千曲川護岸復旧工事の施工不良はなぜ起きたのか?
今年1月頃だったと記憶しているが、長野県を流れる千曲川の護岸復旧工事で施工不良があったとの報道を目にした。驚いたのはその数で、約1万3000もの施工不良個所があったとのことだ。とんでもない数である。
法留基礎の未施工や大型ブロックの目開き、ブロック背面の胴込めコンクリート充填不足などが見つかったそうだ。個所数からみて、工事範囲のほぼ全域で施工不良があったのではないかと推測した。
報道によると、施工を担当する大林組は施工不良に至った原因として、河川工事の経験者を配置しなかったことを挙げている。
ということは、河川工事において何がポイントであり、どこをチェックしなければならないか、などを理解した人を配置しなかった、ということだ。未経験者ばかりで固めた工事というのは、私はこれまで見たことがない。
鉄道工事であれば、鉄道工事の経験者が現場代理人や監理技術者を務めていたし、シールドトンネルの現場では、シールドトンネル工事の経験者がズラリと並んでいた。鉄道工事の場合は、資格取得者が必要なため、各鉄道会社の経験者を2~3人はいれているだろう。
「これだったら○○だろう」は通用しない
ただの推測に過ぎないが、前述の河川工事の場合、会社上層部の中で「一般的な工事だから大丈夫だろう」という思考が働いたのかもしれない。
災害復旧工事でスピード感が要求されるため、空いている技術者をすぐに投入しなければならないという事情もあっただろう。工事の難易度はそれほど高くないと判断し、これくらいだったら大丈夫だろうという心境だったのではないだろうか。
これは決して他人事とは思えなかった。私自身、仕事の様々な場面で「これくらいだったら○○だろう・・・」と思ったことが何度もあったからだ。
「この高さだったら安全だろう」「これくらいの誤差だったら問題ないだろう」「この結果だったら特に心配しなくていいだろう」など、自分の感覚だけで判断したことが多々あった。
本来であれば、根拠があって理論があって、そのうえで事例があって、判断を下すほうがいい。多くの技術者はそうされているだろう。しかし、自分の感覚だけで仕事を進めている人も少なからずいると思う。
ベテランになり豊富な経験値をお持ちだと、なおさらそうなる可能性が高くなる。現に、ある現場で某建設会社の部長クラスの方が安全パトロール中、転落して亡くなられたという事故が過去にあった。小耳にはさんだ話では、安全帯を使用していなかったそうだ。
「これくらいだったら安全帯を使わなくても大丈夫」と、自分の感覚だけで判断してしまったのかもしれない。現場で発生する事故は、そういう類のことが多いような気がする。
ちゃんとルールを定めているのに、自分の感覚だけで判断してしまうことで、事故が発生した、という場面を何度も見たことがある。前述の河川工事についても根っこは同じではないだろうか。
他人事と捉えていると、同じ過ちを犯す
「こんなこと、自分だったら絶対にしない」「自分には関係ない」と思っていると、いずれ同じ過ちを犯す可能性がある。同じではなくても似た間違いをしてしまうこともあるだろう。
現場の事故事例を見ると、それがよくわかる。同じ会社で事故が発生し、2~3年経過するとまた同様の事故が起きてしまった、なんてことも見聞きしたことがある。
前述の河川工事における施工不良についても、他人事として捉えていると、同じような間違いをしてしまうかもしれない。もしかすると、数年後に道路工事や橋梁工事で同じような施工不良が起きてしまう可能性だってある。
その原因が「未経験者ばかりを集めてしまった」だとしたら・・・。今回の施工不良の事例が全く活かされていなかったということになる。
幸い、建設業界は勉強熱心な方が多い。様々な事例を学んで、それをご自身の業務に活かしておられる方ばかりだ。この施工不良の事例も、活かさない手はない。
そもそも 設計図書を読めば、あんな間違いは起こさないと思う
技術者のみならず、施工する作業員たちも、認識しなかったのか?
どうにも不思議な話で、困惑してます。
未経験では無い技術者と作業者を以後いかなる物件にも配置する発注しないとですねw
築堤の設定が甘かったとかは無いのですかね?
上流より下流の断面か小さいとかではなかったかな?
未経験の方が調べて慎重にするのでは? このくらいで大丈夫って発想は今の技術者は無いと思うが、設計図書にて施工するはずです
執筆者の方、今の現場実務を理解してますか?
文の内容それってあなたの感想ですよねw
請側の理由説明を鵜呑みする事は出来ない!推測ですが、恐らく河川工事経験が無いか少ない(ここまでは同じ)として、現場へ出向いての指示や確認が極端に少ない、デスクワークな方だってのでは?役所工事にあっては、提出書類さえ完全なら現場無視でも仕事は進みます!昨今の建設業の戦略イメージ、ノー残業、休日多しでは、設計図書等のこまめな精査は出来ません!