外国人技能実習機構の実地検査、FITSの巡回訪問
技能実習では、外国人技能実習機構が実地検査を行います。
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- 外国人技能実習機構の義務
外国人技能実習機構の義務として、機構の職員は、主務大臣からの委任を受けて、実習実施者に対して実地検査を行うことが技能実習法に定められています(技能実習法第14条)。 - 実地検査の回数
実地検査には、関係者から相談、申告、情報提供があった場合等に直ちに行う臨時検査や、原則、監理団体に1年に1度、実習実施者に3年に1度実施する定期検査があります。 - 実地検査の内容
実地検査において、認定計画に従って技能実習が適正に行われているか確認するため、実習実施者に報告を求め、必要な帳簿書類等を確認します。技能実習法違反の場合や出入国・労働関係法令違反が疑われる場合などには、改善勧告・改善指導を行います。 - 実習実施者の注意点
実習実施者は、機構の実地検査に際して、虚偽の報告や虚偽の必要書類の提出等をした場合には、認定計画の認定が取消される場合がありますのでご注意下さい。 - 実地検査の一般的な流れ
- 外国人技能実習機構の義務
一方、特定技能では、国際建設技能振興機構(FITS)が巡回訪問を行います。
FITSは、建設特定技能・特定活動が適正かつ円滑に実施されるよう、特定監理団体及び受入建設企業に対して巡回指導を行うほか、「FITS相談ホットライン」を開設し、外国籍人材の母国語による電話相談などを行っています。
建設業界には、外国人技能実習機構やFITSのように、人材の受入れや育成等が適正に実施されるために必要な支援等を行う団体が存在しますので、自社のためにも適正な運用を心がけましょう。
受入れを適正に行わなかった場合のリスク
受入けを適正に行わなかった場合、下記のような3つのリスクがあります。
【リスク1:行政処分(企業名・監理団体名公開)】
行政処分には、大きく分けて下記の2つがあります。
- 改善命令(技能実習法第15条)
認定計画に従って技能実習を行っていない場合や技能実習法令、出入国・労働関係法令に違反した場合に、必要な措置と期限を定めて命令します。 - 許可、認定の取消し(技能実習法第16条)
下記の不正行為は監理団体の許可、技能実習計画の認定が取消しの対象になります。
―認定計画に従って技能実習を行っていない場合
―欠格事由に該当した場合
―実地検査に際して虚偽の報告等をした場合
―改善命令に違反した場合
上記の行政処分を受けた企業は、外国人技能実習機構HP内(改善命令、許可・認定の取消し)に企業名・監理団体名が公開されます。
【リスク2:受入れ停止期間】
外国人技能実習機構の実地検査等により「不正行為」と入国管理局に判断された場合は、不正行為が終了した後から一定期間、技能実習生の受入れができなくなります。不正の内容により受入れ停止期間が異なります。(技能実習・特定技能を適正に行うとは?の表を参照)
【リスク3:特定技能の受入れ計画の審査が通りにくくなる】
下記の図は、特定技能を受入れる際の申請の流れです。ポイントは、「建設特定技能受入計画の認定申請」を国土交通省へ提出するという点です。
そのため、その企業に過去、技能実習の認定取消し等が発生した経験があると、国土交通省からの特定技能の受入れ計画の審査が通りにくくなります。