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「安全に対する意識はどこにも負けない」 JFEエンジの技術室長が語る改築保全の極意とは?

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公開日:2020.03.11 / 最終更新日:2022.08.16
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「実際に橋をつくりたい」でNKKに入社するも…

――もともと橋梁に興味があって入社したのですか?

志賀さん そうですね。もともと「エンジニアになりたい」という思いがあって、大学で土木に進んだんです。大学では「橋の設計をしたい」ということで、鋼構造の研究室に入りました。私には、鋼橋が魅力的でした。

例えば、トラス構造は、最適化された力の流れがよくわかるカタチになっていて、洗練された構造美というか、絞り込まれた美しさのような魅力を感じていました。当時の研究室のOBの方から、「ウチに来れば鋼橋の設計ができるよ」と言われ、当時のNKKに入社したわけです。

――コンサルは考えなかったのですか?

志賀さん 少しは考えましたけど、やはり実際に橋を造るというところをやりたかったので、当時のNKKに入社しました。

――メタルの橋の魅力は、橋の機能美ということですか?

志賀さん 例えば、ニューヨークのブルックリン・ブリッジは有名な橋ですが、そのアプローチのアーチ橋は好きな橋の一つです。マニアックかも知れませんが。大きな部材がつくれない昔の橋なので、メチャクチャ細かい部材を組み合わせて作られている橋なんです。そういう人の手と技術で造られた、緻密で、正確で、ムダがない構造美に惹かれますね。

――入社してからどのような仕事してきましたか?

志賀さん 私は今年で入社21年目です。新設の設計をやったこともありますが、首都高横羽線の耐震補強工事とか、ほぼ保全改築畑を歩んできました。改築保全の仕事は、難しくてややこしい仕事です。橋梁部門では、鋼橋を新設するのがメインだったので、ずっと「傍流・亜流」を歩いていた感じだったと思います。当時は、改築保全の仕事は、世の中でもあまり重要視されていなかったように思います。

昔は仕事そのものが少なかったこともありますが、手間がかかる難しい仕事の割には、発注者にも受注者にも、どこか「余計な仕事、面倒な仕事」みたいな感じがあったように思います。ですので、仕事に関わる色々な立場・役割の人たちがそれぞれ「これは自分の責任ではない」と言って、責任回避するみたいな感じがあちこちにあって。これではうまくいきませんよね。

若いころは「こういうのは嫌だな、良くない」と思いながら仕事していました。ですので、自分では、少しでも仕事が上手く進むように、だれも手を出さない問題やだれの仕事かはっきりしない境界に意識して手を出すようにしていて、それは、今の仕事の仕方のベースにもなっているように思います。

――鋼橋の新設に携ったことは?

志賀さん それが、さほど多くは携わってきていません(笑)。入社した最初の1年間、研修がてら橋の設計を手伝ったぐらいで、後にちゃんとした橋の設計も経験しますが、2年目からは首都高横羽線の耐震補強の現場に設計担当として入りました。当時は「橋じゃねえなあ」と思っていました(笑)。言ってみれば、橋の部品ですよね。

耐震補強の後、開発部署に異動したのですが、開発と言うより、鋼製橋脚の疲労きれつの調査研究のような仕事から、補強構造を設計するような仕事をやっていました。

当時の道路橋の設計では、自動車の活荷重による疲労現象については考えなくて良いとされていましたが、首都高で鋼製橋脚に初めて疲労亀裂が発生したので、原因や対策などをいろいろ調べていたわけです。過去に自社でつくった橋を自社で直すのは当然のことですが、「ますます橋じゃないな」と思っていました。

若い頃は「橋の設計をさせてくれ」と会社に言い続けていましたが、なかなか機会はありませんでした。その頃は、イレギュラーな仕事をやることが多かったのですが、そういう人間は他にあまりいなかったのか、なんとなくイレギュラーな仕事を担当することが多かったように思います。おかげでイレギュラーな、よくわからない仕事をやるノウハウは蓄積されていったのかも知れません。

――「やりたいことができない」という思いがあったわけですか?

志賀さん 若い頃はあったと思いますね。でも、面白いと思うこともたくさんあったとように思います。決まった仕事をただ効率良くやるのではなく、決まったやり方やカタチがない仕事を考えながらやるほうが好きというか、燃えるタイプのような気がします。「こうやれ」と言われて、ただ素直にやるような性格でもないというか…。

結果的に、新設より、改築保全のほうが自分に合っていたということかもしれません。

エンジニアは、「人間性」

――エンジニアにとって必要なことは?

志賀さん 「人間性」ですね。エンジニアにとって、知識とか技術などはあって当たり前、とされるものだと思いますが、本当に質の高い仕事、誰もやったことがないような難しい仕事を成し遂げるためには、その目的を最優先として、私利私欲に囚われない正しい判断が必要になるものと思われ、それは高い技術者倫理とか人間性がないとできないと考えています。私自身、自分自身の人間性がどうなのかということに目を向けるよう意識しています。

職人さんの中には、その人しかできない仕事というものがありますよね。会社や土木技術者も同じで、この会社にしかできない、自分にしかできない仕事というものがあれば、それはスゴイ価値だと思っているんです。それを生み出す源は、その人の人間性に関係しているように思います。

例えば、大島大橋の船舶衝突事故復旧工事を考えると、「島民の方たちのために、1日でも早く橋を復旧させる」という強い思いがないと、やっぱり自分自身も現場も動かず、仕事は成し遂げられなかったように思います。

普通、人間って、難しい仕事でツラくなると、だんだんカベをつくったり、責任転嫁するようになるように思うんです。人間性が高ければ、ツライときこそ助け合うし、ツライときこそ逃げないんだと思います。そうなれば、結果的に良い仕事ができ、質の高いモノができるはずです。

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四国の犬
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コメント(3)

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  • - 2020/03/12 9:31

    仕事に対する信念はとても大事だと思います。信念を共有できる仲間の輪を拡げましょう。応援しています。

    返信する 通報する
  • - 2020/03/14 7:01

    信念を持って困難に対峙する技術者。普段スポットライトがあたることは無いが、日本のインフラは間違いなく彼のような素晴らしい技術者に支えられている。

    返信する 通報する
  • - 2021/06/07 23:45

    ずっと前から、橋を作りたいと仰っていましたものね!夢を叶えられて、凄いですね!!これからも縁の下の力持ちとして、頑張って下さい!生意気いってすみません…。陰ながら、応援しています(^-^)

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