改築保全には全体を見る「プロマネ」が必要
――改築プロジェクト部とはどんな部署ですか?
志賀さん 当社の橋梁部門は、鋼橋の設計、製作、建設をメインに行ってきましたが、近年になって、日本国内で鋼橋を新設する仕事が減ってきています。その一方で、高度経済成長期につくられ、古くなった鋼橋の補修や架替えといった仕事が非常に増えています。
私が所属する改築プロジェクト部は、鋼橋の改築や保全の仕事を専門とするセクションです。技術室は、工事を含む技術全般や設計を担当する部署になります。
鋼橋などを新設する場合、橋を設計して、工場で製作して、現場で架設するという仕事の流れがあって、社内組織として、それぞれ担当するセクションがバチンと分かれています。新設ではそれが最適なかたちなのですが、既にある古い構造物をなおす改築保全の場合は、そうはいきません。現場の状況をフィードバックしながら、安全管理を含めたプロジェクト全体をマネジメントする必要があるからです。
新設のように、ココからココまではこのセクションの仕事と役割を分けてしまうと、どのセクションが担当するか分からないハザマのような部分が残ってしまい、仕事を進める上でのネックになってしまうことがあるんです。
改築プロジェクト部技術室は、このハザマの部分を重視したセクションです。組織上、技術室というセクションになっていますが、設計もするし、製作も見るし、施工もするし、安全管理も損益管理もするという、技術的な観点からプロジェクト全般を見るプロジェクトマネジメントを目指しています。技術室では設計をしますが、設計だけではなく、現場にも行くし、工場にも行きます。
私の仕事は、私自身がプロジェクトを見るということに加えて、それに精通した人材を育てるということもあります。技術室が設置されたのは5年ほど前ですが、鋼橋の業界では、先駆け的なセクションになるように思います。
改築保全の仕事には「誰も手を出さない」領域があるんです。それを取り込めば仕事はうまくいきますが、逆にそれをしないと、仕事は絶対にうまくいきません。私は「ウチは技術室だから、ここまでしかやらない」というカベをつくらないように努力しています。「タテ割りになったら、うまくいかない」というのは、技術室だけではなく、改築プロジェクト部全体の方針でもあります。
――現在の改築のプロジェクト数は?
志賀さん 規模の大小はありますが、今は15ぐらいですね。われわれの拠点は横浜本社(横浜市鶴見区)ですが、現場に出ていることが多いです。私が渋谷駅東口歩道橋の架替え工事を担当していたときは、ずっと現場事務所にいました。もちろん現場代理人はそれぞれの現場にいるわけですが。
私の仕事内容は、プレイングマネージャーみたいな感じですかね。私自身、「自分の仕事はココまで」と区切らないよう心がけています。

渋谷駅東口歩道橋架替工事の様子(写真提供:JFEエンジニアリング)
――技術室のメンバー数は?
志賀さん 私を入れて10名です。プレイングマネージャー的な動きをしている中堅社員もいれば、設計を中心にやっている若手社員もいますが、社員ごとに役割が決まっているわけではありません。必要に応じて、仕事の範囲が変わります。
個々の社員の意識が高くないと、ズルしたりする人が出てきたりするのかも知れませんが、幸い、今のメンバーはしっかりしているので、それぞれの裁量でうまくいっています。現場でトラブルがあったときには、全メンバーで助けに入るなど、フレキシブルに対応することにしています。
仕事に対する信念はとても大事だと思います。信念を共有できる仲間の輪を拡げましょう。応援しています。
信念を持って困難に対峙する技術者。普段スポットライトがあたることは無いが、日本のインフラは間違いなく彼のような素晴らしい技術者に支えられている。
ずっと前から、橋を作りたいと仰っていましたものね!夢を叶えられて、凄いですね!!これからも縁の下の力持ちとして、頑張って下さい!生意気いってすみません…。陰ながら、応援しています(^-^)