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「安全に対する意識はどこにも負けない」 JFEエンジの技術室長が語る改築保全の極意とは?

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公開日:2020.03.11 / 最終更新日:2022.08.16
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難易度の高い仕事は単純に面白い

――「新たに橋を架けたい」と思っている社員にとっては、改築の仕事をマスターするのは大変そうですが。

志賀さん そうですね。改築の仕事は、あまり魅力的には見えない仕事かも知れません。私自身、狭くて汚れたところにもぐり込んで構造物を計測したり、火災事故の復旧現場で煤まみれになったりと言うこともありましたし、若い頃は周囲から「よくやるよね」と言われていました。

ただ、「改築の仕事に魅力がないか」と言えば、「魅力はある」と思っています。技術者としては、難易度の高い仕事は単純に面白いものですし、何より社会に求められている仕事に携わる、人の役に立つという意味で、大きなやりがいを感じるからです。

――と言うと?

志賀さん 例えば、2008年に首都高でタンクローリー事故が発生した際の復旧工事が挙げられます。この事故では、火災によって橋桁が変形し、通行止めになりました。通行止めに伴う経済損失は1日5000万円と言われ、1日でも早く開通させる必要があったので、首都高さんをはじめ、われわれ、職人さんなど復旧工事に関わるみんなが一緒になって一日でも早い復旧という共通の目的を達成するために一丸となって作業を進めました。

この時は私はほんの一部に携わったに過ぎませんでしたが、「社会に必要な仕事をしている」ことを強く実感しました。これはスゴく大事なポイントだと考えていて、改築プロジェクト部の特に若い社員には、これを経験する機会をつくりたいと考えています。

首都高5号線でのタンクローリー火災事故復旧工事の様子(写真提供:JFEエンジニアリング)

改築プロジェクト部は、通常の改築保全工事以外に、緊急工事や災害復旧工事を手掛けることが多いんです。首都高の火災事故復旧工事のほか、山口県の大島大橋船舶衝突事故の橋梁復旧も、技術室のメンバーも加わり現場主体で行いました。

これらは要請を受けて緊急で行う仕事なので、部署の垣根があると、やはりちゃんと対応できないんです。こういう仕事は技術者にとって「社会貢献になる」と実感できる仕事でもあります。技術室のメンバーにとっても、こういう仕事を経験することが、自身の存在意義ややりがいを感じられる機会として、大事だと考えています。

――ここ数年、「今あるインフラを守る」仕事がクローズアップされるようになっています。

志賀さん 鋼橋の新設工事の発注量は年々減ってきていますが、改築保全系の仕事は非常に増えています。マーケットも変わってきており、当社では、橋梁という一つの部署だったものから、改築保全専門の部署を作り、今に至っています。

安全に対する意識は、どこにも負けない

――首都高の「恒久足場」は、発注者から要請を受けて設置したのですか?

志賀さん 恒久足場は、東京・渋谷の道玄坂上付近の首都高3号線の支承などを取り替える工事の中で設置したものですが、その工事をしているときに、その近くで火災事故が起きたんです。

当初の恒久足場は樹脂製の予定でしたが、火災事故をきっかけに、「樹脂製では火に弱い」ということで、首都高から「火災に強い金属製の恒久足場をつくってほしい」という要請を受け、開発したアルミ製の常設足場です。

重要なインフラである高速道路橋を安全に維持していくためには、定常的な点検や維持管理が不可欠で、常設足場はそこに役立ちます。夏場の足場内の点検や補修作業は、暑くて暗いので過酷です。われわれ自身、その過酷な環境を経験しているので、明るく風通しの良い構造とし、安全な作業環境を提供しています。

構造物としての美しさにもこだわっており、景観性も高いと評価頂いています。これは技術室だけでなく、改築プロジェクト部をあげて開発から実現まで手掛けた仕事です。この恒久足場は、首都高3号線の道玄坂のほか、西麻布付近にも設置しています。

首都高3号渋谷線に設置された恒久足場(写真提供:JFEエンジニアリング)

社会の困りごとや必要とされることにどこまで対応できるかが、「仕事の付加価値」になるものと思っています。社会から価値が高いと認められる仕事を通じて、自分たちの存在意義や価値ができていくものだと思います。

われわれが一番大事にしているのは、「安全」なんです。建設業界で「安全」は当然必要なことですが、その安全を守り続けることは簡単なことではありません。だからこそ、われわれは「安全」を一番重要視しているんです。手前味噌のようですが、安全に対する意識の高さは、どこにも負けないと自負しています。

具体的なことは言えませんが、ある発注者から、「安全に関する話を聞きたい」と呼ばれたことがあります。安全のために重要なことは、安全管理のための手法を駆使するだけではなく、まず「安全に対する意識をいかに高めるか」。これに尽きると考えています。

こう言うと、ありきたりな話のようですが、これ一つでガラリと変わるんです。改築プロジェクト部では、協力会社の皆さんも含め、仕事に関わるチーム全員の安全への意識の向上を徹底して行ってきています。

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この記事を書いた人

四国の犬
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コメント(3)

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  • - 2020/03/12 9:31

    仕事に対する信念はとても大事だと思います。信念を共有できる仲間の輪を拡げましょう。応援しています。

    返信する 通報する
  • - 2020/03/14 7:01

    信念を持って困難に対峙する技術者。普段スポットライトがあたることは無いが、日本のインフラは間違いなく彼のような素晴らしい技術者に支えられている。

    返信する 通報する
  • - 2021/06/07 23:45

    ずっと前から、橋を作りたいと仰っていましたものね!夢を叶えられて、凄いですね!!これからも縁の下の力持ちとして、頑張って下さい!生意気いってすみません…。陰ながら、応援しています(^-^)

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