信頼を得ておく必要性
急な依頼の対応でわかる信頼関係
ハウスメーカーの現場監督は、自分で作業をすることはほとんどありません。むしろ、それをしていると全く仕事が回りません。つまり、いかに人を上手に動かすかというスキルが最重要になります。それがうまくいかないと次のようになります。
あなた「明日の9:00に材料が搬入されるそうなので、材料を受け取りに行ってください。」
施工管理者「明日ですか??急に言われても。」
あなた「え?そうなんですか?そこをなんとかお願いできないですか?」
施工管理者「こっちにも予定があるんですよ。勝手なことを言わないでください。」
あなた「・・・。わかりました。自分でなんとかしてみます。」
こうして次の日、予定を調整し自らが現場に走り、しぶしぶ材料を受け取る作業を行うのです。
私ならこうする
現場監督は、段取りが命です。まずは急な予定が極力入らないようにしておくことです。先方の材料屋からの連絡に対しては、明日の受け取りを安易に許可しないことです。
しかし実は、他人が段取りした材料でも責任者である現場監督に搬入の連絡が入ることがあります。色々検討した結果、材料を明日どうしても受け取って欲しい時もあったりします。その場合は施工管理者に対し、こう依頼するのが良いでしょう。
私「材料屋さんから明日荷受けをして欲しいと連絡がありました。急なことなので私も困っているのですが、確かにその材料が入らないと現場が止まってしまう可能性があります。もし○○さんが受け取りに行っていただけるのならとても助かります、でもさすがに無理ですよね?」
施工管理者「また、急な話ですね。私も明日は用事がありますが、○○監督がお困りでしたらなんとかしてみますよ。」
私「本当ですか!無理を言って申し訳ございません。感謝します。」
施工管理者「いえいえ、困った時はお互い様ですよ。」
私「次はこういうことがないように材料屋には私から注意しておきますね。」
施工管理者「そうですね。よろしくお願いします。」
相手に依頼をする時は、目的と理由を必ず明確に伝えることです。それと、今ある問題点は私だけではなく、あなたにも共通の問題点であるということを理解してもらいます。ここでは高圧的ではなく、相談をするような態度で相手に協力を促すのです。
その上で、相手との信頼関係をすでに構築しているのであれば、「困った時はお互い様」と言ってもらえる条件が揃います。人を動かすためには、信頼関係が重要であることがわかりましたか?
実際、ここまでの協力体制を作り上げるには、ある程度の時間がかかります。日々、相手から信頼してもらえるような態度で接していくことが重要です。
人に仕事を任せる場合の心得
人に仕事を任せるということ
ハウスメーカーの現場監督は、すべての工事に立ち会うことは不可能です。基本的には、施工管理者や職人さんに現場を任せます。しかし、人に任せた分だけそこには不安が発生します。
「言った通りやってくれるかな?お客さんとうまくやってくれるかな?」
経験が浅いとその不安に押しつぶされそうになります。でも、それは試練だと思ってください。不安に思う原因は、あなたが依頼したその相手に100%の成功を求めているからです。
でも、現実的にそれは無理です。いくらあなたが完璧に指示を出したと思っていても、やるのはあなたではなく現場の人間です。違う人間がやるのだから100%はありえないのです。
つまり、指示通りにやれたかどうかを白か黒で判断しないことが重要です。工事完了の報告を受けたときに自分が指示したことと、少し違っていても90%の仕上がりくらいだったら成功したと思えばいいのです。そう考えれば、ずいぶん気持ちが楽になりませんか?
ベテラン監督の中には、相手を無能呼ばわりして「言ったことがやれていないじゃないか!」と怒鳴る監督もいるかもしれません。その言葉を受けた相手は「じゃあ、自分でやれよ。」と心の中できっと思うはずです。それは、有効的なやりとりでしょうか?
信頼して相手に任せたあなただったら、相手に対して「理想にすごく近い仕上がりにしてくれてありがとうございました。」と感謝を伝えられますよね。
信頼することと、その意義
信頼するって勇気がいりますよね。でも、長期的に見ると疑いを持って人と接するよりも、はるかに尊いことだと言えます。裏切られることを前提に人と接するなんて、少し寂しい気がしませんか?
私は、まずその人を信頼します。信頼しているから任せると宣言します。
言われた相手は、その言葉になんとか答えるようにできる限り頑張ってくれます。もし結果がダメだったとしても、その人の能力や環境がそぐわなかっただけなので、その人を責めるべきではありません。
信頼したのは自分、相手はそれに答えようと努力してくれた。ダメだったことはお互い反省し、次に繋げれば良い。それで解消できる話です。
もし、疑いをかけながら依頼してダメだった時、あーやっぱりダメだったかで終わりますか?もっと疑っていればよかった。あいつが悪いんだってなりますよね。そうなったら相手を信頼できず、自分のことも否定してしまいます。
まさに負のスパイラルに突入し、あなたはどんどん孤立をしていくことでしょう。それを繰り返していると、あなたの指示は誰も聞いてくれなくなるし、そのうち仕事も成り立たなくなります。どうか、そうはならないようにしてくださいね。