「負の遺産」から「富動産」へ
この「解決スピードの最大化」を急ぐ背景には、社内のリソース問題だけでなく、近年の法改正による市場環境の変化がある。
2023年12月の「空き家特措法」改正や、2024年4月の不動産相続登記の義務化により、これまで長年放置されがちだった空き家問題に対し、所有者は一定の決断を迫られるようになった。
大河社長は、この状況を「放置がリスクになる時代の到来により、所有者の意識が変化する大きな転換点となる」と捉える一方で、「法律で管理を義務付けても、『資金がない』『活用方法がわからない』という根本的な悩みは解決されない。つまり、やらなければならないという圧力に対し、『どうすればいいか(=コタエ)』という具体的な選択肢が不足しているのが現在の市場課題だ」と指摘する。
重要なのは、その先にある『具体的な選択肢の提示(可視化)』であると考え、同社は所有者に最適な『コタエ』を迅速に示すため、AIによる自動査定プラットフォームを開発した。
「複数の出口戦略を客観的なデータで可視化し、所有者が納得して一歩を踏み出せる環境を作ることが、法改正後の空き家業界において最も重要だ。私たちはこの法改正などの動向を、『空き家=社会の負の遺産』から『地域の資源(富動産)』へと転換させる好機と捉えている。行政からの要請に応えるだけでなく、所有者に寄り添い、AIなどのテクノロジーも活用しながら最適な解決策を提示し続けることで、空き家問題の解決を加速させていく」(大河社長)
リフォーム業界とは「補完関係」
次に井上雅友氏が登壇し、今後の戦略について説明した。総務省の発表(2024年9月)によれば、全国の空き家数は過去最多の900万戸を超えた。空き家所有者は管理や維持コストの負担を抱える一方、購入希望者にとっても物件情報が断片的で、活用後のイメージが描きにくいという課題が存在する。
「これまで空き家は放置されてきたが、ソリューションとしてマッチするものがなく、ビジネスとして成立しにくい面もあった。その答えの一つが『空き家のコタエ』だ」(井上氏)。

経営企画部 マーケティング部 テクノロジー戦略部 担当役員 井上雅友氏
同プラットフォームは、所有者・利用者の双方の視点に立ち、今後3つのフェーズで価値を提供する予定だ。 第1フェーズは、今回リリースした「自動査定サービス」による価値の可視化。空き家には除却(解体)などの処分方法だけでなく、再生を伴う活用や売却など複数の出口戦略がある。これを一元的に可視化することで、売主に即座に選択肢を提供し、心理的・時間的コストを削減する。
第2フェーズ(2026年内リリース予定)では、買主向けのサービスとして、売主と買主を直接つなぐCtoCマッチングを展開する。投資だけでなく、別荘やレジャー用、セカンドハウスなど生活スタイル向上を目的とした潜在的な購入ニーズを掘り起こし、全国の空き家とつなぐことで流通を加速させる。
第3フェーズでは、買取・解体・仲介・施工などの専門事業者ネットワークとの連携を深める。所有者、買主、投資家に加え、関連業者にもプラットフォームへの参加を呼び掛け、業界全体で「三方よし(買主・売主・ジェクトワン)」のビジネスモデル確立を目指す。「流通が難しい特定空き家などを中心に向き合い、2030年ごろまでには約50万戸の空き家に関与していきたい」と井上氏は方針を示した。

「空き家のコタエ」の事業スキーム
また、周辺ビジネスとの連携において、リフォーム業界との関係性を井上氏は「競合ではなく補完関係」と位置付ける。
「『空き家のコタエ』は、活用・売却・保有といった意思決定の“前段”、つまり『そもそもこの家をどうするのが合理的なのか』を可視化するためのサービスだ。活用や賃貸といった選択をした場合、リフォーム・リノベーションは不可欠なプロセスになる。本サービスで『この家はどの程度手を入れるのが適切か』を整理し、地域や物件特性に応じた施工会社とマッチングすることで、リフォーム会社が本来の価値を発揮しやすくなる“入り口の整備”を担いたい。結果として、リフォーム業界にとっても『見込みの低い案件への無理な提案が減る』『顧客の納得度が高い状態で相談が入る』『長期的な信頼関係を築きやすくなる』といったメリットが生まれ、健全な市場形成に寄与できると考えている」
透明性の高いマッチングで、900万戸の課題解決へ
今後は、「空き家のコタエ」のサービス第2弾として、自動査定で可視化された情報をもとに、空き家所有者が物件情報や希望価格を掲載し、購入希望者と直接やり取りができる「空き家マッチング機能」の実装も構想している。これにより、空き家所有者は最適な専門家や購入希望者と手間なく出会うことができ、空き家がスムーズに市場に流通する、透明性の高い仕組みの構築を目指す。
空き家所有者は「管理の負担」や「維持コスト」など多くの「負」を抱えている。同時に、空き家を探している購入希望者にとっても、物件情報が断片的で活用イメージが湧きにくいという課題が存在していた。
ジェクトワンは、これまで約10年間「アキサポ」で培ってきた知見をデジタル技術へと拡張し、空き家の価値を可視化しながら、所有者と購入希望者をよりスムーズにつなぐ新たな仕組みの必要性を強く感じて最新のAI技術を活用した。現在、約900万戸といわれるまでに深刻化する空き家問題。その解決に向け、同社のAI導入と新プラットフォームが大きく前進する推進力となることを期待するばかりだ。


実例があると良いですね
どれぐらい評価が正しいかは空き家を査定してもらう人達は分からないので
行政機関は何でも人手不足のせいにしすぎだと思いますね…。
適材適所出来ていますか?