派遣社員に転職後、施工管理技士として現場を楽しめる
施工:派遣社員としての施工管理業務はどうですか?
中家:今は空港内のトンネル構造物の建設工事で現場管理、写真管理をメインに担当しています。実際に就業してみると、大手ゼネコンの現場なので、職員の人数も多く、いろいろ周囲に相談できます。チームで仕事をできるのが、こんなにもありがたいこととは思いませんでした。20代の派遣社員たちの教育係も担当しています。昔と違って今の50代の若手指導者は優しいですよ(笑)。若い技術者と触れ合いながら、物作りを楽しめる余裕もあって、技術者冥利に尽きます。業務一つ一つのレベルも高く、スキルアップにもつながっています。
施工:空港では近隣対応はない?
中家:はい、隣調整がないのはラクです。ただ、その代わりに飛行機の滑走路を現場車両が通るので、その誘導業務などがあります。これが簡単そうで何気に機転が利かないとできない業務なんです。
施工:派遣で逆に正社員より大変なことは?
中家:良いことの裏返しですが、30代ぐらいまでは大事に育ててもらえますが、ベテランになってくると、これぐらい出来て当たり前と思われてしまうことですかね。先日も仮設排水溝の現場管理を1人で任されて、最後までやりきりました。前職に比べれば、なんてことはないですが、意識を高く持って仕事をしなければなりません。しかし、その分スキル全体のレベルも、作業効率も上がった実感はあります。これから本体工事が始まると忙しくなると思います。
施工:正社員に戻る予定は?
中家:今のままが良いですね。正社員になると、責任も重くなるし、嫌な業務を擦り付けられたりします。しかも、この年齢で正社員になると、派遣よりも良い条件の会社にも入社できないでしょう。待遇に不満があって、もっと給与を稼ぎたい中小企業の施工管理技士は、派遣で働くことをお勧めします。派遣というと悪いイメージが先行してしまうので、「施工管理のプロフェッショナルとしてフリーランスで働く」と表現したほうが誤解は少ないかもしれませんね。
1級土木施工管理技士の昔ばなし
施工:中家さんは長年、施工管理技士として働いてきた中で、印象的な出来事はありますか?
中家:今の現場ですが、現場の残土の上に「コアジサシ」という絶滅危惧種の鳥の卵が35個ありまして、これが1個30万円相当と言われました。孵化するまで2週間も監視する業務があり、その間、親鳥に攻撃されたり、糞がヘルメットの上に降ってきたりしました。上手いこと、必ずヘルメットの上に糞をしてきましてね(笑)。
施工:若い頃の失敗談は?
中家:レベルで15cmも高さを間違えてしまったことがありました。ただ、30分くらいで気づき、事なきを得ました。自分は怖がりで何事も確認しながら業務を進めます。失敗しても気づくのが早いので、大きな失敗はしたことがありませんね。なので、面白い失敗談がほとんどなくて、すみません(笑)。
施工:長年、施工管理をしてきて感じる、昔と今の違いは?
中家:昔は現場の近隣住民の方々が、よくお茶やお菓子を出してくれましたが、今は滅多にそんなことはなくなりましたよね。今は近隣住民の方々の目が非常に厳しくなったと感じています。工事についても今は、昔よりも一つひとつの業務が細かく、チェックも厳しくなりました。でも、そのほうが事故の起きる可能性も低くなるので良いとは思います。
それから昔は作業員とだけではなく、社員同士でもバチバチやっていましたが、それもなくなってきましたね。今では考えられませんが、昔は普通に人に対して失礼なことを言って衝突していました。今はそれがない分、内側にストレスを溜め込んで、自分の殻に閉じこもってしまう施工管理技士や作業員が増えているようにも思います。それで現場でのコミュニケーションが取れていれば問題ないですが、突然大きな問題に発展する危険性も秘めているように思います。
施工:では最後に、中家さんの施工管理技士としての今後のヴィジョンを。
中家:2020年の東京オリンピック・パラリンピックまでは建設業界も景気は良いと思います。その後も、急激には悪くはならないと思いますが、日本の景気が良くならない限りは、建設業界の景気も下がっていくと思うので、稼げるときに稼いで国内外問わず、いろんなところに旅行に行きたいと思っています。特に妻と2人でオーロラを見に行きたいですね。
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