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人口1,400人の村の課題にすべて向き合う、頼れる土建屋の3代目

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長井 雄一朗
公開日:2024.03.08
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有限会社小松組の小松隆人社長

有限会社小松組の小松隆人社長

目次
  1. 田んぼの草刈りからお墓の清掃まで…地域の悩みにすべて応える
  2. 移住者や宿泊者向けに新規事業を開始
  3. 西粟倉村に大工を残し続けるために、採用イベントを開催

岡山県東北端の人口1,400人の村「西粟倉村」で3代続く建設の老舗「小松組」(小松隆人社長)は、「村の頼れる土建屋」として地域の課題解決に真正面から挑戦し続けている。

本業である土木・建築工事に留まらず、田んぼや畑の草刈りからお墓の清掃まで、地域の困りごとの窓口として、ありとあらゆる住民からの相談に応えているほか、移住者の増加に伴う賃貸住宅不足にフォーカスをあてた「コンテナハウス事業」や自社山林を開拓した「キャンプ場事業」とさまざまな新規プロジェクトも立ち上げながら、地域に寄り添った事業を展開している。

人口減少が続く地方では、建設業者も施工に加え、地域から頼られる存在になることは必須だ。その意味で、小松組の取組みは今後の地域建設業界の将来を占うものといえる。地方における課題とはどのようなものか、また地域建設業はどのような役割を果たすべきかを小松社長に話を聞いた。

田んぼの草刈りからお墓の清掃まで…地域の悩みにすべて応える

――西粟倉村における地域課題には、どのようなものがあるのでしょうか。

小松隆人社長(以下、小松社長) 西粟倉村は人口1,400人弱の村なのですが、その2割弱が移住されてきた方々です。移住者には若い方が多いのですが、同時に居住者の高齢化は避けられない地域でもあります。

そして、高齢化によって引き起こされる深刻な問題として、大工や左官といった職人の廃業が増えてきていることがあります。そうなると、たとえば台風で屋根の瓦が飛んでしまっても、すぐに頼める職人がいないのです。私は2015年に3代目として小松組を引き継ぎましたが、高齢化と職人不足の2点に危機感を覚えました。

また、西粟倉村は鳥取県境にあり、寒冷地でもあります。移住者の方々は空き家などを借りて住まわれているのですが、断熱がしっかりされていないことや水道トラブルなどが発生したときに頼める先がなかなかありません。

「上質な田舎」づくりを目指す西粟倉村

「上質な田舎」づくりを目指す西粟倉村

――小松社長のもとには、どのような困りごとやお悩みが集まってくるのでしょうか。

小松社長 小規模のリフォームから不要な建物の解体、田んぼ・畑の草刈り、あるいは家の出入口の整備、お墓や空き家の管理・活用など、細かな仕事が多岐にわたります。

田んぼや畑の草刈りであれば、土地の所有者も高齢化によって体力的にご自身で草刈りをすることは難しくなってきていますが、そのまま放置していれば休農地や荒れ地になってしまいます。

空き家の管理ですと、仕事などで長期にわたって地元を離れる方向けに、カギをお預かりし、通気・換気、雨漏り点検をしています。また、お墓は雑草が生えやすく、隣接しているお墓に迷惑をかけることがありますし、台風後の倒木もありますから、草刈りや伐採し、墓石の清掃なども行っています。

私自身としても地元の商工会に所属して、他業種の方々と広範囲にわたり業務連携もしながら、小松組が窓口となって地域を守れるように意識しています。

――小さな地域の困りごとに正面から向き合われていますが、事業としてはいかがでしょうか。

小松社長 こうした細かな工事や作業を行うことで、人との繋がりを増やしていく目的があります。結果、末永くお客様となって頂けると嬉しく思います。お墓や田んぼ・畑、山を持たれる方が多いので、「小松組に頼めばなんでもやってくれる」という認識を持っていただくことで、その後に本業である工事、たとえば「自宅の裏山が危険なので崩れないようにしてほしい」といった土木工事の受注にもつながっていきます。草刈りや雨どいの掃除単体を事業として考えるのではなく、長く広い視点を持って、「村の頼れる土建屋」を実践しています。

――経営で心がけていることはありますか?

小松社長 建設会社は各地域に必ずなければならない存在です。そして、会社を維持継続していくために、スタッフや従業員を心から大切にすることを意識しています。社内でのお互いの信頼関係に常に心を砕いていますが、こうした関係性がなければ、お客様に対していいサービスはできません。

私も代表になったときはまだまだ未熟で、「どうして、私の指示に従ってくれないんだろうか」と悩んだこともありました。ですが、それは互いに信頼関係がなかったので、当然のことでした。現在はスタッフに心から寄り添い、フレンドリーな関係を築けています。スタッフを自分の商売のコマとして見ることはあってはならないことですし、会社も成長するはずがありません。

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移住者や宿泊者向けに新規事業を開始

――社長就任以降、新たな事業も開始されていますね。

小松社長 2022年に「コンテナ施設事業」と「キャンプ場事業」の2つを同時に立ち上げました。

まずコンテナ施設事業ですが、海上輸送用のコンテナを住居や宿泊施設として貸し出しています。コンテナはいくつもの海を渡り続けるという、男のロマンがあるんです。ずっと前からコンテナと地域課題の解決を掛け合わせた事業を立ち上げることを考えていたのですが、先ほどもお話したとおり、西粟倉村は非常に移住者が多い地域で、その多くの方が空き家に住まわれています。ですが、7~8年前から空き家がキャパオーバーで不足しているんです。そこで、単身者向けの住居をコンテナで造る事業を開始しました。

また、西粟倉村は移住者が多いことで「奇跡の村」として各種メディアに取り上げていただき、視察・研修、あるいは純粋にビジネスとして東京都心から泊まりがけでいらっしゃる方も多いのですが、宿泊施設も乏しく作る必要がありました。そこで居住用に加えて宿泊施設でもコンテナを活用しています。

小松組が手掛けるコンテナ施設事業

小松組が手掛けるコンテナ施設事業

写真で紹介している「安全第一団地」は、女性や若者に最適な単身移住者向けのコンテナ賃貸物件です。「安全第一客室」は長期滞在・短期宿泊が可能な一棟貸のコンテナ宿泊施設で、「安全第一公園」はコンテナを活用したキッチン付レンタルスペースです。そのほかにも、いろいろなコンテナの活用方法を考えており、これから増幅していく予定です。コンテナハウス施工は低コスト・短納期ですから、賃貸住宅・一棟貸の宿泊・コミュニティスペースと村内の随所に様々な役割のコンテナを設置しています。

――「キャンプ場事業」をはじめたきっかけは?

小松社長 私は普段はポジティブ思考ですが、一人の人間ですので心がしんどくなることもあります。平日は仕事に全力投球、休日は家族サービスで、心が休まるときもなかったんですね。

それで、とある休日に思い立って、「今日こそは一人で過ごし、自分を内観しよう」と考えた場所が、小松家で所有している山で過ごすことだったんです。一日、山にこもり過ごしたのですが、お寺で心が浄化されるような気持ちを抱きました。私と同じように、世の中には一日忙しく生きている中で、心がつらくなり、リフレッシュされたい想いもある方も多くいらっしゃると思い、キャンプ場の事業を開始しました。

キャンプ場を整備する際、莫大な投資がかかるのであれば二の足を踏んでいたかもしれませんが、山自体は小松家の所有で、さらに本業が建設業ですからキャンプ場を整備するノウハウもありました。これは自社の強みを活かせるためにチャレンジした事業です。

お寺での修行ではありませんが、自分と向き合い、ご自身の悩みを解決し、新たな出発点とする意味でも、キャンプ場で過ごす体験は貴重だと考えています。キャンプ場は各フィールド1日1組限定のプライベートフォレストでして、渓流から川の音が響き渡り、手付かずな自然環境の中で木々の香りも感じられます。私はこのキャンプ場を「森喫(しんきつ)」と名付けています。

キャンプ場「森喫」

キャンプ場「森喫」

西粟倉村に大工を残し続けるために、採用イベントを開催

――3月には採用イベント『コンテナクエスト2024』を開催されますが、このねらいは。

小松社長 コンテナ事業の支援として、大工と建築設計士を1名ずつ募集していますが、別のある思いも持っています。小松組では地域の大工と業務連携し、地域のコンテナハウスの施工や空き家リノベーションを共同で行ってきました。ただ年齢のこともあり、いつまでもお願いはできません。そこで、協業している大工の方に、「うちで大工を雇用するから、是非、育ててほしい」とお願いをしました。自社の事業のことだけではなく、西粟倉村に大工が存在し続けてほしいんです。

採用イベント『コンテナクエスト2024』を開催し、大工や設計士を募集。大好きなコンテナを活用してひとりでも多くの人へ幸せを届けたい。

採用イベント『コンテナクエスト2024』を開催し、大工や設計士を募集。大好きなコンテナを活用してひとりでも多くの人へ幸せを届けたい。

繰り返しになりますが、地方での大工の仕事は本当に多岐にわたり、すぐにでも仕事を頼みたい方は多くいらっしゃいます。これからも地域の困りごとに対処できるよう、大工をこの地域に残していくためにも、アウトソーシングではなく、当社で育てていくという選択をしました。無事採用できた際には、先輩の大工からしっかりと学んでもらい、一人前となって地域を支えられる存在になってくれることを願っています。私としては大好きなコンテナを活用してひとりでも多くの人へ幸せを届けたいという気持ちを胸に抱いておりますので、その意味でも『コンテナクエスト2024』は大切な採用イベントといえます。

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この記事を書いた人

長井 雄一朗
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建設専門紙の記者などを経てフリーライターに。建設関連の事件・ビジネス・法規、国交省の動向などに精通。 長年、紙媒体で活躍してきたが、『施工の神様』の建設技術者を応援するという姿勢に魅せられてWeb媒体に進出開始。
人口1,400人の村の課題にすべて向き合う、頼れる土建屋の3代目 人口1,400人の村の課題にすべて向き合う、頼れる土建屋の3代目

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コメント(1)

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  • - 2024/03/11 21:46

    記事読んでないけど、それってただの「なんでも屋」なのでは?(笑)

    返信する 通報する

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