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「インフラ後進県」高知県の土木部長の仕事は、やるべきことが多い

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四国の犬
公開日:2024.02.16
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荻野 宏之さん 高知県土木部長

荻野 宏之さん 高知県土木部長

目次
  1. 日本におけるインフラ整備のラストフロンティア
  2. これからは地震防災の時代だ
  3. 就職氷河期だったので、「じゃあ、公務員でもやってみようか」
  4. 最貧国と言われていたエチオピアで3年過ごす
  5. 道路経験ナシで国道事務所の所長になる
  6. インフラ整備の遅れを挽回する
  7. 高知県発祥の1.5車線的道路整備
  8. 空き家率も全国ワースト
  9. 物事を総合的に見ながら仕事するのが、おもしろい

日本におけるインフラ整備のラストフロンティア

国土交通省キャリア(入省時は建設省)で、現在高知県に土木部長として出向中の荻野宏之さんに取材する機会を得た。

高知県は、全国でも有数の「インフラ後進県(インフラ整備が遅れた県、もっと言えば、インフラ整備を後回しにされた県)」として長らく認知されてきた(らしい)が、南海トラフ巨大地震(の被害想定)を奇貨として、ようやく地震津波対策関連インフラ(高規格道路含む)の整備が進み始めた観がある。そういう意味では、日本におけるインフラ整備のラストフロンティアだと言えないこともないかもしれない。

そういう状況を踏まえた上で、荻野さんにとって、高知県土木部長というポストはどう映っているのか。これまでの経歴を振り返っていただきつつ、お話を伺った。

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これからは地震防災の時代だ

荻野さん

――土木の世界に入ったいきさつを教えてください。

荻野さん 高校生のころから、なにがきっかけだったかは覚えていないのですが、地震防災に関心があったので、防災研究所がある京都大学の土木工学科に入りました。「これからは地震防災の時代だ」という思いがあったので、防災研究所で研究をするために土木を選んだということです。

――大学ではどのような研究に携わりましたか?

荻野さん 大学では、防災研究所で都市の地震防災を研究する研究室に所属しました。卒論は地震発生時の高架橋のシミュレーションに関するものでした。大学院では、GISを活用した地震被害などの分析に関する研究をしました。

就職氷河期だったので、「じゃあ、公務員でもやってみようか」

――国土交通省に入省した理由も「防災をやりたい」ということだったのですか?

荻野さん 私が就活した当時は、民間の採用者数が少ない時期で、いわゆる就職氷河期でした。そんな状況の中、公務員試験に受かっていたので、「じゃあ、公務員でもやってみようか」ということで、入省した感じです。当時は建設省でしたが、政策の上流側の仕事ということで、防災にもかかわれるかもしれないという気持ちもありました。面接時には「道路をやりたい」と言いました。

――最初の配属先はどちらでしたか。

荻野さん 本省大臣官房の技術調査室(現在の技術調査課)で、人事を担当しました。技術系職員の採用面接なんかをやりました。

――その後はどういう職場に行きましたか?

荻野さん 2年目は中国地方整備局の出雲工事事務所(現出雲河川事務所)の工務課に行きました。積算などを2年間やりました。その後は、国土庁に出向して、全国総合開発計画(現在の国土形成計画)に2年ちょっと携わりました。

――道路が出てこないですね(笑)。

荻野さん そうなんですよ。その後の職場を含めて道路は少ないです(笑)。

最貧国と言われていたエチオピアで3年過ごす

最貧国だったころのエチオピアの道路(荻野さん提供)

最貧国だったころのエチオピアの道路(荻野さん提供)

――国土庁の次はこちらに?

荻野さん 外務省に出向して、エチオピアの大使館に書記官として3年間行きました。無償資金協力で道路をつくっていたので、それも含めODAに関連する仕事をしていました。

――希望したのですか?

荻野さん 希望しました。東南アジア駐在のイメージで希望を出したのですが、アフリカ駐在になりましたが(笑)。

――エチオピア暮らしはどうでしたか?

荻野さん 当時のエチオピアは世界の最貧国と言われていて、郊外に行くと、自給自足の生活といった状況でした。なので、駐在員の生活もキビしかったです。生活物資が不足していたので、ヨーロッパなどの製品をなんとか入手しながら、暮らしていました。

あと、標高2400mほどの高地にある国なので、酸素が薄いんです。走ったりするとすぐ苦しくなるので、そこも大変でした。ただ、キビしい環境である分、休暇をたくさんもらえたので、静養を兼ねて、アフリカやヨーロッパといった他国に旅行する機会を得られました(笑)。

道路経験ナシで国道事務所の所長になる

――エチオピアの後は?

荻野さん 国土技術政策総合研究所(国総研)の道路研究室に主任研究官として行きました。当時、道路行政マネジメントという取り組みを進めていて、要するにPDCAを回すというものなんですが、それに関する支援といったソフト的な仕事をしていました。あとは、高速道路の料金設定で交通量をコントロールするといった交通マネジメントの研究にも携わりました。2年いました。

――「やっと道路に来た」という感じでしたか(笑)。

荻野さん ええ(笑)。

――その後は?

荻野さん 内閣府に出向して、PFI推進室(民間資金等活用事業推進室)というところで、PFIの制度設計や自治体支援といった仕事を担当しました。ここも2年でした。その後は、土佐国道事務所の所長として着任しました。

――いきなり国道の現場所長ですか。

荻野さん そういうことになりますね。普通は、本省で道路の係長や、地方整備局で道路の課長を経験してから、事務所長になるのですが、私の場合、そういうのは一切ナシでしたね(笑)。当時は高知東部自動車道や高知西バイパスといった現場が動いていました。ここに2年いた後、四国地方整備局の本局で道路調査官を3年やりました。このポストでは事業評価や啓開計画の検討など、道路関係のいろいろなことをやりました。

――その次は?

荻野さん 本州四国連絡高速道路(本四高速)に出向して、神戸にある本社で企画課長をやりました。全国の高速道路の料金を共通化するという時期で、それを2年ほど担当しました。

そのあと、JICA(国際協力機構)に出向して、東京にある本部で参事役として、主に道路関係のインフラ案件をつくったり、専門家派遣など技術協力のプロジェクトなどに2年ちょっと携わりました。その次に、本省の都市局に戻って、都市政策課都市環境政策室長として、都市環境のほか、リニア新幹線の大深度地下事業の認可に関する仕事もしました。その後、広島国道事務所に所長として2年弱ほど行ってから、今の職場に来ました。

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