経験則だけでなく、きちんと技術的な考え方に沿って提案ができる素養がある
――技術士を取って、変化はありましたか?
内山さん 当時はまだ地域の建設会社の経営者で技術士を持っている人は少なかったので、名刺を見たときに「えっ!?」という反応をされました。また技術士会という団体があって、そこでいろいろな方々と交流できるので、人脈も広がりました。
当社が施工を受注した現場について、発注者やコンサルと技術的な協議をするときなどは、技術士の資格が役に立っています。相手が、こちら側が経験則だけでなく、きちんと技術的な考え方に沿って提案ができる素養があると認めてくれて打合せに入れるのは大きいです。
論理的な考えに立って協議をする能力は、その現場の課題を技術的に解決するために求められるだけでなく、会計検査などで現場状況が公になった際にも必要とされます。
物事を論理的に考える習慣は、銀行の融資部門に従事した時代に相当きたえられたので、意外なところで役立っています。おかげで、「理屈っぽい」とは言われますが(笑)。
ただ、経営に関して言えば、「論理」だけでは決してうまくいきません。これは自分の経験で学んだのですが、「感性」というものがスゴく大事になってきます。論理は論理で大切ですが、感性を磨く努力も怠ってはいけないと思っています。
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挑戦したことはムダにはならない
――地域建設業の経営者にとって、いろいろな資格を取ることをおススメしますか?
内山さん 正直おススメするかは、ビミョーです。中小の社長は、大手の経営者と違って、基本的に「なんでも屋さん」なので、社員に近い立場で物事を判断せざるを得ないということが、しばしばあります。そういう意味で、地場の建設会社の経営者はその分野の知見を備えるために資格は持っておいたほうが良いとは思います。
ただ、経営者の使命はあくまで経営することであって、資格を取得することではありません。ですから、資格を取ることを目標とすることは本来ではないと思います。
――資格取得に関して、読者にメッセージがあれば。
内山さん 資格を取るにはある程度の時間を確保することが必要です。難しい資格になればなるほど、より多くの時間が必要になります。ただ、仕事をしている人の場合、仕事の時間を放棄して、試験勉強のための時間をつくるのはまったくナンセンスなことです。そこは、仕事をおろそかにせず、短い時間で知識を身に付けるという工夫が必要です。そういうプロセスを経て、人は成長もするものだと思っています。
もちろん、人によってはその工夫の余地もないくらい現場が忙しい状況に置かれている方もいらっしゃいます。そういう方は、事あるごとに周囲に「○○という資格を取りたい」というメッセージは発信し続けておくことをおススめします。必ず、どこかでそんな思いを見てくれる人はいるものです。
気持ちの25%は「一級建築士を取りたい」
――ところで、新たな資格に挑戦するお考えはありますか?
内山さん 私の気持ちとしては、75%は「今回で終わり」です(笑)。
――なぜですか?
内山さん 一言で言うと、時間がないからです。私は、土木建築という本業のほかに、柑橘類「へべす」生産という農業と、園芸用土の製造販売事業も手掛けています。とくにこのところ、海外展開も含めて、「へべす」の販路拡大の仕事がメチャクチャ忙しくなっているんです。今が勝負ドキなので、試験勉強のために時間を割くことは、非常に難しいです。
――残りの25%はなんですか?
内山さん 建築最高峰の資格である「一級建築士を取りたい」という気持ちです(笑)。土木最高峰の資格である技術士(建設部門&総合技術監理部門)は以前に取っているので、土木と建築の両方で最高峰の資格を取りたい、という思いはあります。技術士と一級建築士両方持っている人は、そうはいないので。
――そういう思いがあるのなら、ぜひチャレンジしていただきたいです(笑)。
内山さん 私もトシをとって記憶力だけでなく手を動かす能力も落ちています。ハードルも高いし、いろいろと経営上やりたいこともありますので、今のところ多分ないだろうと思います。ただ。一級建築士を持っていたら「カッコ良いだろうな」とは思いますので、経営者として、現役引退してボケてなかったら挑戦するかもです(笑)。
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