守り寸法記載の過信
「振り返ると、中間確認時に現場監督と守り寸法の確認をしていましたが、中間確認時には建具枠はついておらず、『建具枠の箇所の壁は中間確認後につける予定です』という報告から、枠の分の壁があとで設置されると思っていました。でも現場は、すでに立ってる壁軸組みに、建具側の壁をつけるという認識だったんです。」
守り寸法については、何度か話をしていた為、Aさんはベッドに必要な寸法は当然確保されているものだろうと現場を過信し、その食い違いに疑問に思うことができなかったそうです。
その後も現場に足を運んでも他の確認事項に追われて、建具枠がついてからも確認することなくお引渡しまでしてしまいました。
さらにAさんは反省しながら、なぜ引越し時まで発覚が遅れたのか問題点を挙げてくれました。
<問題点>
- 守り寸法を含め図面寸法の当て方がわかりにくく、現場ミスを誘発した
- 中間確認の際に、建具枠の見込寸法まで細かく確認できていなかった
- 建具枠設置後の守り寸法確保の確認不足
是正工事はどうしたの?
さて、実際にはどのように是正対応したのでしょうか?
「壁の施工ミスについては、お客様と相談をして、お客様の御厚意により建具の吊り込み位置を反転させるということで対応させていただきました。」
この吊り込み位置の反転は、控え壁側に反転した引戸厚分の隙間ができるため、苦肉の対応でしたが、お客様の最小限の工事に抑えたい意向もふまえたものだったようです(メーカー品の場合は、保証失効するのでご注意ください)。
是正対応は無事終わりましたが、お客様の信頼を損ねる結果となりました…。
「設計者として、満足いただける形でお引渡しできない結果となり、今でも忘れられない案件です。」