現場監督の大きな負担となっている、日々の記録・巡回業務や工程計画の見直し。この煩雑な業務をテクノロジーによって効率化する取組みが本格化しています。
清水建設は5月20日、セーフィー、ウェッブアイ、コルクの3社と共同で、カメラ映像とAIを掛け合わせた「AI施工管理システム」を構築したと発表しました。現場の映像からAIが作業の進捗をリアルタイムに自動判定し、実績と予定のズレに応じた工程の修正検討までをシステム連携させる仕組みです。
マルチモーダルAIを用いた「作業サイクルの可視化」
今回のシステムは、2025年12月から横浜市の「鶴ヶ峰駅付近連続立体交差工事(第1工区)」の山留め杭工事にて実証実験が進められてきました。
システムの核となるのは、現場に配置されたセーフィーのウェアラブルクラウドカメラ「Safie Pocket2 Plus」の映像と、清水建設が独自開発したハイブリッド型AI解析技術(視覚特徴解析技術+マルチモーダルLLM)です。
カメラ映像から「重機の配置」「配管・ホースの接続状態」「H鋼の有無」などをAIが解析することで、現在の作業が「マシンセット」「削孔」「H鋼挿入」「モルタル注入」という施工サイクルのどのフェーズにあるかを高精度に推定。AIが施工状況を自動で判定し、デジタルデータ化します。
「見える化」にとどまらない。工程表とBIMへのシステム連動
本システムの最大の特長は、取得したデータを単なる進捗の可視化で終わらせず、施工管理業務の一部自動化へ活用できる点にあります。
AIが判定してデータベースに蓄積された実績データは、コルクが提供するBIM/CIM共有クラウド「KOLC+」や、ウェッブアイの工程管理ソフト「工程’s Orario」などの外部ソフトとシームレスに連携されます。これにより、作業予定と実績に乖離が生じた際、工程計画の見直しや資機材手配の修正検討といった施工管理の一部を自動化することが可能となります。
これまで、遅延や変更が発生するたびにクラウドカメラ、BIM/CIM、工程表などの各システムを個別に手動修正していた現場担当者の業務負担が、大幅に軽減される仕組みです。
四足歩行ロボットの活用も視野に。施工管理のAXへ
現在は山留め杭工事での実証段階ですが、今後はAIの検出精度をさらに高めながら、他の工種への展開にも力を入れていく方針です。また将来的には、四足歩行ロボットなどの自律移動体を活用し、現場内を移動しながら撮影・データ収集を行う新たな運用手法についても検討していく構想が描かれています。
記録・巡回といった業務の省力化が実現すれば、担当者の業務時間短縮に直結します。建設現場のAX(AIトランスフォーメーション)を牽引するこの取組みが、今後の現場実装に向けてどう進展していくのか注目されます。





