冬の塩ビシート防水は、機械的固定工法でも接着工法でも要注意!
冬期における塩ビ防水の施工では注意すべき点があります。まず、接着剤や溶剤などを用いてシート同士、あるいはシートと下地を固定するときに、冬はつきにくくなる傾向があります。また、塩ビシートは気温低下で硬くなることもあります。
機械的固定工法では「機械で固定具に予め塗布された接着剤を熱するから問題ないのでは?」と思う方もいます。しかし、機械で温める際、夏場とは異なる設定(温度を高める・温める秒数を長くするなど)が必要になります。普段と同じ感覚で施工していると実は接合してない、というケースも起こりえます。
特に機械的固定工法の場合、固定具の上からシートを被せた後に機械で温めるため、実際にしっかり接合しているかを確かめる方法がないのです。したがって、冬期においてはきちんと機械の設定が正しいか確認する必要があります。
一方、接着工法の場合は、さらに温度管理で困難に直面するケースがあります。というのも、基本的に接着剤や溶剤は原則として、気温5℃以下では使ってはならない、というルールがあるためです。場合によっては機械的固定工法への変更なども視野に入れて施工管理を行わなければなりません。
気温低下によってシートが硬くなると、シートが反ってしまうケースがあります。こうした場合、シート同士を接合する場面で、しっかり圧着しないと、反りによって剥がれてしまう不具合が生じます。場合によっては熱風溶接機などを用いてシートを温めながら施工する必要があります。
夏場の塩ビシート防水の施工は「テカリ」に注意
夏場はシートも柔らかくなり、接着剤や溶剤などの温度管理も問題がなさそうに思えます。しかしながら、今度は「熱しすぎ」「接合しすぎ」に注意が必要になります。
特に、機械的固定工法では、熱しすぎによってシート表面に「テカリ」が生じやすくなります。テカリは「見た目」以外の問題にも発展する可能性があります。テカリが生じている場合には、その分シートが伸びて薄くなっているケースが多いので要注意です。そうすると防水層としての機能が低下することにつながりかねません。
こうしたケースでは、固定箇所を機械を用いて熱した後に、濡れ雑巾などを用いて冷ますなどの方法で対処する必要があります。
塩ビシート防水の施工ポイントは「気温」
ウレタン防水など「塗る防水」は、塗り物ゆえに温度管理が重要だということは周知の事実です。塩ビ防水も固定部分については、接着剤や溶剤を用いるため、やはり気温に対してアジャストしながら施工することが重要な防水材だと言えます。