工事現場はアトラクションであり、お客様はゲスト
思い付いたのは、建設中の工事現場に積極的に足を運んでもらうことでした。いうなれば、「施主体験型の家づくり」とでも名付けましょうか。ただ自由に現場に来てもらうのではなく、見応えのある場面を私がピックアップし、日時指定をしたうえで来場してもらうのです。
現場では現場監督である私が待ち構えています。そして、現在の工事の様子を詳しくご説明をしながらご案内するのです。ぱっとイメージしたのは、巷で有名な夢の国。ここでいう工事現場はアトラクションであり、お客様はゲスト、現場監督はキャストという具合。
例えば、基礎の配筋検査のタイミングがあります。コンクリートが明日には流し込まれる直前であり、中の鉄筋を見ることができる最後のチャンスです。もちろん私は、検査も兼ねて現場に来ています。
一通りの検査が終わる頃、待ち合わせていた時間にお客様がやってきます。そこで、私がどんな検査をしたのか、型枠や鉄筋がどのような仕組みで組まれているのか、コンクリートの品質管理はどのようにやっているのかなどを詳しくご説明するのです。
ほとんどのお客様は興味津々で聞いてくれます。一通り私からの説明が終わり、「いかがでしたか?何かご質問はありますか?」と聞くと、大抵のお客様から笑顔が溢れます。そして、「その説明を聞けてとても安心しました」と言ってくれます。
他にも、木工事完了のタイミングは、お客様をご案内するチャンスです。それも日時を指定して、よろしければどうぞと事前にご案内を入れておきます。仕事を半日休んでまでも、現場に足を運んでくれるお客様も多くいらっしゃいます。
当日は、木工事完了検査をし終わった頃にお客様を出迎えます。この頃には、部屋の間仕切り壁が出来上がり、クロスが貼られる直前の状態です。壁はこのように石膏ボードで作られているとか、クロスの下準備でパテを塗るとか、天井の丸い穴がダウンライトの設置されるところだとか、現場で見えるほとんどのことを細かく説明をしていきます。
また、家具を置いたらこのくらいのスペースになりますと、スケールを使って説明をしたりすることもあります。お客様は終始笑顔で話を聞いてくださいます。いよいよ新しい生活が始まるというワクワク感を実感できているのでしょう。「いかがですか?」と聞くと、「満足しました」という答えが返ってきます。
いつしか、私は自分の仕事にやりがいを求めるあまり、お客様も巻き込んで工事を進めるスタイルを確立していきました。幸いなことに、お客様にとっては安心や満足を得られる機会になっているようです。
もしこれを読んでいるハウスメーカーの現場監督の方がいれば、この「施主体験型の家づくり」を是非試していただきたいと思っています。忙しいからできないという方ももちろんいるかと思いますが、これをやっていると実は思わぬメリットがあります。
特に大手ハウスメーカーに現場監督はいない!
居るのは監督と言う名の営業マン。
自社の工法しか解ってない人がほとんど。