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パイプの中にパイプをつくる!特許技術とAIで”マンション600万戸”の老朽化危機を救う 

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長井 雄一朗
公開日:2026.06.12
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インタビューに応じた、P・C・Gテクニカの藤井要社長 

インタビューに応じた、P・C・Gテクニカの藤井要社長 

目次
  1. 漏水を根本から防ぐ「FRPライニング工法」
  2. 迫る600万戸の限界。需要過多の管更生市場
  3. 「1級技士常駐」の壁と文系新卒の育成
  4. 転記を削ぎ、対話を生む。全社横断の生成AIプロジェクト
  5. 変化に適応し、100億円企業へ

高度経済成長期からバブル期にかけて整備された膨大な数のマンションストック。その内部を走る給排水管がいま、一斉に耐用年数の限界を迎えようとしている。しかし、私有財産であるマンションの配管は「見えない場所」にあるため、劣化対策が先送りにされるケースが後を絶たない。

この社会課題に対し、独自の特許技術「FRPライニング工法」を武器に急成長を遂げているのが、株式会社P・C・Gテクニカ(愛知県名古屋市)だ。2023年12月期に25億7,400万円だった売上高は、2025年12月期には31億円超を見込むなど、管更生(かんこうせい)業界を牽引する存在として躍進を続けている。
2024年1月に就任した藤井要社長に、同社の成長を支える技術力の背景から、「文系新卒の早期育成」や「生成AIの全社導入」といった独自の人材戦略まで話を伺った。

漏水を根本から防ぐ「FRPライニング工法」

名古屋市にあるP・C・Gテクニカ本社 

名古屋市にあるP・C・Gテクニカ本社

――現在、管更生業界のトップランナーとして急成長を遂げている貴社ですが、藤井社長の経営の根底にある「現場主義」の原点について、お聞かせください。

藤井要社長(以下、藤井社長) 入社した年の8月に所長という肩書きをいただきましたが、実態は私一人でのスタートでした。営業に回って工事の提案をし、職人さんを手配して、現場監督として現場に立ち会う。建設業の入り口から出口までの、すべてのプロセスを自分一人でこなしていく、非常に泥臭い毎日でしたね。

――その経験が、現在の経営にも活きているのでしょうか。

藤井社長 はい。常に「現場の視点」を忘れないようにしています。たとえば、阪神営業所を開設するときも、経営側の効率よりも「働く側の環境」を最優先しました「どこに事務所を構えれば、新しい従業員が来てくれるだろうか」「現場へのアクセスをどう最適化すれば、監督や職人の日々の負担を減らせるか」。現場の声や働きやすさを立地に反映させました。私自身が一人で現場を回していた経験があるからこそ、環境づくりには徹底してこだわっています。

――貴社の急成長を牽引するコア技術はどのようなものですか?

藤井社長 当社の主力はマンションの排水管リニューアル工事です。 一般的に排水管のリニューアルといえば、壁を壊して古い管を撤去し、新しい管に取り替える「更新工事」をイメージされると思いますが、当社の主力は建物を壊さない特許技術「FRPライニング更生工法」です。これは、築30〜40年が経過して老朽化した配管の内側をクリーニングし、既存の管の中に現地で新しい樹脂のパイプを丸ごと作ってしまうという技術です。

P・C・Gテクニカのサンプル管 

P・C・Gテクニカのサンプル管

――配管の「更生」というと、従来からある樹脂コーティングのような工法とは何が違うのでしょうか。

藤井社長 従来の更生工事は、エポキシ樹脂やビニルエステル樹脂などを「塗装する(塗る)」工事です。しかし、現在の築古マンションはすでに配管が限界を迎え、漏水事故が始まっているケースが少なくありません。すでに穴が開き、構造的に弱った管にいくら樹脂を塗っても、根本的な強度は戻らないのです。

そこで力を発揮するのが、当社の「FRPライニング工法」です。これは単に塗るのではなく、既存の管のなかに強靭なFRP(強化プラスチック)の管を新しく形成する「Pipe in Pipe(パイプ・イン・パイプ)」の工事です。建物を壊さずに、新管と同等以上の強度へ完全に復活させられるのが最大の強みです。

さらに他社との違いは、本管だけでなく、技術的に難しい枝管分岐部(浴室合流部など)まで、隙間なく一体的にFRPライニングができる点にあります。

――具体的な施工のフローを教えていただけますか。

藤井社長 まずは「下地処理」として、チェーンカッターや高圧ジェット洗浄を用いて、管内のサビや汚れを徹底的に落として研磨します。そこから、空気圧を利用して「たて管ライニング」を行い、その後、「分岐部を削孔」して、最後に「FRP仕上げ」を行うという流れです。

パイプの中にパイプをつくる。特許技術とAIで”マンション600万戸”の老朽化危機を救う 

FRPライニング工法の施工フロー

この施工の様子は、管理組合などのお客様にもモニターで確認していただけるようにしています。見えない場所の工事だからこそ、透明性を持って確実な仕事をお見せすることが、お客様の安心感と厚い信頼に繋がると考えています。

迫る600万戸の限界。需要過多の管更生市場

――マンションの老朽化が進む中、給排水管の劣化は大きな社会問題になっていますね。

藤井社長 今、当社で対象となっている建物はもう築30~40年、中には築50年くらいで「あらゆる所から漏水している」といった現場が非常に多くなっています。2022年頃のデータになりますが、築30年を超えているマンションは全国で約250万世帯ほどあります。これが20年後の2037年頃には倍以上の600万世帯以上へと膨れ上がります。

――すさまじい数のマンションが改修の時期を迎えるわけですね。

藤井社長 先日、当社のような管の中にパイプを作る業者や、塗装ライニングを行う業者が集まる「日本管更生工業会」の理事会でも話題になったのですが、この業界団体に所属している全社がフル回転で工事をしたとしても、年に1%〜2%程度しか対応できないというレベルの需要過多な状況なのです。

――それほどまでに施工側が足りていないと。

藤井社長 本当に困っていてリニューアルをしたいというお客様がいっぱいいる状況です。ですから、昔はライバルだった企業同士も「お互いに値段の叩き合いをしている場合じゃない」と話しています。一つの案件にみんなで群がって争うのではなく、「自分のところへ来たら、自社が責任を持ってリニューアルしていきましょう」というように、業界全体の考え方が随分と変わりましたね。

劣化したマンションの給排水管

劣化したマンションの給排水管

 

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この記事を書いた人

長井 雄一朗
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建設専門紙の記者などを経てフリーライターに。建設関連の事件・ビジネス・法規、国交省の動向などに精通。 長年、紙媒体で活躍してきたが、『施工の神様』の建設技術者を応援するという姿勢に魅せられてWeb媒体に進出開始。
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