施工の神様 powered by 施工管理求人ナビ
  • 施工の神様とは?
  • 記事掲載・取材をご希望の方へ
  • キャリアを考える
  • インタビュー
  • 失敗を生かす
  • 技術を知る
  • エトセトラ
  • 資格を取る
  • 建設用語

日本橋川周辺まちづくりにおけるグリーンビズの可能性 緑と水が紡ぐ新たな水の都

  • インタビュー
  • 技術を知る
四国の犬
公開日:2025.08.27
  • シェア
  • Tweet
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • 0 コメント
  • メールで共有
様々な高さの憩いの空間のイメージ 東京都・日本橋川周辺のにぎわい創出に向けた基本方針(取組方針Ver.1)より引用

様々な高さの憩いの空間のイメージ 東京都・日本橋川周辺のにぎわい創出に向けた基本方針(取組方針Ver.1)より引用

目次
  1. グリーンビズのビジョン:緑と水を都市の生命線に
  2. 日本橋川の再生:基本方針が描く水と緑のシンフォニー
  3. グリーンビズの具体策とロードマップ
  4. グリーンビズの課題と可能性
  5. 地域との連携
  6. 未来の日本橋川:新たな水の都へ
  7. グリーンビズが指し示す新たな水の都・東京

日本橋、東京の心臓部。江戸時代から商業と文化の中心として栄え、現代では高層ビルと川が交錯するこのエリアは、今、大きな変革を迎えている。首都高速道路の地下化により空が開け、日本橋川の水辺が新たな命を吹き込まれる中、東京都が推進する「Tokyo Green Biz(東京グリーンビズ、以下グリーンビズ)」の理念が、この変革の核を担う。東京都は、首都高の地下化を機に、日本橋川周辺エリアを緑と水を軸にしたエリアに転換させようとしている。

本稿は、東京都担当者への取材をもとに、日本橋川周辺のまちづくりにおけるグリーンビズの現状と未来について考察する。緑と水が都市の生態系と文化を再定義し、東京を「新たな水の都」として世界に発信する可能性を探る。

グリーンビズのビジョン:緑と水を都市の生命線に

グリーンビズは、東京都が掲げる緑の活用を通じた持続可能なまちづくりの政策だ。都の基本計画である『東京都の緑の取組 Ver.3』によれば、緑は単なる装飾ではなく、ヒートアイランド対策、洪水抑制、生物多様性の保全、市民の心身の健康を支えるインフラとして位置づけられる。日本橋川周辺のまちづくりでは、この理念が具体的な施策として結実しつつある。

東京都担当者は、グリーンビズにおける日本橋川周辺まちづくりの役割をこう説明する。「水質改善や緑の形成を通じて、日本橋川の自然資源としての価値を高め、水辺に顔を向けたまちづくりを実現することが目標です。われわれとしては、水辺空間や憩いの場としての緑についても、このプロジェクトの中心的な要素として位置づけています」

首都高速道路の地下化により、川の上に空が広がる。この変化を活かし、緑と水を融合させた空間を創出することが、グリーンビズの目指す方向だ。親水空間の整備、みどりの形成、緑と水をつなぐネットワークの構築は、都市の生態系を強化し、住民や観光客に新たな体験を提供する基盤となる。基本方針では、これらの施策が「新たな水の都」の創出に向けた基盤として明確に位置づけられ、グリーンビズが都市の生命線として機能する未来を描いている。

【PR】施工管理に特化した日本最大級の転職情報サイト

日本橋川の再生:基本方針が描く水と緑のシンフォニー

日本橋川周辺のまちづくりは、「日本橋川周辺のにぎわい創出に向けた基本方針(取組方針Ver.1)」に基づき、5つのコンセプト——「江戸東京文化」「きれいに」「つなぐ」「集う」「うみだす」——を軸に進む。「きれいに」「つなぐ」「集う」は、グリーンビズの理念と密接に結びつき、日本橋川を新たな水の都として再生する鍵となる。基本方針は、これらのコンセプトを通じて、日本橋川を単なる水路ではなく、都市の文化的・生態学的資産として再定義する。

「きれいに」:水質改善と緑の価値向上

日本橋川の水質改善は、基本方針の柱の1つだ。担当者は「水と緑による環境創出を通じて、川の自然資源としての価値を高めたい」と語る。基本方針では、「きれいに」のコンセプトのもと、水質改善が最優先課題として掲げられ、河川管理者や下水道局と連携した流域全体の管理が強調される。具体的には、合流式下水道の部分分流化や酸素供給技術の導入が計画され、かつて「水の都」東京を象徴した清らかな川の姿を復活させる。

水辺には緑を積極的に導入する。かみそり護岸から水辺に近づきやすい空間づくりにより、緑豊かで自然と調和した景観を目指す。基本方針のパース図には、川沿いに緑が広がり、水面に映る風景が都市の新たなシンボルとなる姿が描かれる。生物多様性の保全・回復は重要な視点だ。

「つなぐ」:緑と水をつなぐネットワーク

グリーンビズの特徴は、緑と水をつなぐネットワークの構築だ。担当者は、「既存の緑地を活用しつつ、親水空間や植栽を増やし、緑の連続性を確保したい」と話す。基本方針では、「つなぐ」のコンセプトとして、歩行者空間の連続性と緑のネットワークが強調され、日本橋川沿いの遊歩道が街路樹や近隣の公園と連動する計画が示される。皇居や隅田川といった緑地との接続も視野に入れ、都市全体の生態系を強化する。

この取り組みは、生物多様性を高める緑と水をつなぐネットワークになる可能性を秘めている。緑の回廊は鳥類や昆虫の移動を助け、ヒートアイランド対策として気温を抑える。「緑がつながることで、日本橋川周辺が生物観察や環境学習を楽しむことができる空間や機会を提供する場になることを目指しています。」と担当者は語る。基本方針では、緑のネットワークが「生物等の生育環境をまもるみどり」として位置づけられ、具体例として、川沿いと周辺のまちとをつなぐ植栽整備イメージが記載されている。皇居の緑と川の水辺がつながれば、東京は自然と共生する都市としての魅力をさらに高める。

「集う」:ウォーカブルな親水空間

川沿いの親水空間は、「集う」コンセプトのもと、憩いの場としての役割を担う。日陰や潤いを提供する植栽が配置され、川を眺めながら一息つける空間が整備される。「水に近づける親水護岸や、緑に囲まれたベンチで、自然と触れ合える環境をつくりたい」と担当者は語る。基本方針では、「集う」空間として、橋詰広場や親水デッキが提案され、市民が集い、交流する場としての機能が強調される。基本方針のパース図には、緑に囲まれた遊歩道が川と調和し、歩行者が自然を楽しみながら移動する姿が描かれ、ウォーカブルな都市の理想像を提示している。

「江戸東京文化」と「うみだす」:グリーンビズの文化的・経済的価値

基本方針の「江戸東京文化」と「うみだす」コンセプトも、グリーンビズと間接的に結びつく。「江戸東京文化」では、日本橋川の歴史的価値を活かし、水辺を文化発信の場として再生する。例えば、川沿いのイベントスペースやアートインスタレーションが計画され、緑と水が文化的体験を彩る。グリーンビズは、こうした空間に潤いを与え、訪れる人々に江戸の水辺文化を体感させる。

「うみだす」では、スタートアップ企業や地域事業者との連携による新たな価値創出が目指される。グリーンビズは、環境技術のイノベーションを促進し、たとえば、都立公園などではデジタル技術の活用も始まっている。担当者は、「周辺の企業とも連携し、次世代技術を積極的に取り入れたい」と語る。経済的価値を生み出すグリーンビズにより、日本橋川周辺がイノベーションの拠点に生まれ変わるかもしれない。

次のページグリーンビズの具体策とロードマップ

12»
  • この記事をシェアする0
  • この記事をツイートする0
この記事のコメントを見る0
こちらも合わせてどうぞ!
KK線再生プロジェクト「空中回廊」が切り開くグリーンビズの可能性
KK線再生プロジェクト「空中回廊」が切り開くグリーンビズの可能性
東京の中心部を貫く東京高速道路(KK線)は、かつて自動車専用の道路として都市の動脈を担ってきた。しかし、時代は変わり、2020年代に入ってこのインフラは新たな役割を模索している。それが「Tokyo Sky Corrior...
2024年度の「土木学会賞」が決定!田中賞(作品部門)は”出島大橋”など5件
2024年度の「土木学会賞」が決定!田中賞(作品部門)は”出島大橋”など5件
(公社)土木学会(佐々木葉会長)は5月19日、2024年度の土木学会賞を発表し、功績賞、技術賞、環境賞、研究業績賞、吉田賞、田中賞など20部門で計117件を選定した。 功績賞は、土木工学の進歩、土木事業の発達、土木学会の...
BIMを活用したいけれど、どうすればいい? アウトソーシングや人材派遣で解決しよう
BIMを活用したいけれど、どうすればいい? アウトソーシングや人材派遣で解決しよう
※本記事は『建設ITワールド』の許諾を得て掲載しています。 「BIMを活用したいけれど、人材が見つからない」「どう始めたらいいの?」—そんな悩みを解決するのが、ウィルオブ・コンストラクション(本社:東京都新宿区)が提供す...

この記事を書いた人

四国の犬
この著者の他の記事を見る
基本的には従順ですが、たまに噛みつきます。
日本橋川周辺まちづくりにおけるグリーンビズの可能性 緑と水が紡ぐ新たな水の都 日本橋川周辺まちづくりにおけるグリーンビズの可能性 緑と水が紡ぐ新たな水の都

施工の神様をフォローして
最新情報をチェック!

  • フォローする5388

現場で使える最新情報をお届けします。

  • 施工の神様
  • インタビュー
  • 日本橋川周辺まちづくりにおけるグリーンビズの可能性 緑と水が紡ぐ新たな水の都
  • 施工の神様
  • 技術を知る
  • 日本橋川周辺まちづくりにおけるグリーンビズの可能性 緑と水が紡ぐ新たな水の都

コメント(0)

コメントフォームへ

コメントする コメントをキャンセル


コメントガイドラインをお読みになった上で投稿してください。

email confirm*

post date*

あなたも施工の神様に記事を投稿してみませんか?
おすすめ記事
  • 【髙松建設】「古来の技術と新たな発想を融合する」世界最古の企業”金剛組”再生でベスト・プロデュース賞を受賞

    【髙松建設】「古来の技術と新たな発想を融合する」世界最古の企業”金剛組”再生でベスト・プロデュース賞を受賞

  • 点数稼ぎに走るのは「なんか違う」

    点数稼ぎに走るのは「なんか違う」

  • 「暗闇の先の光見て」コロナ禍の”希望のトンネル貫通写真”が心に響く

    「暗闇の先の光見て」コロナ禍の”希望のトンネル貫通写真”が心に響く

  • 「地元の人間の意地。ただ、それだけ」 家族を失ってもなお、愛する石巻の復興に命を懸けた現場監督

    「地元の人間の意地。ただ、それだけ」 家族を失ってもなお、愛する石巻の復興に命を懸けた現場監督

  • 建設業界をイヤになった主任技術者は”造園”へ急げ!

    建設業界をイヤになった主任技術者は”造園”へ急げ!

  • 人と機械はどう補完? これからの橋梁点検

    人と機械はどう補完? これからの橋梁点検

注目のコメント
  • 権力を振りかざす世間知らずの勘違い野郎どもは本当に消えていただきたいです。

    「○んでくれ」「くせーんだよ」 発注者からの脅迫・暴言集【実録】
  • 公務員なんて、甘ったれのわがまま人間の巣窟。特に、バブル世代にパワハラとかするのが多い気がする。

    「○んでくれ」「くせーんだよ」 発注者からの脅迫・暴言集【実録】
  • 34℃で湿度がどれくらいか判断出来ないが今日びの38℃超え猛暑に比べればまだまし。 皆が言う体調管理なんかで対応出来る範囲を超えている。 朝一番から警戒レベルMAXが普...

    最高気温36℃の”猛暑日”。舗装工事は中止すべきか?【熱中症対策】
  • 勝手に喫煙休憩するな→即飛び蹴り シュールなコントみたいだな

    「暴力も必要かも」大手ゼネコンの若手現場監督に、飛び蹴りした鳶職人
  • 辞めていいんじゃねーか? 下請けの奴隷ならともかく、大手ゼネコンの現場監督ならやりたい奴いくらでもいるだろw

    「暴力も必要かも」大手ゼネコンの若手現場監督に、飛び蹴りした鳶職人
  • 若くても無能なら要らない

    「暴力も必要かも」大手ゼネコンの若手現場監督に、飛び蹴りした鳶職人
  • そんな無能はやめた方が現場のためだよ

    「暴力も必要かも」大手ゼネコンの若手現場監督に、飛び蹴りした鳶職人
  • 飛び蹴りは普通に罪にならないか?

    「暴力も必要かも」大手ゼネコンの若手現場監督に、飛び蹴りした鳶職人
  • 休憩するなら水分取るだけで充分なのにねwタバコまで吸いに行き注意されると即飛び蹴りとはヤニ中毒は危険だな

    「暴力も必要かも」大手ゼネコンの若手現場監督に、飛び蹴りした鳶職人
  • 結局本人の申告によるものでしかないので、無理がありますよ。 すべての作業員さんにカメラつけて録画でもするならば別ですが。 公共工事にしろ民間工事にしろ、昔からすれ...

    「チェックシートで熱中症を防ごう!」 それができたら誰も苦労しない
  • 熱中症チェックシートは本当に不毛。 挙句の果てに、それを書いていても熱中症が発生したら「管理が甘かったからだ!」といってチェック項目を増やしたり、記入内容の真偽を...

    「チェックシートで熱中症を防ごう!」 それができたら誰も苦労しない
  • 建設業界のパワハラと言うよりは特定の会社の特定の上司のパワハラ。

    元自衛官が建設業界に転職したら、”パワハラの巣窟”でした
  • 返信した人の日本語もわかりません。 やり直し

    元自衛官が建設業界に転職したら、”パワハラの巣窟”でした
  • 建設業界って 何処に業界のパワハラをかいてるの? やり直し

    元自衛官が建設業界に転職したら、”パワハラの巣窟”でした
  • 所長が部下の人間性を否定するような現場がうまく回るはずがない。 現場は信頼関係で成り立っている。 現場の雰囲気は主に所長がつくりあげあてしまう。そのような管理職が...

    65歳以上と外国人は、全員”安全弱者”のヘルメットバンドをつけろ!? 納得できない話
  • この著者は神様とは思えないです まず、職人は工程を縮めたいんじゃなく無駄が嫌いなんです。それは管理者もだと思いますよ。 無駄=損害ですからね。

    「不仲説」 現場監督と職人
  • スーパーゼネコンの監督とは仲良くなれないな。

    「不仲説」 現場監督と職人
  • まったく現場の事を理解していない! もっと色んな事を経験して、勉強して下さい。

    「不仲説」 現場監督と職人
  • 不仲は横柄で生意気ななゼネコンのセコカンが原因だと思いますけどね。 舐められない様な教育受けているので仕方ない所もありますが。 職人さんも見栄えよりも工数へらして...

    「不仲説」 現場監督と職人
  •  不仲なら発注しない、請負わない。 お互い仕事できなくなればいい。

    「不仲説」 現場監督と職人
  • キャリアを考える
  • インタビュー
  • 失敗を生かす
  • 技術を知る
  • エトセトラ
  • 資格を取る
  • 建設
    用語
【PR】施工管理技士の転職に特化した求人サイト
施工の神様ロゴ
  • 施工の神様とは?
  • 原稿募集
  • 取材ライター募集
  • 運営会社
  • PR・プレスリリース
  • プライバシーポリシー
  • 広告掲載について
  • お問い合わせ
Copyright © 2025 WILLOF CONSTRUCTION, Inc. All Rights Reserved  リンクフリー
施工の神様