防災工事に、地元住民から非難の声も
――仕事は大変なのでは?
夘野さん 確かに大変ですが、まったく苦にはなりませんね。東北での経験はボクにとっても大きくて、濃い。広島での倍以上の経験値を得ている感覚があります。現地では、多種多様な工事が発注されています。造成、防潮堤、道路、橋梁・・・。広島でこんなに色々な経験ができるかと言ったら無理ですから。
――紆余曲折ありましたが、東北に来てよかったですか?
夘野さん そうですね。めちゃくちゃやりがいがありますし、言葉が適切かは分かりませんが、楽しいですよ本当に。広島のときは、楽しいなんて思ったことないし、ツラいことしかなかったですから。
もちろん、ジレンマはありましたよ。東北に入った当初、防潮堤工事を担当していた時には、地元の方々から「海が見えん」とか「潮干狩りができなくなるじゃないか」とか、そういうことばかり言われたこともありました。本当にこの工事に意味はあるのか。何のために造っているのか。地元の方が望んでいないことをしているのではないか。そんな葛藤も常に抱いていました。
でも、それも最初だけで。なんだかんだ東北の方ってみんな優しんですよ。本当にあったかい。「これ持って帰って食べ」って何かいただくことなんかしょっちゅうですよ。昨日もサバをいただきましたからね(笑)。
行くところ行くところで新しい発見もありますしね。車でシカを轢きそうになってしまったり。そんな経験すること、広島にいたらないですから(笑)。
――今後も東北で?
夘野さん 今の現場の工期は5月末までなんですが、それ以降のことはまだ考えてないですね。先日、宮城県が来年度の予算案を発表しましたが、宮城県の震災対応予算は昨年度比で8割減(410億円)で、しかもそのほとんどがインフラ整備以外に充てられる予定です。つまり、確実に工事量は減るんですよ。どれだけ復興に携わりたいと思っても、求められなければ働けません。「震災10年で一区切り」という風潮は現地にもあります。
ですが、「橋ができた」「道路ができた」では復興とは言えません。そこに人が戻って、根付いて、初めて復興だと思うんです。特に、今の現場がある牡鹿半島は仕事で来られている人ばかりで、住まわれている人はほとんどいません。現地のガソリンスタンドの方からは、震災前から6割も人口が減ったと聞いています。私たちが手掛けた工事によって、昔住まわれていた方々が安心して戻ってこれるようになったり、新しく移住される方が増えてくれれることが、技術者として一番の喜びです。
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夘野さんご無沙汰してます、広島の上田です。昨日奥様にこの記事のこと教えて頂き拝読しました。何度も東北へ仕事で行かれ正直家族のことは大丈夫なのかなと、そればかり気になっていましたが、熱い想いを知りホット致しました、と言うより私も最近仕事が楽しく無くてモヤモヤしていましたが、夘野に負けじと頑張ろうと言う勇気を頂きました、くれぐれもお体に気を付けて頑張って下さい。以前よりだいぶ太り気味ですよ(笑)
復興は単に通常の工事とも違い、会社、社員、作業員それぞれの思惑が違う!
作業員同士でも、被災者、被被災者の違いはあるし、作業員不足を埋める為に、遠方の方達を導入せざるを得ない!
地元の昔からの技量を図れる人と違い、中々難しい物が有りますね!
それは監督業も同じ事で、中には会社からの派遣で嫌々来てる方もいる訳ですよね!
でも、復興に携わりたいと言う思いは大事にしたいと思います!