多忙な年度末でも、プレミアムフライデーは可能か?
毎月最後の金曜日は午後3時に仕事を終えて買い物や旅行をしよう。……政府と経済界が一体となって2017年2月24日からスタートしたプレミアムフライデー。しかし、プレミアムフライデーを実施している企業は少なく、一部報道によると全体の0.1%に限定されているという。
しかも、2回目のプレミアムフライデーとなる3月31日は、ちょうど年度末にあたる多忙な日だ。週休2日さえ取得しにくい建設業界でプレミアムフライデーを導入している企業はどこか?
ゼネコン各社に取材を行い、建設業界におけるプレミアムフライデーの動向についてまとめた。
清水建設・戸田建設・TSUCHIYAのプレミアムフライデー
清水建設は、働き方改革の推進を目的に2月24日から、毎月末金曜日の午後3時以後の退社を推奨する「プレミアム年休」を導入した。従来、1日または半日単位だった年休(年次有給休暇)を時間単位で取得できるようにしたことが特徴。また、業務上の理由により、月末の金曜日に当該年休の取得が困難な場合については、翌月の月末以外の金曜日等を代替日とすることが可能だ。
清水建設は「この制度により、毎月末の金曜日は少し早めに仕事を終えて豊かな時間を過ごせる環境が整うことから、働き方の柔軟性も増すものと期待する」と説明する。
戸田建設は、グローバルビジョン「“喜び”を実現する企業グループ」として「働き方の見直し」に全社を挙げて取り組んでおり、2月24日にプレミアムフライデーに踏み切ったのはその一環と説明する。
2月24日の営業時間は午後3時までで、午後4時には本社管理部門は多くの社員が退社したという。取材時には3月以降も継続するかは今後検討するとしていた。
中堅ゼネコンのTSUCHIYAも、働き方改革の一環として健全な労働環境の整備に繋げる目的で、導入に踏み切った。TSUCHIYAは「今後も業務効率の向上を図り、ワークライフバランスを充実させ、働きやすい職場環境の形成に努めていく」という。毎月の月末金曜日をプレミアムフライデーとし、対象日における勤務時間を始業から午後3時とした。
鹿島・大成・竹中のプレミアムフライデー
大成建設は、2010年度に導入した時間単位有給休暇を活用。1回目のプレミアムフライデーにあたる2月24日には、午後半休か時間単位の有給休暇を取得することを全社員に社内ネットで推奨した。取材時には利用状況を見て、今後の進め方を決めるとしていた。
鹿島はプレミアムフライデーについて「導入するかどうか、また導入するとしてもどのような形でできるか検討中」と回答。
竹中工務店は、「半日有給休暇の取得奨励ならびに、当日午後には会議を設定しない事」を柱として対応を開始した。
大林組からは唯一「特に回答することはありません」と回答を得られなかった。
大手ゼネコンでもそれぞれ温度差があるものの、働き方改革で前向きな動きをしている企業が目立ち、今後の動向が注目される。
大和ハウス工業のプレミアムフライデー
建設業界で一般紙に大々的に取り上げられた企業が、大和ハウス工業だ。2月24日のプレミアムフライデーでは、午後3時よりも早く帰れる「午後休」とした。
該当日の始業時間を午前8時に早めることで「午前中に集中して働く」という意識改革を図り、通常勤務時の生産性向上にもつなげるという。
2月24日の当日は、数多くのマスコミ取材があり、社員が笑顔で退社する写真が新聞などに掲載され、建設業のイメージも少しは変わったかもしれない。
また、新日鉄住金エンジニアリングの建築・鋼構造事業部もプレミアムフライデーを導入した。同事業部に限定した導入だったが今後、全社的な拡大を目指すという。
建設業界の処遇改善は徐々に進んでいる。給料のベースアップを発表しているゼネコンもある。建設業従事者の担い手確保・育成にあたっては、”やりがい”だけではなく、カタチに見える処遇改善が必要で今や待ったなしだ。