建設現場や工場で見かけることが多いクレーンですが、この仕事をするには資格を取得しなければなりません。操作するクレーンやつり上げる荷の重量で、運転士免許・技能講習・特別教育と取る資格が変わります。
建設関係の資格を取るのは大変そうだから、と躊躇してしまう方もいると思いますが、資格によっては2、3日の講習で取得できるものもあります。
この記事では、クレーンや資格の種類と取得方法、資格取得のメリットについて紹介しますので、興味のある方は参考にしてみてください。
クレーンとは?資格についても解説
クレーンとは、「動力で荷をつり上げ、水平に運搬することを目的とする機械装置を指す」とクレーン等安全規則で定義されています。
荷のつり上げのみを行う機械装置や人の力で荷をつり上げるもの、移動式クレーンやデリックはクレーンに含まれません。
クレーンは工場・倉庫・建設現場、デリックは建設現場、移動式クレーンは建設現場や港湾などで使われています。クレーンには用途によって複数種類があり、以下のように分けられます。
- 天井クレーン
- ジブクレーン
- 橋形クレーン
- アンローダ
- ケーブルクレーン
- テルハ
- スタッカ式クレーン
- その他
クレーンの資格について
クレーンの資格は、機械装置の能力や種類によって分かれていて、つり上げ荷重にあわせた資格が必要です。資格の区分は運転士免許・技能講習・特別教育の3つです。
運転士免許は、安全衛生技術センターで行われている学科・実技試験を受けます。合格後は、労働局に免許の申請をすることで免許の取得が可能です。また、実務経験や実技教習、技能講習修了など条件によって学科や実技試験が免除となることがあるため、受験の免除科目も確認しましょう。
つり上げ荷重が重くなるほど作業が危険になるので、危険度にあわせた資格が必要になります。そのため、技能講習の資格があれば特別教育の業務が可能になり、運転士免許があれば、技能講習・特別教育の業務が可能になります。
また、年少者労働基準規則により、満18歳に満たない者のクレーンの運転等の業務は禁止されています。受験資格を満たしていれば誰でも資格を取得することはできますが、満18歳以上でなければ免許証の交付は受けられません。
5種類の運転士免許
免許は5種類あり、労働安全衛生法に定められた国家資格です。すべてのクレーンとデリックを運転できるもの、各種クレーンに限定したもの、揚貨装置を運転するものがあります。
学科試験と実技試験がありますが、実務経験や実技教習、技能講習修了などの条件によって学科や実技を免除できます。
クレーン・デリック運転士免許(限定なし)
つり上げ荷重が5トン以上の各種クレーンとデリックを運転するために必要な資格です。この免許は、すべてのクレーンとデリックを運転できます。
受験条件 | 不要(本人確認証明書の添付は必要) |
試験 | 学科試験(2時間30分)・実技試験
※実務経験や実技教習、技能講習修了など条件によって学科免除・実技免除 |
合格基準 | 「学科試験」科目ごとの得点が40%以上かつ、その合計が60%以上
「実技試験」減点の合計が40点以下 |
受験料 | 「学科試験」8,800円
「実技試験」14,000円 |
実施機関 | 公益財団法人 安全衛生技術試験協会 |
(公益財団法人 安全衛生技術試験協会より引用)
クレーン・デリック運転士免許(クレーン限定)
つり上げ荷重が5トン以上の各種クレーンに限定した免許です。
受験条件 | 不要(本人確認証明書の添付は必要) |
試験 | 学科試験(2時間30分)・実技試験
※実務経験や実技教習、技能講習修了など条件によって学科免除・実技免除 |
合格基準 | 「学科試験」科目ごとの得点が40%以上かつ、その合計が60%以上
「実技試験」減点の合計が40点以下 |
受験料 | 「学科試験」8,800円
「実技試験」14,000円 |
実施機関 | 公益財団法人 安全衛生技術試験協会 |
(公益財団法人 安全衛生技術試験協会より引用)
クレーン・デリック運転士免許(床上運転式クレーン限定)
つり上げ荷重が5トン以上の床上運転式クレーン(床上で運転し、運転する者がクレーンの走行方向へのみともに移動するクレーン)に限定した免許です。
受験条件 | 不要(本人確認証明書の添付は必要) |
試験 | 学科試験(2時間30分)・実技試験
※実務経験や実技教習、技能講習修了など条件によって学科免除・実技免除 |
合格基準 | 「学科試験」科目ごとの得点が40%以上かつ、その合計が60%以上
「実技試験」減点の合計が40点以下 |
受験料 | 「学科試験」8,800円
「実技試験」14,000円 |
実施機関 | 公益財団法人 安全衛生技術試験協会 |
(公益財団法人 安全衛生技術試験協会より引用)
移動式クレーン運転士免許
つり上げ荷重が5トン以上の移動式クレーンに限定した免許です。
受験条件 | 不要(本人確認証明書の添付は必要) |
試験 | 学科試験(2時間30分)・実技試験
※実務経験や実技教習、技能講習修了など条件によって学科免除・実技免除 |
合格基準 | 「学科試験」科目ごとの得点が40%以上かつ、その合計が60%以上
「実技試験」減点の合計が40点以下 |
受験料 | 「学科試験」8,800円
「実技試験」14,000円 |
実施機関 | 公益財団法人 安全衛生技術試験協会 |
(公益財団法人 安全衛生技術試験協会より引用)
揚貨(ようか)装置運転士免許
制限(つり上げ)荷重が5トン以上の揚貨装置を運転するために必要な資格です。
この揚貨(ようか)装置は、船舶に設置されたデリックやクレーン設備のことで、船の貨物を扱う港湾での作業に使います。
受験条件 | 不要(本人確認証明書の添付は必要) |
試験 | 学科試験(2時間30分)・実技試験
※実務経験や実技教習、技能講習修了など条件によって学科免除・実技免除 |
合格基準 | 「学科試験」科目ごとの得点が40%以上かつ、その合計が60%以上
「実技試験」減点の合計が40点以下 |
受験料 | 「学科試験」8,800円
「実技試験」14,000円 |
実施機関 | 公益財団法人 安全衛生技術試験協会 |
(公益財団法人 安全衛生技術試験協会より引用)
技能講習で取得できる3種類のクレーン資格
つり上げ荷重が運転士免許で扱うものよりも軽いクレーンや 、玉掛けの業務を行なうための資格で、講習日数は3日程度が多く、少ない日数で取得可能です。
ここでは、クレーンの中でも技能講習が必要となる資格3種類を紹介します。
小型移動式クレーン運転技能講習
つり上げ荷重が5トン未満の移動式クレーンを運転するために必要な資格です。
講習日数 | 3日間(2・3日目は試験時間を含む) |
時間 | 20時間(学科13時間・実技7時間、試験時間は別) |
受講料 | 3~4万円程度
※人材開発支援助成金を申請する場合は事前に手続きが必要 |
登録教習機関一覧 | 厚生労働省の登録教習機関一覧を確認 |
床上操作式クレーン運転技能講習
つり上げ荷重が5トン以上の床上操作式クレーン(床上で運転し、かつ、運転する者が荷の移動とともに走行時も横行時も移動するクレーン)を運転するために必要な資格です。
講習日数 | 3日間(2・3日目は試験時間を含む) |
時間 | 20時間(学科13時間・実技7時間、試験時間は別) |
受講料 | 3~4万円程度
※人材開発支援助成金を申請する場合は事前に手続きが必要 |
登録教習機関一覧 | 厚生労働省の登録教習機関一覧を確認 |
玉掛け技能講習
つり上げ荷重が1トン以上のクレーン・移動式クレーン・デリックを使用して行う玉掛けの業務を行うために必要な資格です。
講習日数 | 3日間(2・3日目は試験時間を含む) |
時間 | 19時間(学科12時間・実技7時間、試験時間は別) |
受講料 | 3~4万円程度
※人材開発支援助成金を申請する場合は事前に手続きが必要 |
登録教習機関一覧 | 厚生労働省の登録教習機関一覧を確認 |
特別教育で取得できる2種類のクレーン資格
つり上げ荷重が運転士免許や技能講習で扱うものよりも軽いクレーンや玉掛け業務を行なうための資格で、講習日数は2日程度が多く、少ない日数で取得可能です。
ここでは、特別教育で取得できる資格から2種類を紹介します。
クレーン運転特別教育
つり上げ荷重が5トン未満のクレーン(移動式クレーンは除く)を運転するために必要な資格です。
講習日数 | 1~2日間 |
時間数 | 13時間(学科9時間・実技4時間、試験時間は別) |
受講料 | 2万円程度
※人材開発支援助成金を申請する場合は事前に手続きが必要 |
登録教習機関 | 最寄りの教習センターなど実施機関を確認 |
玉掛け特別教育
つり上げ荷重が1トン未満のクレーン・移動式クレーン・デリックを使用して行う玉掛けの業務を行うために必要な資格です。
講習日数 | 1~2日間 |
時間数 | 9時間(学科5時間・実技4時間) |
受講料 | 2万円程度
※人材開発支援助成金を申請する場合は事前に手続きが必要 |
登録教習機関 | 最寄りの教習センターなど実施機関を確認 |
クレーンの資格を取得するメリット
建設関係の資格を取るには建築・土木科の学校へ通ったり、実務経験が何年か必要だったりと、知識や技術が求められることが多いです。
働きながら資格の勉強をするのはかなり大変ですが、クレーンの資格は費用負担が少なく、講習も短いものは2~3日なので、比較的取得しやすくなっています。
また、クレーンは建設現場だけでなく工場や倉庫でも使われるので、活躍の幅が広がりキャリアアップにもつながります。
資格保有者を募集している会社も多いので、ゆくゆくはキャリアチェンジを考えている場合も有利な資格です。
クレーン資格は活躍の幅が広がり、キャリアアップも可能
この記事では、クレーンとは何か、業務に必要な免許や資格・講習について解説しました。
クレーンは、建設現場や工場・倉庫と多様な現場で使われるので、活躍の幅が広がりキャリアアップが可能になります。
クレーンの業務に従事するには、業務にあった免許や資格が必要ですが、種類が複数あるので、自分の場合はどれを取得すればいいのか確認してみましょう。
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ちょっと記載内容が不足している気がします
玉掛特別教育は1t未満ですが0.5t以上。何でも資格がいるわけではないです。
クレーン運転特別教育も床上操作式クレーン1t未満など実務は有資格作業かどうかを判断するのにはもう少し詳しく紹介していただきたいトコロです