勝ち残るには”競合をつくらないこと”
――これから工務店業界はどうなりますか?
大場 社数は減少し、強弱の2極化がより明確になっていきます。弱い工務店は廃業か下請けに特化するようになっていくと思います。
――その中で、勝ち残っていく工務店の在り方は?
大場 例として、奈良県のSOUSEI株式会社を挙げさせていただきますが、ここの創業者で前社長の乃村一政さんは、元吉本興業の芸人で類まれなるコミュニケーション能力をお持ちです。加えて、秀逸な経営戦略を基礎から積み上げ、自社の強みと弱みを明確に分析しました。そして、開発、製造、販売、サービスというバリューチェーンの中で、経営資源のすべてを販売とサービスに特化しました。商品の開発と製造は外注しています。
つまり、乃村さんは工務店をサービス業と定義し、競合に勝つ戦略ではなく、競合をつくらない戦略を図ったんですね。モノや機能だけを進化させていくとコモディティ化が進みますが、サービスに特化していくと敵と戦わず、自社の土俵を確立することができるわけです。
――新型コロナウィルスの影響も含め、これから工務店がやるべき対応は。
大場 今、新型コロナウィルスの影響で、焦ってあれもこれもやろうとする方がいます。ですが、まずすべきことは競合の分析、そして地域の消費者の分析です。その上で、先ほども申し上げましたが、接客の標準化をすることです。そのためには、無駄な打ち合わせを減らし、製品や商品の統一化、合理化していくこと。例えば、消費者との打ち合わせもオンライン予約制も検討していくべきです。
また、新型コロナウイルスにより、消費者も様子見をしている傾向が見受けられます。給与の削減や自身の失業に不安を抱いているからです。こうした不安を払拭するために、万が一失業した際には、住宅ローンを9か月総額45万円を補償するサービスを展開している工務店もあります。最終的には、消費者のライフスタイルに寄り添いながら、消費者が満足いくようなサービスの提供をしていくことに帰結します。
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