1級土木施工管理技士 過去問分析に基づく試験合格対策 基礎工「場所打ちコンクリート杭」の勉強ポイント
1級土木施工管理技士 過去問分析に基づく試験合格対策の第10回目は、基礎工「場所打ちコンクリート杭」についての勉強ポイントをまとめます!
「場所打ちコンクリート杭の施工」の出題傾向(スライム処理)
工法ごとのスライム除去のタイミングと方法などがポイントです!
スライムとは…掘削などによって生じる掘削クズ(粘土・砂・シルト等)。スライムを処理せず、杭底に残したままコンクリートを打設すると、スライムがコンクリートに混ざり、杭の支持力低下などの悪影響を及ぼす。
- オールケーシング工法
掘削完了後、鉄筋かご建込前にハンマクラブや沈積バケットを使用してスライムを除去する。ケーシングによって孔壁が保護されているため、鉄筋の建込によってスライムは発生しない。 - アースドリル工法
・1次処理→掘削完了後に底ざらいバケットを使用し、スライムを除去する。
・2次処理→鉄筋建込後、コンクリート打設直前にトレミーなどを利用しポンプで吸い上げる。 - リバース工法
・1次処理→掘削完了時、孔底付近の粗粒子をサクションホースで循環させ、沈殿させ粗粒子を取り除いた泥水と置き換えることによりスランプを除去する。
・2次処理→鉄筋かごを建て込んだ後に、コンクリート打設直前までに沈積したものを処理する。
「場所打ちコンクリート杭の施工」の出題傾向(施工上の留意点)
孔壁の保護、コンクリート打設時の注意点がポイント!
- オールケーシング工法の施工
コンクリート打設時、ケーシングチューブの下端はコンクリートの上面よりも2m以上下げておく(コンクリート内への土砂流入防止)。また、トレミーの下端もコンクリート上面より常に2m以上入れなければならない(コンクリート内への安定液や劣化層の流入防止)。 - コンクリート打込み完了後、ケーシングチューブを引き抜く場合、コンクリートの天端が下がる。配筋が密だと、鉄筋の下に空洞ができる可能性があるため、配筋に配慮し、流動性の高いコンクリートを使用する。
「場所打ちコンクリート杭の施工」の出題傾向(鉄筋かご)
- 鉄筋かごの吊り上げは、吊治具を用いて2~4点で水平に吊り上げる(ねじれ、たわみ防止)。
- 鉄筋かごは、かご径が大きくなるほど変形しやすいため、補強材は剛性の大きいものを使用する。
- 鉄筋の仮止めに溶接をしてはいけない!これは場所打ちコンクリート杭の鉄筋かごに限らず、鉄筋の加工で「点付け溶接」などの記述がある場合は×である。
※ただし下記のフレア溶接は別なので要注意! - 鉄筋かごの帯鉄筋をフレア溶接する場合の溶接長は、鉄筋径の10倍以上とする。
「場所打ちコンクリート杭の施工」の出題傾向(支持層の確認)
各種工法別の確認方法をしっかり覚えておくこと!
- アースドリル工法
(ドリリング)バケットにて掘削した試料の土質と深度を設計図書及び土質調査資料と対比する。また掘削速度・掘削抵抗の状況を参考にする。 - オールケーシング工法
ハンマグラブにて掘削した土の土質と深度を設計図書及び土質調査資料と対比する。支持層確認を行う。また、掘削時間、掘削抵抗の状況も参考にする。 - リバース工法
デリバリホースから砂を採取し、設計図書及び土質調査資料と対比する。また、掘削速度、ビット荷重の変化などの状況も参考にする。 - 深層工法
土質と深度を設計図書及び土質調査資料と対比し、目視により支持層を確認する。また、必要に応じて平板載荷試験を行う(深層工法は、人力で掘削する工法なので目視になる)。
【練習問題】次の記述は正しいでしょうか、誤っているでしょうか?
オールケーシング工法による現場打ちコンクリート杭において、掘削完了後のスライムは、鉄筋かご建込み後にサクションホースを用いて除去する。 |
→解答×…オールケーシング工法は、ハンマクラブや沈積バケットを使用してスライムを除去する。サクションホースを使用するのはリバース工法。
現場打ちコンクリート杭の鉄筋かごは、径が大きくなるほど変形しにくいため、組立用補強材は剛性の小さいものを使用する。 |
→解答×…径が大きいカゴの方が重量が大きくなり変形しやすい。当然、補強材も剛性の大きいものを使用する。
オールケーシング工法せの支持層の確認では、デリバリホースから排出される循環水に含まれる砂を採取し、設計図書及び土質調査資料と対比するとともに、掘削速度、ビット荷重の変化などの状況も参考にする。 |
→解答×…問題の記述はリバース工法の支持層の確認の記述である。