興味がないわけではなく、何も知らないだけ
以上のアンケート結果と、その後の講義や質疑応答を通じて、中学生は建設業に興味がないのではなく、そもそも何も知らないということがわかった。「建設業は3Kだから人気が無い」などと言われることがあるが、実際には3Kというイメージさえ持っていない。
そこで、中学生に対しては、建設業のイメージアップという切り口ではなくて、そもそも建設業はこんなことをやっているよ、ということを伝えるのがよいと考えるようになった。このスタンスは初期から継続してきた。
講義の構成を「家」中心にすると、学生のノリが全然違う
さて、私は土木屋なので、土建屋としてのささやかなプライドがある。そのため、「家」と答える生徒達に、「家もあるけど、建設業はそれだけじゃない!道路もあるよ、災害対策もあるよ!」と建設業の広範さを伝えようとしてきた。
これはこれで生徒たちは興味深く聞いてくれたが、2年くらい続けるうちに、「建設業=家」という強固なイメージに対して、「家もあるけど…」と否定するのはイマイチではないかと思うようになった。そこで、ある時、「家」のイメージを全面肯定する構成を試してみた。
具体的には、1軒の家を建てるために必要な工事を1つ1つ解説するようにした。実際には、生徒に対して「みんなが住んでいる家を作るためには、どんな工事が必要ですか?」と質問し、その答えについて解説するというやり方を採用した。
例えば、「屋根!」と言われたら、木造住宅の屋根がどのような素材で、どのように施工するのかを説明した。また、「お風呂!」と言われたら、ユニットバスをどう組み立てるか、水道管をどうやってお風呂まで引っ張ってくるか説明をした。
よく考えてみると、家には、建設業のほとんどの工種が集まっている。建設業許可の一覧表を見ながら以下代表的なところを列挙すると、大工、左官、とび・土工、屋根、電気、管、板金、ガラス、塗装、防水、内装仕上、電気通信、造園、建具などである。そのため、家の作り方を解説することで、建設業の多様な工種を概ね全て解説することができた。また、ある時は、住宅設計図の見本を持参したところ、生徒たちは驚くほど熱心に図面を読んでくれた。
このように「家」中心の構成に変えた途端、生徒たちの食いつき、ノリが大きく変わった。生徒の発言や質問の数が増えたし、笑ったりびっくりしたりと表情豊かになった。よく知っている世界の話であるから、理解しやすいし、興味を持てるからだと思う。「建設業=家」を肯定することで、ずっと実のある講義ができた。最初からそうすればよかったと後悔している。
家もあるけど、建設業はそれだけじゃない!道路もあるよ、災害対策もあるよ!
これやりがちだよね
社会の役に立ってるアピールしたがるけど、大人相手ならまだしも子ども相手だと途端に遠い話になっちゃう
もちろんその教育も大事だけど、まずは家についてしっかり知ってもらうってのは間違いないと思う
「建設業は3Kだから人気が無い」などと言われることがあるが、実際には3Kというイメージさえ持っていない。
まさにそうです。土木技術者自身が土木をディスるのはもう聞き飽きましたね。
実務者です、自分の子供身内にはさせないな
底辺の土方 綺麗事は無い