土木部と生コン事業部の二刀流でQC活動
髙野組は、2017年度に熊本県土木部が発注した八代市の八代鏡宇土線・道路橋と大鞘川・水管橋の現場で、QC活動に積極的に取り組んだ。
この現場に生コンを供給したのは、八代地区生コンクリート協同組合が指定した髙野組の生コン事業部だった。
工場長としてオペレーターに携わった宮嶋智恵美は、当時のことを次のように回想する。

(株)髙野組生コン事業部の宮嶋智恵美工場長
「ミキサー車6台程の台数による出荷でした。日頃から出荷数量の多い打設時は骨材によりスランプ値が変わり易く、JIS規格では1回以上/午前・午後の表面水測定となっていますが、生コンの状態により試験回数を増やし目標スランプを狙っています。
この現場でも同様の手法をとりました。現場が近かったので、ドラムカバーは使用しませんでしたが、現場と八代地区生コンクリート協同組合、工場で頻繁に連絡を取り合いながら、迅速な出荷を心掛けました」
過酷な夏場の生コン打設。作業員を休ませながらの施工に苦心
一方、現場では、生コン打設前に現場代理人や主任技術者だけでなく、左官工などの作業員も交えて会議に没頭していた。
夏場の熱い時期という過酷な現場での生コン打設だった。工事の総括にあたった土木部長の松﨑誠也は、当時の苦労をストレートに吐き出す。

(株)髙野組土木部の松﨑誠也部長
「作業員の熱中症対策に苦労しました。打設を始めたら90分から60分以内で終わらせなければならず、作業員を休ませながらの施工でした。
当時は、熊本地震の復興・復旧工事に作業員を取られていたので、作業員集めにも骨を折りました。
QC活動をきちんと行いたくても、技術者の高齢化、新規入職者の減少などにより高い施工技術でのコンクリート構造物の築造が困難になっているのが現状です。
高性能な生コン自体のコストを最初から見てくれれば、作業人員の削減につながると思います」