業者をかばう自治体の本音
マンション建設は、自治体から歓迎される傾向にあります。新しいマンションは移住者の受け皿となり人口減少対策に繋がるほか、住民税や固定資産税などの税収増をもたらすからです。若い世代や多様な住民の流入は、地域の維持や活性化にも貢献します。
Y町がA社の意見書を非公開とした背景には、公開することによって企業イメージが悪化し、マンション販売に悪影響が出ることを懸念してのものだったようです。Y町としてはマンションが売れて、多くの人に入居してほしいという思いがあったので非公開としたようです。
【判決】国家賠償による損害賠償を認容
このマンション計画はもともと住民の反対運動があり、Y町とA社の間の乖離があることは実は広く知られていたようです。
大阪地裁は、「A社が認識を示した法的見解(要綱に法的効力は無い)は通説的なもので問題とすべき点はないが、いささか穏当を欠くものと言わざるを得ないため、『意見書』の取り扱いに慎重になったことは一定限度理解し得る。しかし、A社が要綱に従う意思がないという姿勢は説明会の時点で地元住民の知るところとなっていた」として、Y町の主張は非公開事由の1と2のいずれにも該当しないとして、Y町には損害賠償の義務があると認め、Xら7名、一人につき慰謝料5万円、弁護士費用1万円について国家賠償法第1条の責任を認めました(平成9年12月26日 大阪地裁)。
国家賠償法
第一条 国又は公共団体の公権力の行使に当る公務員が、その職務を行うについて、故意又は過失によって違法に他人に損害を加えたときは、国又は公共団体が、これを賠償する責に任ずる。
この法律は、たとえば警察官が職務質問中に不当に暴行を加えて怪我をさせた場合や行政職員の誤った事務処理によって国民が損害を被った場合などに適用されます。国や地方公共団体という支払い能力のある主体が責任を負い、国民が救済を受けられるようになっています。
情報公開請求は300円で
情報公開は、誰でも請求が可能な制度です。窓口やインターネットで請求書を入手し、所定の手続きに従って提出します。1件につき300円の手数料(収入印紙)を納付すると、原則30日以内に開示または不開示の決定が通知されます。情報は原則として開示されますが、個人情報や国の安全に関わる情報などは不開示となる場合があります。

行政文書開示請求書
Z市で大型スーパーの跡地に、15階建て高層マンション3棟の建設を計画があり、隣接地に住む無職の男性(70)が情報公開を請求。市は「法人に不利益に当たる」と図面や計画概要を非開示としました。男性は「知る権利を侵害している」と審査請求して、市情報公開・個人情報保護審査会により「書面全部を開示すべき」と答申がなされ、開示されました。
隣接地に大きな建物が建つのなら、情報を知りたくなるのは当然のことと思います。「知る権利」は憲法に条文がないため、それを具体化することを目的に自治体には情報開示を受け付ける機関があり、費用もオンラインなら200円程度の場合もあるそうです。「知る権利」の行使は、「表現の自由」への第一歩です。
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