堤防決壊を防ぐ「インプラント工法」
――何がオンリーワンの技術?
古居 代表的なのが「インプラント工法」です。「インプラント工法」とは”天然の歯”の構造を意味し、地中に鉄の板「パイラー」を深く押し込み、一体化させることで、通常の施工よりも堤防や構造物を強化できます。大規模地震による津波や風水害による堤防決壊などを防ぐ効果があります。
一般的に堤防は、土砂で固めた盛土で構成されていますが、「令和元年東日本台風」や2020年7月4日に熊本県や鹿児島県を襲った大雨では、堤防の脆弱性もあり、越水・浸透・浸食破壊を起こし、大きな被害をもたらしたことは周知のとおりです。
そこで、堤防を鋼管矢板連続壁や鋼矢板二重締切により、補強をすることで、越水・浸透・浸食による堤防の崩壊を防ぐとともに、地盤をしっかりと拘束しているので、地震による液状化を抑制する効果も発揮しています。
「土木基礎事業」は、地球に根を張り、杭を打つ仕事がメインです。「インプラント工法」以外にも、「ジャイロプレス工法」、「硬質地盤クリア工法」、「ノンステージグ工法」、「液状化抑止工法」など多彩な工法を確立しています。
パイラーの機械は、鋼管杭や矢板を建て込み、ラジコンで操作、圧入していきます。

鉄道付近でもパイラー工法が活躍
――特化した技術で、他社と相当な差別化がはかれますね。
古居 これらの工法は、技研製作所(高知市)と日本製鉄(旧新日鉄住金)が共同開発・普及しており、フランチャイズ型の業務提携を展開していますが、多くの参加企業は基礎工事に特化した会社です。同社から認証基準をクリアした「GMメンバー」の認定を受けており、当社は特殊機械を保有し、GMトップ工法の技術力、提供できる、そこに強みがあります。
――ほかの技術は?
古居 景観を壊さず、日常生活の影響を極力無くした環境配慮型の技術を保有しています。最近では、鉄道近接現場や狭隘な建築現場など、狭い敷地でもパイルを打ち込む技術を全国展開中で、東京メトロのエスカレーター工事等にも導入しました。狭い場所で鉄の板を打ち込むことは難しいのですが、当社が保有する技術と機械により、可能になりました。この技術も技研製作所と契約し、機械を扱うことが可能になっています。
ほかインフラ整備、耐震・免震、住みよい街づくり(環境保護、道の景観整備)・震災復興など、街のお医者さん的役割を担っています。
こうした技術と経験があるので、スーパーゼネコンや準大手、中堅などの建設会社ともトップパートナーの地位を確立できています。
国土強靭化にパイラー工法は不可欠
――「平成30年西日本豪雨」や「令和元年東日本台風」などの洪水で堤防が決壊した事例がありましたが、より強靭な堤防にしてほしいというオーダーはあるのでしょうか。
古居 ええ。近年の豪雨等により、河川の堤防が決壊した事例も多く、当社の一連の技術を活用すれば、決壊しない防波堤を建設することは可能なため、徐々に全国の河川堤防決壊時の対策、耐震化に対する緊急性として海岸堤防を強固にする計画や依頼が増えています。日本の国土強靭化にあたり、当社のジャイロプレスパイラー(インプラント)工法は不可欠なものです。そのため、さらに広め、安全・安心な街づくりに役立てたいと考えているところです。
ただ、こうした特殊な技術は、他社がすぐに導入できるものではないので、いずれは全国、そして東南アジアを中心とした世界に向けた展開を検討しています。実際、より強固で環境に配慮した当社の技術は東海エリアにとどまらず、日本全国から工事依頼が殺到しています。業界でも希少な技術力で幅広いニーズに応えられると自負しています。
――もう一つの柱である建設事業部は?
古居 建設事業部は、建築部と重機部からなります。重機部は、最大20tクラスのものを運べる機械を保有しておりますが、中小企業でこのクラスの機械を保有しているところはそうそうありません。時代の先を見越した投資と機械を扱う技術力向上のため、積極的に導入しています。
建築部では、地下熱を利用した自然エアコンの「ジオパワーシステム」や太陽エネルギーを利用したスマートハウスを実現しています。ほか商業施設、邸宅、公共施設、工場など多彩な建築ニーズに設計・施工、リフォーム、メンテナンスまでトータルに対応しています。
ほかに変わった取り組みでは、ヨーロッパをベースとした住宅・店舗の設計や施工をされている「ぬくもり工房」の建築家・佐々木茂良さんとコラボを組んで、「かわいい、ecoとやさしい」をテーマに、より先進的で親しみと味わいを感じるこだわりの家も建設しています。

おとぎ話に登場するような建築「風の井戸」
時代に合わせた働き方にしていくことは理解できる。ただし、やるべきことをやってからではないだろうか?
一時的な魅力化対策の効果は長くは続かない。
このような働き方改善は賛成する。将来の姿がどのようになっているのか注目したい。