施工の神様 powered by 施工管理求人ナビ
  • 施工の神様とは?
  • 記事掲載・取材をご希望の方へ
  • キャリアを考える
  • インタビュー
  • 失敗を生かす
  • 技術を知る
  • エトセトラ
  • 資格を取る
  • 建設用語

経験10年の壁を「仕組み」で突破。進和建設工業が導き出した、若手を2年で高層建築の主役に変える方程式

  • インタビュー
長井 雄一朗
公開日:2026.05.28
  • シェア
  • Tweet
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • 1 コメント
  • メールで共有
インタビューに応じた進和建設工業の西田芳明代表取締役会長

インタビューに応じた進和建設工業の西田芳明代表取締役会長

目次
  1. 暗黙知を形式知へ。入社2年目が10階建マンションを完遂できた理由
  2. 現場監督の仕事を「3原則・3作業」に絞り込む
  3. 逆算日報とDXで、現場を「製造業化」する
  4. 職人の地位向上へ 高収益と「マイスター」への敬意
  5. 人づくりの思想。稲盛哲学が支える「志」の継承

建設業界における慢性的な「担い手不足」は、もはや一企業の懸案に留まらず、社会基盤の持続可能性を揺るがす深刻な命題となっている。とりわけ、育成に10年の歳月を要するとされる現場監督の領域において、旧態依然とした精神論や属人化からの脱却は、業界が等しく直面する喫緊の課題といえよう。

こうした状況下、進和建設工業株式会社(本社:大阪府堺市、西田芳明代表取締役会長)が示した一つの成果が、大きな反響を呼んだ。2026年3月末、同社は大阪市の商業地に位置する狭小地でRC造10階建マンション「(仮称)日本橋東2丁目マンション」を竣工させた。特筆すべきは、設計・工程・安全の各面で高度な練度を要するこの高層建築の現場を、入社わずか2年の新進気鋭の現場監督が全うした点にある。

同社がいかにして、従来の「経験則」という暗黙知を、若手にも共有可能な「形式知」へと昇華させたのか。その核心は、徹底した「仕組み化」にある。「建物の規格化」を端緒とし、「生産ライン化」による工程管理、さらには「逆算日報」や「三層チェック体制」といった多角的なシステムを構築。これにより、属人性を排し、誰が担当しても品質と進捗を担保し得る現場の構造を整備した。

「人が育たない」という構造的不全に対し、仕組みをもって挑む同社の思想は、建設業の未来にどのような示唆を与えるのか。同社の西田芳明代表取締役会長に、次世代の人材育成と組織論の神髄について聞いた。

暗黙知を形式知へ。入社2年目が10階建マンションを完遂できた理由

――まず御社の会社概要から教えてください。

西田芳明氏(以下、西田会長) 2026年をもちまして設立58年目、私が代表の重責を担い39年目を迎えます。関連会社を擁するグループ全体の売上高は約51億円規模に達しています。その陣容は、中核をなす進和建設工業をはじめ、不動産事業の進和不動産、戸建住宅を展開する進和ホーム、資産活用コンサルティングの資産パートナープランナーズ、不動産管理等の新規事業を担うサムズアップ、さらには教育事業に至るまで多角化しており、これらを進和ホールディングスが統括する体制を敷いています。

当社の財務的特質は「無借金経営」にあります。手形を発行せず、協力会社への支払いは「20日締め・6日払い」を厳守しています。この迅速な決済により、協力会社からは優先的に施工に当たっていただける堅い信頼関係を構築できたと自負しております。また、長年にわたる適正な申告と納税が評価され、税務署より「優良申告法人」としての認定を継続して受けています。

――人材育成については、どのような考え方をお持ちでしょうか?

西田会長 経営の本質とは、すなわち「人づくり」に集約されます。仕事という営みはあくまで手段であり、その真の目的は各人の人生をより豊かにすることにあります。私たちはその手段を通じて、社会に真に必要とされる人材を数多く輩出し、個々の人間的価値を最大化させることを念頭に、人材育成の全機能を傾注しているのです。

――人材育成を見据え、現場管理の「仕組み化」に着手された背景を教えてください。

西田会長 社長就任当時、私は技術者としての評価はいただいておりましたが、営業力の強化が喫緊の課題でした。一方で、施工管理を「仕組み化」できれば、組織的な統制が容易になると確信していました。技術者の持つ暗黙知を「規格化」し、その根底に「生産ライン」の概念を導入したのです。当初より設計・施工一括受注を推進していましたが、設計段階から適正利益の確保を精緻に計画し、その成果を職人へ利益還元することを基本思想としています。

――仕組み化の根底には、稲盛経営哲学の「アメーバ経営」も影響しているのでしょうか。

西田会長 はい、社員を「資本」と捉える「資本社員」の概念を重視しています。現場監督は一つの現場を預かる経営者であり、事業家としての視点を持つべきです。定型作業を徹底して仕組み化し、監督が未来の工法開発や事業構想に思考を割く。その知的な飛躍こそが、各人の人生をより良くしていくと確信しています。

――その仕組み化と事業家としてのマインドセットによって、入社2年目の若手現場監督が10階建てという案件で活躍できたのですね。

西田会長 当社では建設現場の工程を「杭」「基礎」「土間」「駆体」「内装前準備」「内装」「外装」「仕上げ」「設備・外構」まで9つのラインに分解し、徹底管理しています。各工程には標準日数とサイクルが設定され、例えば基礎は30日、土間は15日といった明確な基準があります。職人に対しては年間標準単価を提示しており、協力会社も当社の歩掛を熟知しているため、適正な人員配置が自律的に行われます。

この「現場生産ライン化」により、次工程の予測が容易となり、新卒2年目の若手現場監督でも、2026年3月末竣工の10階建てマンションという案件を完遂できました。他社が多大な時間を要する「段取り」や「交渉」がシステム化されているため、若手が実務に専念できる環境があるのです。これは建設業を「製造業」として再定義する、当社独自のパラダイムシフトと言えます。

入社2年目の若手現場監督が担当したRC造10階建マンション「(仮称)日本橋東2丁目マンション」

入社2年目の若手現場監督が担当したRC造10階建マンション「(仮称)日本橋東2丁目マンション」


次のページ現場監督の仕事を「3原則・3作業」に絞り込む

12»
  • この記事をシェアする0
  • この記事をツイートする0
この記事のコメントを見る1
こちらも合わせてどうぞ!
「鉄道にはまちを変える力がある」京王電鉄の技術者が語る”鉄道土木の矜持”
「鉄道にはまちを変える力がある」京王電鉄の技術者が語る”鉄道土木の矜持”
京王電鉄の技術者に聞く、鉄道土木の魅力とは? 京王電鉄株式会社(本社:東京都多摩市)は、新宿〜八王子を結ぶ京王線などを運行する鉄道会社だ。 同社での新線の建設はなくなって久しいが、その一方で、踏切渋滞解消を目的とした連続...

この記事を書いた人

長井 雄一朗
この著者の他の記事を見る
建設専門紙の記者などを経てフリーライターに。建設関連の事件・ビジネス・法規、国交省の動向などに精通。 長年、紙媒体で活躍してきたが、『施工の神様』の建設技術者を応援するという姿勢に魅せられてWeb媒体に進出開始。
経験10年の壁を「仕組み」で突破。進和建設工業が導き出した、若手を2年で高層建築の主役に変える方程式 経験10年の壁を「仕組み」で突破。進和建設工業が導き出した、若手を2年で高層建築の主役に変える方程式

施工の神様をフォローして
最新情報をチェック!

  • フォローする5388

現場で使える最新情報をお届けします。

  • 施工の神様
  • インタビュー
  • 経験10年の壁を「仕組み」で突破。進和建設工業が導き出した、若手を2年で高層建築の主役に変える方程式

コメント(1)

コメントフォームへ
  • - 2026/05/29 13:58

    積算関連はどうでしょうか?

    何故だか心に響きません…。

    返信する 通報する

コメントする コメントをキャンセル


コメントガイドラインをお読みになった上で投稿してください。

email confirm*

post date*

あなたも施工の神様に記事を投稿してみませんか?
おすすめ記事
  • 【髙松建設】「古来の技術と新たな発想を融合する」世界最古の企業”金剛組”再生でベスト・プロデュース賞を受賞

    【髙松建設】「古来の技術と新たな発想を融合する」世界最古の企業”金剛組”再生でベスト・プロデュース賞を受賞

  • 点数稼ぎに走るのは「なんか違う」

    点数稼ぎに走るのは「なんか違う」

  • 「暗闇の先の光見て」コロナ禍の”希望のトンネル貫通写真”が心に響く

    「暗闇の先の光見て」コロナ禍の”希望のトンネル貫通写真”が心に響く

  • 「地元の人間の意地。ただ、それだけ」 家族を失ってもなお、愛する石巻の復興に命を懸けた現場監督

    「地元の人間の意地。ただ、それだけ」 家族を失ってもなお、愛する石巻の復興に命を懸けた現場監督

  • 建設業界をイヤになった主任技術者は”造園”へ急げ!

    建設業界をイヤになった主任技術者は”造園”へ急げ!

  • 人と機械はどう補完? これからの橋梁点検

    人と機械はどう補完? これからの橋梁点検

注目のコメント
  • 権力を振りかざす世間知らずの勘違い野郎どもは本当に消えていただきたいです。

    「○んでくれ」「くせーんだよ」 発注者からの脅迫・暴言集【実録】
  • 公務員なんて、甘ったれのわがまま人間の巣窟。特に、バブル世代にパワハラとかするのが多い気がする。

    「○んでくれ」「くせーんだよ」 発注者からの脅迫・暴言集【実録】
  • 34℃で湿度がどれくらいか判断出来ないが今日びの38℃超え猛暑に比べればまだまし。 皆が言う体調管理なんかで対応出来る範囲を超えている。 朝一番から警戒レベルMAXが普...

    最高気温36℃の”猛暑日”。舗装工事は中止すべきか?【熱中症対策】
  • 勝手に喫煙休憩するな→即飛び蹴り シュールなコントみたいだな

    「暴力も必要かも」大手ゼネコンの若手現場監督に、飛び蹴りした鳶職人
  • 辞めていいんじゃねーか? 下請けの奴隷ならともかく、大手ゼネコンの現場監督ならやりたい奴いくらでもいるだろw

    「暴力も必要かも」大手ゼネコンの若手現場監督に、飛び蹴りした鳶職人
  • 若くても無能なら要らない

    「暴力も必要かも」大手ゼネコンの若手現場監督に、飛び蹴りした鳶職人
  • そんな無能はやめた方が現場のためだよ

    「暴力も必要かも」大手ゼネコンの若手現場監督に、飛び蹴りした鳶職人
  • 飛び蹴りは普通に罪にならないか?

    「暴力も必要かも」大手ゼネコンの若手現場監督に、飛び蹴りした鳶職人
  • 休憩するなら水分取るだけで充分なのにねwタバコまで吸いに行き注意されると即飛び蹴りとはヤニ中毒は危険だな

    「暴力も必要かも」大手ゼネコンの若手現場監督に、飛び蹴りした鳶職人
  • 結局本人の申告によるものでしかないので、無理がありますよ。 すべての作業員さんにカメラつけて録画でもするならば別ですが。 公共工事にしろ民間工事にしろ、昔からすれ...

    「チェックシートで熱中症を防ごう!」 それができたら誰も苦労しない
  • 熱中症チェックシートは本当に不毛。 挙句の果てに、それを書いていても熱中症が発生したら「管理が甘かったからだ!」といってチェック項目を増やしたり、記入内容の真偽を...

    「チェックシートで熱中症を防ごう!」 それができたら誰も苦労しない
  • 建設業界のパワハラと言うよりは特定の会社の特定の上司のパワハラ。

    元自衛官が建設業界に転職したら、”パワハラの巣窟”でした
  • 返信した人の日本語もわかりません。 やり直し

    元自衛官が建設業界に転職したら、”パワハラの巣窟”でした
  • 建設業界って 何処に業界のパワハラをかいてるの? やり直し

    元自衛官が建設業界に転職したら、”パワハラの巣窟”でした
  • 所長が部下の人間性を否定するような現場がうまく回るはずがない。 現場は信頼関係で成り立っている。 現場の雰囲気は主に所長がつくりあげあてしまう。そのような管理職が...

    65歳以上と外国人は、全員”安全弱者”のヘルメットバンドをつけろ!? 納得できない話
  • この著者は神様とは思えないです まず、職人は工程を縮めたいんじゃなく無駄が嫌いなんです。それは管理者もだと思いますよ。 無駄=損害ですからね。

    「不仲説」 現場監督と職人
  • スーパーゼネコンの監督とは仲良くなれないな。

    「不仲説」 現場監督と職人
  • まったく現場の事を理解していない! もっと色んな事を経験して、勉強して下さい。

    「不仲説」 現場監督と職人
  • 不仲は横柄で生意気ななゼネコンのセコカンが原因だと思いますけどね。 舐められない様な教育受けているので仕方ない所もありますが。 職人さんも見栄えよりも工数へらして...

    「不仲説」 現場監督と職人
  •  不仲なら発注しない、請負わない。 お互い仕事できなくなればいい。

    「不仲説」 現場監督と職人
  • キャリアを考える
  • インタビュー
  • 失敗を生かす
  • 技術を知る
  • エトセトラ
  • 資格を取る
  • 建設
    用語
【PR】施工管理技士の転職に特化した求人サイト
施工の神様ロゴ
  • 施工の神様とは?
  • 原稿募集
  • 取材ライター募集
  • 運営会社
  • PR・プレスリリース
  • プライバシーポリシー
  • 広告掲載について
  • お問い合わせ
Copyright © 2026 WILLOF CONSTRUCTION, Inc. All Rights Reserved  リンクフリー
施工の神様