効率的で安価なSCP工法への改良
しかし、サンドコンパクションパイル工法(SCP工法)にも弱点がある。バイブロハンマーの振動により、振動棒先端部周辺で過剰間隙水圧(人為的な液状化現象)が発生し、振動エネルギーを周辺地盤へ効率的に伝達できない点だ。これでは締固め効果が広範囲に及ばない。
そこで私は、過剰間隙水圧の上昇を打設時に吸水することによって抑制する吸水装置を振動棒先端部に取り付ける改良を行った。
以下に、振動棒先端の吸水装置の改良点を示す。
- 吸水装置は、連続吸水が行えるように装置を2セットとし、作動タイミングは、一方が吸水しているときは他方は排水するようにした。
- 大深度排水を可能にするため、真空ポンプで吸水した水を切替えバルブにより空気圧縮機に切替て地上に排出した。
- 吸水部の目詰まり対策として、実験により給水筒を長さ40cm・φ50mm、吸水孔をφ6mm・間隔20mmとした。
SCP工法と改良型工法の比較実験
上記の改良型工法の効果について、SCP工法と比較するため、現地で実験を行った。
施工箇所が設定された地震動により液状化しないためには、改良後N値を10以上にしたい。そのためSCP工法での設計上の打設間隔は2.1m(正方形配置)とした。
そこで、SCP工法の打設間隔を1.5m、2.1m、3.0mとし、一方、改良型の工法は吸水効果を考慮して2.5m、3.0m、3.5mとして実験を行った。
結果は下表の通りである。
SCP工法では2.1m、改良型工法では3.0mが妥当な打設間隔であると判断した。 そして工事は、改良型の工法により打設間隔3.0mで施工。施工途中と施工完了後の標準貫入試験による確認ボーリングではN値10以上となり、この改良型の工法を採用すれば、砂杭打設間隔を拡張しても改良効果が十分であることが実証された。
みんな、もっと自慢しようぜ!