施工の神様 powered by 施工管理求人ナビ
  • 施工の神様とは?
  • 記事掲載・取材をご希望の方へ
  • キャリアを考える
  • インタビュー
  • 失敗を生かす
  • 技術を知る
  • エトセトラ
  • 資格を取る
  • 建設用語

「日刊建設産業新聞」廃刊の裏側。淘汰の時代を迎えた建設業界紙

  • エトセトラ
公開日:2021.06.15
  • シェア
  • Tweet
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • 0 コメント
  • メールで共有

経営の厳しい建設業界紙の世界

世の中にはいろんな業界紙がありますが、中でも建設業界紙が一番多いでしょう。何しろ、各都道府県すべてに必ず1紙が存在しますので、その影響力も大変大きいものです。ですが、地方建設業界紙のことをお話する前に、まず全国建設業界紙2紙についてお話したいと思います。

「日刊建設工業新聞」と「日刊建設通信新聞」が、建設業界では両雄といわれる2紙です。どちらも内容は細かく正確に取材されており、弊社としても新入社員には、必ず一度読むように指導しています。

とはいえ経営的には楽ではないようです。これはある営業担当者から話を伺ったのですが、かつてはWTO案件について国は必ず、全国建設業界紙3紙に公告を出稿する決まりがあり、国からの収益が1社あたり1億円にも上っていたとのことです。ただ、この公告について会計検査院から指摘があり、最終的に廃止され、各紙とも困っているお話でした。

建設業界紙にとって、1億円の売上が消滅することは経営的にかなり厳しく、これが遠因で建設業界3大紙だった「日刊建設産業新聞」が廃刊となったとのことでした。

また、IT化も部数減の要因です。パソコンが普及する前は、工事ニュースは業界紙から得ていましたが、それが次第にネットに移行し、高い業界紙を購読してまで読む意欲がなくなっているとのことです。工事ニュースに特化したネットニュースもあり、かなりこちら読まれているとのことです。もちろん、これはすべての紙媒体に言えることだと思いますが。

3月31日の廃刊の社告

3月31日の廃刊の社告

一方、地方建設新聞ですが、やはり有名なのは「建通新聞」です。建設業界紙を東京、神奈川、静岡、名古屋、大阪、岡山、四国で発行しています。次に有名なのが日本工業経済新聞社。埼玉、千葉、群馬、栃木などで発行しています。ほか、宮城の建設新聞、北海道の北海道建設新聞、北陸建設工業新聞、中国の中建日報、九州の九建日報が地方有力建設新聞といえます。

ただ、業界紙は業界の発展とともにあります。業界の景気に左右されることは当然ですが、いずれも全盛期の部数にはとても届かないとのことです。ちなみに、部数については各社の公称部数はまったくあてにならないですと、ある方がホンネを漏らしていました。畳みかけて、「それじゃあ、実部数は?」と聞きましたが、教えてもらえませんでした。

「『日刊建設産業新聞』は綺麗に廃刊した」

「日刊建設産業新聞」は廃刊となりましたが、いち読者としては「日刊建設工業新聞」と「日刊建設通信新聞」と比較すると、申し訳ありませんが、やはりニュース、企画、営業のいずれも勝てないと薄々思っていました。

今年3月31日に廃刊することに伴い、ある方がご挨拶に来られましたが、その方のお話では、内実は厳しく、いつかは廃業することは分かっていたとのことでした。苦笑いしながら、「もうちょっと廃刊は伸びて欲しかったですねえ」と言っていました。続けて、大手の建設業界紙は3紙も並立時代ではないとシビアに話され、代表や役員の高齢化なども廃刊の要因としみじみと語っていました。

もともと、部数もほかの2紙と大きく水をあけられ、とても勝負にならないという本心も吐露され、いくぶんなりとも気の毒な思いもありました。

ただ、一応対面的には「日刊建設通信新聞」と吸収合併されることになり、後日伺った話では数名を雇ってくれたとのことです。それ以外の社員は分かりませんが、それぞれの道を歩むことになると思います。代表をはじめとする役員は総退陣でみなさん隠居されたという話も聞きました。

建材ビルの4~5階に本社を置いていた日刊建設産業新聞社

建材ビルの4~5階に本社を置いていた日刊建設産業新聞社

実は、何年か前に一度、代表も廃業を決意しましたが、同じくらいの年齢の同業他社の方が励まし、70周年を一つのけじめとして頑張ろうと思い、70周年記念号を発刊したことで自分の仕事を完了したという思いがあったのでしょう、というお話も風聞として聞きました。その方からは「綺麗な廃刊」という言葉も聞きました。

倒産の時は、何もかも投げ出してどうしようもなくなって紙一枚の告知文が張られている世界ですが、少なくとも一定の雇用にも尽力しましたし、「日刊建設産業新聞」の最終日には社告を行い、「日刊建設通信新聞」に引き継いだことは悪いことではなかったと強調されておりました。

高齢化が進む建設業界紙の未来

これは現役の記者の方からの受け売りで恐縮なのですが、これからの建設業界紙が長く続くかどうかは組織としてしっかりし、商圏をしっかりと持っていることがカギになるとのことです。

たとえば、社長が最大の営業マンだと社長個人の力に依存するので、高齢化すると、やはり持続可能の面では難しくなるとのことでした。その点で、「日刊建設産業新聞」は営業も編集の方も高齢化しており、若い人が入社しても辞める方も多く、経営も厳しかったとのことです。地方にはいくつかそういう建設業界紙があるとのことで、こうしたところは淘汰される可能性があるとのことでした。

そこで、「日刊建設産業新聞」のように体力のあるうちに廃刊を選ぶか、それともどうにもならなくなって倒産するケースもあるではないでしょうか。いずれにしても、建設業界紙は地方の衰退とともに、地方紙から始まると個人的に予想しています。

«12
  • この記事をシェアする73
  • この記事をツイートする3
この記事のコメントを見る0
こちらも合わせてどうぞ!
建設専門紙記者だけど「車両系」が欲しい!素人の技能講習教習記
建設専門紙記者だけど「車両系」が欲しい!素人の技能講習教習記
どうしても車両系が欲しい「建設通信新聞」の記者 建設専門紙の記者は、当紙「建設通信新聞」だけに限らず大概が現場好きだ。決算の数字をまとめるよりは、目の前で大型の建機が動き回り、いままで何もなかった場所に巨大なビルやインフ...
『日経コンストラクション』の表紙撮影を10年以上。それでも僕が「土木写真家」を名乗らない理由【大村拓也】
『日経コンストラクション』の表紙撮影を10年以上。それでも僕が「土木写真家」を名乗らない理由【大村拓也】
土木現場を「撮って、書く」プロカメラマン 土木技術者にはおなじみの専門誌「日経コンストラクション」の表紙と巻頭グラビア記事を12年にわたり手がけている写真家・大村拓也さん。施工中の現場を土木工学科出身ならではの視点でクロ...
BIMを活用したいけれど、どうすればいい? アウトソーシングや人材派遣で解決しよう
BIMを活用したいけれど、どうすればいい? アウトソーシングや人材派遣で解決しよう
※本記事は『建設ITワールド』の許諾を得て掲載しています。 「BIMを活用したいけれど、人材が見つからない」「どう始めたらいいの?」—そんな悩みを解決するのが、ウィルオブ・コンストラクション(本社:東京都新宿区)が提供す...

この記事を書いた人

府本 由衣
この著者の他の記事を見る
ある建設会社の管理本部管理部所属。別名なんでも屋で趣味は旅行。
「日刊建設産業新聞」廃刊の裏側。淘汰の時代を迎えた建設業界紙 「日刊建設産業新聞」廃刊の裏側。淘汰の時代を迎えた建設業界紙

施工の神様をフォローして
最新情報をチェック!

  • フォローする5388

現場で使える最新情報をお届けします。

  • 施工の神様
  • エトセトラ
  • 「日刊建設産業新聞」廃刊の裏側。淘汰の時代を迎えた建設業界紙

コメント(0)

コメントフォームへ

コメントする コメントをキャンセル


コメントガイドラインをお読みになった上で投稿してください。

email confirm*

post date*

あなたも施工の神様に記事を投稿してみませんか?
おすすめ記事
  • 【髙松建設】「古来の技術と新たな発想を融合する」世界最古の企業”金剛組”再生でベスト・プロデュース賞を受賞

    【髙松建設】「古来の技術と新たな発想を融合する」世界最古の企業”金剛組”再生でベスト・プロデュース賞を受賞

  • 点数稼ぎに走るのは「なんか違う」

    点数稼ぎに走るのは「なんか違う」

  • 「暗闇の先の光見て」コロナ禍の”希望のトンネル貫通写真”が心に響く

    「暗闇の先の光見て」コロナ禍の”希望のトンネル貫通写真”が心に響く

  • 「地元の人間の意地。ただ、それだけ」 家族を失ってもなお、愛する石巻の復興に命を懸けた現場監督

    「地元の人間の意地。ただ、それだけ」 家族を失ってもなお、愛する石巻の復興に命を懸けた現場監督

  • 建設業界をイヤになった主任技術者は”造園”へ急げ!

    建設業界をイヤになった主任技術者は”造園”へ急げ!

  • 人と機械はどう補完? これからの橋梁点検

    人と機械はどう補完? これからの橋梁点検

注目のコメント
  • 権力を振りかざす世間知らずの勘違い野郎どもは本当に消えていただきたいです。

    「○んでくれ」「くせーんだよ」 発注者からの脅迫・暴言集【実録】
  • 公務員なんて、甘ったれのわがまま人間の巣窟。特に、バブル世代にパワハラとかするのが多い気がする。

    「○んでくれ」「くせーんだよ」 発注者からの脅迫・暴言集【実録】
  • 34℃で湿度がどれくらいか判断出来ないが今日びの38℃超え猛暑に比べればまだまし。 皆が言う体調管理なんかで対応出来る範囲を超えている。 朝一番から警戒レベルMAXが普...

    最高気温36℃の”猛暑日”。舗装工事は中止すべきか?【熱中症対策】
  • 勝手に喫煙休憩するな→即飛び蹴り シュールなコントみたいだな

    「暴力も必要かも」大手ゼネコンの若手現場監督に、飛び蹴りした鳶職人
  • 辞めていいんじゃねーか? 下請けの奴隷ならともかく、大手ゼネコンの現場監督ならやりたい奴いくらでもいるだろw

    「暴力も必要かも」大手ゼネコンの若手現場監督に、飛び蹴りした鳶職人
  • 若くても無能なら要らない

    「暴力も必要かも」大手ゼネコンの若手現場監督に、飛び蹴りした鳶職人
  • そんな無能はやめた方が現場のためだよ

    「暴力も必要かも」大手ゼネコンの若手現場監督に、飛び蹴りした鳶職人
  • 飛び蹴りは普通に罪にならないか?

    「暴力も必要かも」大手ゼネコンの若手現場監督に、飛び蹴りした鳶職人
  • 休憩するなら水分取るだけで充分なのにねwタバコまで吸いに行き注意されると即飛び蹴りとはヤニ中毒は危険だな

    「暴力も必要かも」大手ゼネコンの若手現場監督に、飛び蹴りした鳶職人
  • 結局本人の申告によるものでしかないので、無理がありますよ。 すべての作業員さんにカメラつけて録画でもするならば別ですが。 公共工事にしろ民間工事にしろ、昔からすれ...

    「チェックシートで熱中症を防ごう!」 それができたら誰も苦労しない
  • 熱中症チェックシートは本当に不毛。 挙句の果てに、それを書いていても熱中症が発生したら「管理が甘かったからだ!」といってチェック項目を増やしたり、記入内容の真偽を...

    「チェックシートで熱中症を防ごう!」 それができたら誰も苦労しない
  • 建設業界のパワハラと言うよりは特定の会社の特定の上司のパワハラ。

    元自衛官が建設業界に転職したら、”パワハラの巣窟”でした
  • 返信した人の日本語もわかりません。 やり直し

    元自衛官が建設業界に転職したら、”パワハラの巣窟”でした
  • 建設業界って 何処に業界のパワハラをかいてるの? やり直し

    元自衛官が建設業界に転職したら、”パワハラの巣窟”でした
  • 所長が部下の人間性を否定するような現場がうまく回るはずがない。 現場は信頼関係で成り立っている。 現場の雰囲気は主に所長がつくりあげあてしまう。そのような管理職が...

    65歳以上と外国人は、全員”安全弱者”のヘルメットバンドをつけろ!? 納得できない話
  • この著者は神様とは思えないです まず、職人は工程を縮めたいんじゃなく無駄が嫌いなんです。それは管理者もだと思いますよ。 無駄=損害ですからね。

    「不仲説」 現場監督と職人
  • スーパーゼネコンの監督とは仲良くなれないな。

    「不仲説」 現場監督と職人
  • まったく現場の事を理解していない! もっと色んな事を経験して、勉強して下さい。

    「不仲説」 現場監督と職人
  • 不仲は横柄で生意気ななゼネコンのセコカンが原因だと思いますけどね。 舐められない様な教育受けているので仕方ない所もありますが。 職人さんも見栄えよりも工数へらして...

    「不仲説」 現場監督と職人
  •  不仲なら発注しない、請負わない。 お互い仕事できなくなればいい。

    「不仲説」 現場監督と職人
  • キャリアを考える
  • インタビュー
  • 失敗を生かす
  • 技術を知る
  • エトセトラ
  • 資格を取る
  • 建設
    用語
【PR】施工管理技士の転職に特化した求人サイト
施工の神様ロゴ
  • 施工の神様とは?
  • 原稿募集
  • 取材ライター募集
  • 運営会社
  • PR・プレスリリース
  • プライバシーポリシー
  • 広告掲載について
  • お問い合わせ
Copyright © 2025 WILLOF CONSTRUCTION, Inc. All Rights Reserved  リンクフリー
施工の神様