強風が及ぼす影響を把握しているか?
雨だけでなく、風も安全管理上重視される管理項目だ。足場作業では説明の必要もなく、強風時の作業は行ってはならないというのは常識である。
しかし、台風などの強風に対しては、さらに構造物の力学的な条件も考慮する必要がある。
風が吹くと、現場で飛散する可能性のある道具類や現場事務所の養生などが重要視されてきた。だが、それと同時に土木現場の構造物が風による外力によりどのように変形するか、振動するか。風の力がどのように加わることで崩壊が起き、どのような危険が予想されるのかといったKY活動も重要となる。
構造物の設計上、風に対する安定計算は当然考慮されているが、施工管理側の私たちが風によって引き起こされる構造物への影響について考える機会は非常に少ない。
擁壁の施工の際、風による影響を考えたことがあるだろうか? 異常気象が頻繁に発生している今、飛来物が擁壁に激突した際の耐久性など、これまで以上に風を考慮しながら施工する必要がある。
また、施工箇所周辺の地盤対策もこれまで以上に慎重さが求められる。安定計算上の数値だけでなく、台風による影響を現場ごとに見極め、適切な対処を行う必要がある。あらかじめ台風の雨量を考慮した地盤調査や改良方法も必要になるかもしれない。
自然環境の変化に合わせた施工管理を
いずれにせよ、台風をはじめ頻発する自然災害によって、これまで建てられた構造物が崩壊している以上、今までと同じ対策というわけにはいかない。
自然環境が変化している今、自然災害に対する対策も同じように進歩していかなければならない。
そんな状況で私たち施工管理技士にできることは、これまでよりも具体的な仮排水計画の実行や構造物の安定計算の数値など、根拠を徹底的に示すことだ。
もっと言ってしまえば、コンサルタントと対等な立場で具体的な設計の話をできるレベルにならないといけないと感じている。
普段から工事現場の近隣の住民とのコミュニケーションを取るってのもおすすめ。
天候があれたとき、その人たちの顔が浮かんでくるので、安全の意識がより高まると思う。