濃厚接触者のため、作業員1人が自宅隔離
私は今、北関東のとある工業団地の中で、プラント建設の安全専任者として仕事をしている。本職は建築の人間なので、ゆくゆくは建築に戻るつもりではあるが、コロナ次第でどうなるか分からない。
コロナウイルスは、いまだ終息する目途が立たない。建設現場でも、感染者やクラスターが発生して現場が止まったとか、関係者が感染の疑いがあり現場に行けず自宅待機を余儀なくされてしまったなど、いつ自分の現場で起こってもおかしくないような状況だ。
かといって、なにか有効な手立てがあるわけでもなく、気を付けろ!と朝礼で言いながら、相変わらず狭い現場事務所の中では、密な状態で打ち合わせや仕事をしてるのが実情だ。
そんな中、私の所属会社ではないが、作業員が1人濃厚接触者として自宅隔離となった。どうやら家族がPCR検査で陽性となり、本人は陰性だったらしいが、しばらくは隔離され、様子を見ることになったそうだ。
コロナ感染がドンドン身近になってきたな、対策を徹底しないといけないなと思っていた矢先、現場では雪が降った。
降雪時のプラント建設の難しさ
雪が降ったとは言っても、1mとか2mほどではない。だが、慣れていない現場では、地盤面上の鉄板や仮設の鉄板床、鋼製階段などが滑りやすくなり、非常に危ない。機械と鉄骨を請け負っている1番メインの会社は、雪の影響でほとんど休業状態で、現場は実に静かだった。
日中は雪も溶けるのだが、それが夜になると凍ったりすることもある。そうなると、翌日はさらに危険な状態になり、それが繰り返されるような事態になれば、工程にも大きな影響が出てしまう。
私が関わっている会社は、電気計装関係がメインで、屋内の仕事と屋外の仕事が半々のため、その日は屋内の仕事がメインだった。朝礼も中止になり、責任者だけで集まった際には、連絡事項が我々に伝達されるのだが、それも「雪で滑りやすいので注意せよ!」の一言しか伝わって来ない。
慣れの問題もあるだろうが、降雪時のプラント建設が非常に難しいことがよく分かる。では、豪雪地帯にはプラントはないのか?というと、そんなことはない。北海道にも極寒のシベリア地方にも、プラントは存在する。
プラントにも外壁を取り付ける?
豪雪地帯では、どうやってプラントを造るのだろうか?雪の降る季節は、工事を止めて完成させるのだろうか?
過去に、吹雪を防ぐため防御壁を一部取り付けたプラントを見た記憶がある。一般のプラント建設は、当たり前のように、鉄骨むき出しの建屋の中に各種配管を引き込み、様々な設備機器を設置する。
鉄骨がむき出しなのは、有毒ガスが滞留しないよう、あるいは、燃焼のために常に空気を循環させるためなど、意図的にそうなってる部分も多々あるはずだ。建設時の安全や工程を考えれば外壁があったほうが良いが、既存の形もそれなりに意味はある。
だが、これからは、プラントといえども鉄骨むき出しではなく、通常の建屋のように外壁を取り付け、雪が降っても雨が降っても大丈夫なプラントが出現するかも知れない。
とはいえ、鉄骨の構造体に外壁を付けることは、既存のプラント建設に携わっている会社にとっては、今まで分かっていても手を付けようとしなかったことで、鉄骨精度にも関わってくるので、「ハイ、そうですか!」と簡単に変えられるものではない。
外壁を取り付けるためのノウハウだけで言えば、プラントよりも建築のゼネコンのほうが遥かに上だと思っている。しかし、建築のゼネコンは外壁の取り付けはできるが、建屋内部の配管機械設備などを、鉄骨組み立てと同時進行で行い、それぞれを微調整しながらの溶接作業は手に負えないだろう。
ボルト接合では、大口径配管などの位置の微調整にも限界があるし、それらを取り付ける専門の職人や現場管理人の手配も容易ではない。外壁のあるプラントを見ることができるのは、まだ先の未来になりそうだ。
・・・私は、日々仕事をしていく上で、疑問に思ったことはその道のプロに聞くようにしている。長年プラント工事に関わっている職人さんに、今回の疑問をぶつけ、色々と教えてもらった。コロナ感染防止のために、自由に出歩けない今だからこそ、そんな疑問を1つ1つ解決できる良いチャンスかもしれない!