「ボクは彼女とこんな感じで生活してみたい」
――設計での工夫は?
見塩さん 通常、マンションプランの会議の際は数字を積み重ねて検討するのですが、今回はゼクシィさんからいただいた夫婦のスタイルや熱い気持ちを企画に投影しています。「ボクは彼女とこんな感じで生活してみたい」だったり、「夫とこれが一緒だと喧嘩になるから分けて欲しい」などなど、プライベートでの経験を両社が共有したんです。普段、夫婦の話って職場ではお互いに照れて話さないけど、こういうチームでの会議だから「こんな場所があったら”ありがとう”とか素直に言えるかもしれないね」・・・というような踏み込んだ話もしましたね。
そして出来上がった「理想の新婚部屋」は、一般的な1LDKや2LDKと異なり、想定している夫婦にあった生活シーンを再現できるよう、空間の面白さをあえて一般化させずにつくることを大事にしました。そうしないと、普通のコンパクトマンションとの差がなくなるからです。
例えば、「猫っぽカップルの気まま暮らし」は、相手が見え隠れするオープンシェルフで囲まれた寝室、腰かけてちょっと会話したり本を読んだりに使える「小上がり」など、さりげなく相手の存在を感じられる仕掛けを随所に施しています。

「猫っぽカップルの気まま暮らし」の室内
他にも、並んで朝の身支度ができるふたつの洗面化粧台やふたり一緒の料理時間を盛り上げてくれる一段高く設けた「ステージキッチン」、仕事や勉強に没頭できて、かつケンカの後にはクールダウンもできる「おこもりDEN」や、時には一人を楽しむ約8.5帖のロフトなど、ふたりがお互いに目が届くという程よい距離感になっています。
また、「七夕カップルの愛ある家庭内週末婚」では、それぞれの相手に気兼ねなく過ごせるように、新婚なのに寝室はあえて分けています。各自専用の洗面台、収納、下足入も平等に設置、各自専用のロフトもあり、お互いの空間を、いつもは1LDKの部屋に帰るような感覚の構成にし、貴重なふたり同時の休日には、LDKのリビングベッドでゆったりできます。これなら趣味の道具を広げっぱなしにしていても、ケンカの種になりませんよ。

『七夕カップルの愛ある家庭内週末婚』が叶う部屋
今後はどことコラボする?
――苦労された点は?
見塩さん 「猫っぽカップルの気まま暮らし」の丸い飾り棚をご覧になったと思いますが、設計・施工ともに苦労しましたね。寝室は天井高をきちんと確保して、2階の寝室部分を居室扱いしました。そうすると、床や階段を耐火構造とする必要があり、木造の使用が難しく、最終的にはコンクリートで造りました。
ロフトも積極的に活用していけるスペースにしようと考えたのですが、東京都・江東区のロフトの考え方を調べていくと、「階段での昇降だとロフトと認めてくれない」などいろんな制約があったんです。最終的にはキャットウォークでつなげました。また、キッチンも丸みを帯びた構造としましたが、これも施工は大変で最終的に家具屋さんにお願いしました。
――反響は?
見塩さん 「猫っぽカップルの気まま暮らし」はモニター募集をし、総数168通の応募がありました。この4月から実際に住んでいただき、ブログ作成、取材などの対応もしていただいています。
――「理想の新婚部屋」は、今後も供給していく?
見塩さん 今回の2部屋はコンセプトに忠実なカタチで、空間をつくりました。今後は、この要素を一般的な空間にどう落とし込むかを考えた上で、これから供給するコンパクトマンションのなかに入れ込んでいきたいと思っています。
――今後も異業種とコラボする可能性は?
見塩さん ありえますよ。具体的にはお話しすることはできませんが、今後も異業種とのコラボは積極的に進めていきたいですね。
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