浪国は「大規模プロジェクト担当」なので、かなり忙しい
――これだけ大きな事業が2つも1つの事務所で動いているのは、単純にスゴいですね。
中西さん 浪速国道事務所は、全国的にも珍しく、道路ネットワークをつくる仕事に特化した事務所なんです。このような事務所は、私が知る限り、全国でも数か所しかありません。それだけに、かなり忙しい事務所でもあります(笑)。
――でも、なんか楽しそうですね。
中西さん (笑)。仕事の規模が大きいので、かなりやりがいがあります。
「早く開通してほしい」と言われるが、工事の安全確保が最優先
――両事業ともスケジュール的なところは未確定のようですが。
中西さん いつまでに開通するという目標は、今のところお示しできる段階ではありません。「早く開通してほしい」という声は各方面からお聞きしていますが、トンネル工事や軟弱地盤での工事は、難易度も高く、やはり、安全性をちゃんと担保した上で、最速工程で工事を進めるというのが、一番大事なことだと考えています。
淀川左岸線延伸部、大阪湾岸道路西伸部の両事業とも、まだ設計途中なのですが、なにより安全確保が大事ということで、当面はしっかりとした設計を詰めることに注力しているところです。
神戸から奈良に至る広範な事業エリアも浪国の特色?

清滝生駒道路鹿畑西改良他工事 (浪速国道事務所提供)
中西さん 3つ目の事業が清滝生駒道路です。四條畷市から生駒市にかけて国道163号が通っているのですが、これをバイパスする道路です。生駒市内には学研都市があるのですが、ここへの研究機関などの集積が進むと、交通量の増加も予想されるので、それを見据えたバイパス整備になります。
――素朴な感想ですが、神戸から奈良に至る事業エリアというのは、かなり広いですね。
中西さん 様々な経緯があったと聞いていますが、おっしゃる通り広いです(笑)。
けっこうウケが良いYouTubeチャンネル「Namikoku CH」
――話はガラリと変わりますが、浪速国道事務所ではYouTubeチャンネルにかなりチカラを入れているようですが。
中西さん YouTubeチャンネルの「Namikoku CH」は、前任の所長のころからかなり力を入れており、私が所長に着任したときから、「この流れを途切れないようにしよう」と考えていました。
前任者のころは、職員にフォーカスしたものが多く、自転車に乗ったり、執務室の雰囲気(昼食時の様子など)をアップしていました。私が着任した後は、職員が現場で行っている監督業務や、広報イベントなどの紹介に取り組んでみてはどうかと提案し、皆さん楽しんで動画を作成しています。
最近は、別途1分ぐらいのショート動画もアップするようになったのですが、けっこうウケが良いようです。中には何万再生という動画も出てきています。若い人はスマホでYouTubeを観ているので、ショート動画のほうが観やすいという話を、インターンに来た学生さんに教えてもらい、試してみたら、ヒットしたようです。最近私の名刺に、YouTubeチャンネルのQRコードを貼って、会う人会う人にPRしています(笑)。
――周りの反応はどうですか。
中西さん 「YouTube動画を観ましたよ」としばしば言われます。そう言われること自体が「スゴいな」と感じています。もちろん「ありがたいな」と思っています。
広報関係はすべて前向きに対応することにしている
――あくまで私個人の感想ですが、浪速国道事務所のYouTube動画は、他の国土交通省関係の動画と比べると、制作者のヤル気が感じられます。
中西さん たぶんですが、やらされ仕事ではなく、職員が能動的にやってくれているのが、大きいのかなと思っています。浪速国道事務所では、広報に関してはすべて前向きに対応しよういうことでやっているんです。広報はそれだけ重要だということです。本来業務が忙しいと、「なんで今広報をやる必要があんねん」となってしまうこともあるでしょうが、浪速国道では絶対ありません。「広報が重要だ」という認識は、すでに所内に広がっていると思います。
新しいことにチャレンジする風土が国交省の魅力
――中西さんにとって、国土交通省の仕事の魅力はなんですか?
中西さん 前例主義にとらわれず、新しいものをドンドン取り入れていく、新しいことにチャレンジする風土があることが、魅力だと思っています。前例踏襲がないわけではありませんが、それにとらわれ過ぎないということです。組織として新しいことをやる体力もあります。あと、比較的大きなプロジェクトを扱うので、関係者も多くなります。いろいろな関係者の方々と一緒にモノをつくり上げていく経験ができるのも、魅力です。
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1兆円規模の道路新設、それ自体は素晴らしいことだし、それに携わる方たちも試行錯誤しながらいいものを造ろうと頑張っていると思います。
ただ日本も人口減少が進み、八潮市の陥没事故のように既存インフラの劣化に伴う修繕が求められている時代だと思います。
国交省、建設会社、作業をする方も含めて新しいものを造るのではなく、日本にとって必要な残すべきインフラの修繕を行い、人口減少に伴って維持が困難なものの除却などにシフトすることが求められているのではないでしょうか?
政治家や役所の上層部の方々が音頭をとって舵をきってもらいたいです