発泡スチロール協会(JESPA、柏原正人会長)は7月11日、霞山会館(千代田区)で記者発表会を開き、発泡スチロールの業界動向や2022年度の協会の活動報告および2023年度の活動計画の報告を行った。
建設業界と発泡スチロール(EPS)は縁が深い。200年もの長期間にわたり断熱性能の劣化が少ない特性をいかし、EPSは長らく建材として広く利用されてきた。とくに海外では容器・包装といった用途を差し置き、建設分野で最も多く利用されているという。日本においても、住宅版エコポイント制度などによりEPS断熱建材の需要が増加しているほか、盛土ブロックをはじめ土木分野への技術開発・転用も進んでいる。
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JESPAは、EPS原料樹脂メーカーのアキレス株式会社、株式会社カネカ、株式会社JSP、積水化成品工業株式会社と、成型加工メーカー119社からなる日本フォームスチレン工業組合の4社1団体で構成される。2022年度はEPS原料の出荷量が対前年比で95.4%(121,808t)と、水産分野や農業分野などの容器用途での需要が減少し、「厳しい出荷状況」(柏原会長)に落ち込むなか、JESPAではEPSの需要創出・拡大を大きな柱に据え、今後、長期使用製品(1年以上使用するもの)の市場拡大に強い意向を示している。
とくに現在、国内EPS出荷量の16.4%にとどまっている建材・土木分野においては、その99%以上が長期使用製品として利用されている。2022年度は、新設住宅着工戸数が堅調に推移し建材用途の出荷量は対前年度比で微増だったものの土木関連では施工遅延が響いて需要減となり、全体としては出荷量が19,949t(対前年度比97.8%)と伸び悩んだが、JESPAでは今後、建設業界に対して長期断熱性の訴求を図り、需要を喚起していく。
具体的な取組みとしては、外装材に木板、付加断熱にEPS断熱建材を用いた充填断熱材併用の30分防火構造の大臣認定を、2020年の軸組み工法に加えて、2022年に枠組み工法でも取得。高断熱仕様の住宅への採用を期待するほか、窯業系外装材や他の外装材の防火大臣認定の準備を進めていく考えだ。

EPS断熱建材を用いた木造軸組および木造枠組工法での外壁構成図イメージ / 発泡スチロール協会