トンネル業界屈指のアイディアマン
この試みを始めたのは、日本トンネル専門工事業協会・組織広報委員会の森崎英五朗さん。コロナ禍で苦しむ人々に「トンネル貫通の写真を載せたら、希望を感じてもらえるのでは」と思いついた。
トンネル工事業者などに声をかけると、50枚以上の写真が集まった。
掲載する写真は、できるだけ光が差し込んでいるものを選んでいるという。シリーズ開始当初は100人ほどだったフォロワーは、現在400人ほどに。
シェアなどでじわじわ広がっており、「時々コメントなどもついて、色んな人が喜んでくれている」と、森崎さんは嬉しそうに語る。
日本トンネル専門工事業協会は、トンネル工事の専門会社などで構成された組織。人手不足のトンネル工事業界のイメージアップのため、森崎さんが昨年、組織広報委員に任命された。
森崎さんはスマホアプリ「重機でGO」を企画するなど、以前から新たな発想で業界の広報活動を行っていたという。
「トンネル工事あるある」がアニメに
同協会では、昨年度から森崎さんを中心に、工事関係者にはお馴染みの「トンネルあるある」や、意外な「トンネル豆知識」を紹介するアニメ「知ってる?トンネル」を制作。4月中旬より協会のYouTubeチャンネルで配信している。
アニメには、「トンネル建設前には、入口を鳥居に見立てて化粧木を置き、神主が安全祈願する」「火薬庫には交代で専属の火薬番がいる」「トンネルは地図に半永久的に残るので、仕事に誇りが持てる」など、25のネタが盛り込まれている。ドリルジャンボやシールドマシンなど、トンネル工事専用の重機の紹介もある。
知ってる?トンネル総集篇【全25本】 / YouTube(日本トンネル専門工事業協会)
実際のアニメ制作を担ったのは、『ピアノの森』などで有名なアニメ制作会社「ガイナ」。同社社長が森崎さんの高校の同級生だった縁で依頼したという。
初めは「トンネルができるまで」の動画を作る構想だったが、「そんなのもうYouTubeにたくさんある」と指摘され、まずは「トンネル工事の存在に興味を持ってもらう」ための動画を作ることに。
各社の若いアニメ好き社員を3人集め、アニメスタジオで5~6回、意見を出し合いながら「あるある」を考えたということだ。