職人さんに認められよう
職人さんに受け入れられる3つの方法
職人さんは貴重です。あなたができない作業を代わりにしてくれるのです。よく考えてみてください。職人さんがいなければ、あなたの仕事は成り立たないのです。常に感謝の気持ちを忘れないようにしましょう。
そして、現場監督の仕事を成立させるためには、職人さんに認めてもらわなければなりません。ここであなたが職人さんに認められるための3つの方法を挙げておきます。
- 職人さんと同等程度の現場知識を持つ
- 現場を問題なくスムーズに進める段取りを計画する
- 常に職人さんの味方であることを理解してもらう
1は、自らの勉強と現場経験です。最初の頃は現場に極力通って、職人さんと会話をすることで知識が身につきます。その中でモノを知り、納まりを覚えていくことで自然と職人さんとの会話ができるようになります。
あなた「それって○○さん(職人さん)がラクをしたいからそう言ってるよね??」
職人「お??ばれた?なんでもお見通しだね。」
みたいな会話が、将来的にできるようになれば最高です(笑)。
2は、現場監督としては、基本的な能力として抑えておかなければならない項目です。現場の安定感は職人さんに安心感を与え、作業効率が上がることで仕事の質も高まります。しっかり段取りを組むことは、誰にとっても良いこと尽くめです。
3は、この中の項目で私が1番お伝えしたいことです。現場監督はよく矢面に立ちます。例えば、施主さんから「現場の大工が昼休憩に材料の上で昼寝してたが、一体どういう教育をしてるんだ。」とクレームをもらった時、あなたならどのように対応しますか?
もちろん現場監督として、施主さんには「気を悪くされたのは申し訳ございません。当社では熱中症などを防止するため、きちんと休憩を取るように指導をしております。昼寝をとることは悪いことではないのですが、お客様の大切な材料の上での仮眠は当社の指導不足で、あってはならないことだと考えます。大工にはそのように伝えます。」と謝罪をします。
そしてそれを受けて大工さんに対し、「なんてことをしてくれたんだ。恥をかかせやがって。二度と同じことすんな。」と言うのか、「疲れを取るために昼の休憩は大いに休んでもらって結構ですよ、ただお客様によってはそれが気に入らないって言う方もいるので、せめて材料の上で寝るのだけはやめましょうね。」と言うのかです。
前者は自分が施主から怒られたことに対して、感情の吐け口として本人へ当たり散らしています。後者は大工さんの立場にも立ちつつ、施主さんの気持ちをきちんと伝えています。あなたは、どちらが大工さんからの信頼を得ると思いますか?
職人さんたちへのアプローチ
職人さんたちは、横のつながりが強い場合が多いです。休憩時などは、輪になって職人さん同士で喋っていたりします。そこにまだ信頼のない新人の現場監督が入っていくと、蚊帳の外状態にされる場合があります。さて、あなたならどうしますか?
そうです。あなたは思います。「自分は発注する側の立場で、職人さんたちからしたら、いわばお客さん。蚊帳の外状態にするなんて、それがお客さんに対する態度か??」って。
でも、それは違います。職人さんは対価以上の仕事はしてくれません。つまりお金をもらって図面通り作ったら終わり。あなたに媚を売る対価はそこに発生していないのです。あなたが仕事的に価値のある人間であると認められて、初めて対等に職人さんたちとの会話ができるようになるという原理をまずは知りましょう。
新人監督におすすめの方法
今言ったことは、新人の現場監督には少し酷な話かもしれません。実は即効性のある方法がありますのでお伝えします。
まず、あなたが持っているプライドがあればそれを捨てましょう。入社したての頃は、職人さんたちはほとんどの方が人生の先輩であることが多いはずです。純粋に、人生の先輩に学ぶ姿勢で接することから始めていきましょう。大丈夫です。現場監督を始めて1〜2年目のあなたに、現場の人たちは難しいことを何も求めていませんから。気楽にいきましょう。
次に、休憩中の職人さんたちに人数分のジュースを買って持っていき、一緒に同じ場所で飲むのです。そして、自分のプライベートのことを包み隠さず話しましょう。相手に心を開いて欲しければ、あなたから心を開かなければなりません。
少し打ち解けてきたら、相手のことも色々聞き出しましょう。そうするうちに相手からすると、あなたに対し人間的なかわいさを感じてくれることでしょう。現場に行くごとに、その活動をしていけば職人さんにかわいがられ、人の輪を広げていくことができるのです。
コミュニケーション能力を磨け
現場監督のはじめの仕事は、人間関係をつくることです。人間関係をつくるためには、あなたのコミュニケーション能力の向上がどうしても必要になってきます。これは職人さんに対してだけの話ではありません。
社会で生きていくためのスキルとして最低限、身に付けておくべきことなのです。職人さんは横のつながりで和を作り、言ってみれば群れをなしています。
反面、現場監督は群れをなさない一匹狼です。一匹狼が群れに入って行こうとすると、どうしても抵抗が生まれます。その中でどのようにコミュニケーション能力を発揮するか。その答えは、意外とシンプルです。
「郷に入っては郷に従え」の精神です。職人さんたちが集まった時にその場の持っている雰囲気は様々です。
- 寡黙で真面目な人たち
- 底抜けに明るい人たち
- 控えめな人たち
- こだわりのある人たち
- 前向きな人たち
あなたがその輪の中で話をする時は、その雰囲気に合わせた話し方や態度をとって調和を目指すのです。そうすることで職人さんたちと同調することができて、仲間意識を少しは持ってもらうことができるはずです。
ただし、注意すべき点があります。いずれは現場監督として、言い辛いような是正指示なども出さないといけなくなる場面が出てきます。そのような場面に立った時でも、現場監督として毅然とした態度で指示をすることができるようなスタンスを、きちんと確保しておく必要があります。
そうでなければ、あなたの存在意義が、単なる仲良しこよしグループの一員で終わってしまいます。あなたが現場でリーダー的な一面があることも含めて、職人さんたちから認められることが人間関係構築の最終目標になります。
人間関係を築くことが現場監督の第一歩
この記事では、現場での立ち振る舞いや職人さんとの信頼関係を中心に書いてきました。信頼関係が生まれれば、監督としての本来の仕事を円滑に行うことができます。これを見ている若き現場監督さんたちには、その土台づくりをしっかりやっていくことをお勧めします。
明日、現場に行ったら手始めに、現場でヘルメットをかぶっていない職人さんにヘルメットをかぶってもらう指示をしてみましょう。覚えていますか?必ず理由と目的を伝えるんですよ。さあ、うまくいくでしょうか。
もしうまくいけば、信頼関係が既にできているはずですし、少しでも反発があったりヘルメットをかぶってもらえなかったりするのであれば、あなたへの信頼度はまだまだということになります。日々努力をしていきましょう。
数年後は、皆さんの発する言葉が信頼性を持ったものとなり、あなたの理想の仕事環境を整えることができるでしょう。頑張ってください。応援しています!
※この記事は『マイホームチュートリアル』の記事を再編集したものです。