近隣住民と良好な関係を築く方法とは?
当たり前のように、近隣住民との良好な関係を築くことは大切であると、現場監督ならば熟知していることだろう。今回のように騒音などが発生し、近隣住民の協力がなければ工事進行が難しい現場では、特に配慮が求められる。
これまで、コミュニケーションは大切だと多くの先輩に言われてきたが、私はその言葉の具体性のなさに不信感を感じていた。
コミュニケーションといっても、方法は様々である。私なりの良好な関係を築くための行動を起こそうと思い、最初に具体的な資料を作成した。
まず第一に、人間との会話で大切なのは掴みである。私の場合は、最初に手土産を持って、低姿勢で挨拶に回る。ここで勘違いしてほしくないのは、いくら低姿勢とはいえ、“できないことをできる”とは絶対に言わないことだ。
あくまでも、工事中に騒音や振動による迷惑がかかることを伝え、協力していただけるように低姿勢で誠意をもって頼むということが重要である。同時に、どういった住民が住んでいるのかもリサーチしておき、十分に注意しなければならない住民の目星をつけておくことも重要である。
具体的な対策を考え、実行する
次に、高得点をとれた要因となったのは、振動や騒音について具体的な低減対策を考案し、実際に行ったことだ。
多くの場合は、振動や騒音について、近隣住民との良好な関係を築けば、従来の工法で行うといった監督が非常に多い。しかし、ここで重要なのは、なるべく振動や騒音を発生させない措置を具体的に考案するということである。
私の場合は、まず職人と相談して、従来使用するはずだった0.7㎥のペッカー機を、0.45㎥に変更し、振動音や騒音の低減に努めた。
作業効率の低下の心配があった為、事前にオペを呼び、現場を見ながらペッカー機の小型化に問題がないことを十分に確認した。結果的には、これだけで約16dB騒音を削減することに成功した。
また事前にチェックした注意したほうが良い住民の近辺には、防護柵に防音パネルを二重で設置。さらに、吹付やペッカー機の作業時も常に騒音を測定し、各作業で騒音が低減していることを確認した(平均で10dBもの低減に成功)。
私も住民説明会や近隣挨拶では、出来ない事ははっきり断りますし、騒音振動工事や粉塵については一言「ご主人、奥様の思っている以上だと思います。」と必ず言います。