他では味わえないスピード感と現場の一体感
私が入社した時にいた先輩たちは、そのポンチ絵が上手い人だらけでした。
木工だけでなく、モニターをトラスに引っ掛けるための金物の図面まで手書きで描いてしまうような人たちで、早く先輩たちに追いつきたくて暇な時はトレース作業とかやってました。
そして、私たち現場監督の発注を受ける協力会社さんたちもまたその道のプロなので、納まりから現場の指揮の仕方までスピード感のある現場を目の当たりにし、1年目の時はただただ突っ立ってることしかできず、泣いた時もあります。
でも辛い思い出ばかりではなく、ご褒美もありました。施工が終わればひと段落で、会期中は関係者パスを貰えて、自由に展示会を楽しむことができます。
東京ゲームショーの現場を担当した時は、各ブースに有名人のゲストを呼ぶ時もあるので、裏のバックヤードを歩いてたらキングカズさんとすれ違ったこともありました。
また、とあるゲームの演出でセクシー女優さんがゲーム内に出てくるということで、有名なセクシー女優さんが某ブースの1コーナーにいる時があったので、大工のおじさんが「高村くん、ちょっと観に行こうや!」と言って一緒に写真を撮りに行き、心の中で「いつもお世話になってます」と呟いたのは今でも忘れられません(笑)。
現在はコロナの影響で、展示会が中止になったりすることが多いですが、しっかりと感染対策をして開催してるところもあります。あとはオンラインに移行してたり。
オンライン展示会は一回体験したことがありますが、どうなんでしょう…?リアルの場の価値を知ってる身からしたら、メリットをあんまり感じられなかったのが正直なところです。また展示会が普通に開かれる世の中が来ることを心から願っています。
展示会の現場にしかないあのスピード感と現場の一体感は、普通の建築工事や内装工事では味わうことができないと思います。計画段階で変更も多いし、納まりを考えるのも本当に大変だし、それでもどうやったらその空間を完成させることができるかという1つの目標に向かって、多くの職種の人が集結している仕事の感覚は、なかなか味わえないと思います。
もう高所作業車の運転できるかわからないけど、またいつか展示会場で高所作業車に乗ってブースを眺めたいなあ(笑)。なんだかあまりまとまってる気がしませんが、色んな思い出があるので、また思い出したら書こうと思います。
※この記事は、『展示会の施工現場のリアル』の記事を再編集したものです。