に、CELBICを初採用した背景にある。
このほか、同工事では、コンクリートのポンプ圧送時に用いられる先送り材に、東急建設開発の「サスタル」を使用するなどコンクリート工事に係るCO2や廃棄物の削減に徹底的に取組んだ。
一般的に、コンクリートの材料に占めるセメントの容積割合は7~20%(その他に水、細骨材、粗骨材など)で構成。セメント製造における加熱工程では1,450度の高温が必要であり、原料である石灰石の熱分解時にも大量のCO2が発生することから、世界の人為的CO2排出に占めるセメント製造による排出割合は5%以上に達し、環境への影響が懸念されている。
この問題認識の下、CELBIC研究会が共同開発したCELBICは、高炉スラグ微粉末の使用率を10~70%の範囲で調整することで、セメント製造に伴うCO2の排出を9~63%削減することが可能。また高炉スラグ微粉末は、製鉄所での副産物であることから、資源の有効活用の側面からも有用なものとして、今後の展開が期待される。
なお、CELBIC 研究会は、長谷工コーポレーション(幹事)、青木あすなろ建設、淺沼組、安藤ハザマ、奥村組、
熊谷組、鴻池組、五洋建設、錢高組、鉄建建設、東急建設、東洋建設、矢作建設工業の13社から構成される。
スーパーゼネコンは除外されてますね