太陽光発電を、工務店の新たなビジネスモデルに
4月1日から「改正建築物省エネ法」が施行され、小規模(床面積 300m2 未満)非住宅・住宅においては、省エネルギー基準適合を努力義務としたほか、建築士から建築主への説明義務を新たに設けられた。これまで大規模・中規模非住宅がメインであった省エネルギー基準適合の舞台は、小規模非住宅や住宅にも拡大が予想される。
一方で、新設住宅着工戸数は年々減少の一途をたどり、新型コロナウイルスやウッドショックの影響も相重なり、工務店業界は一層の競争激化を余儀なくされている。付加価値の高い住宅を求める消費者への提案力・商品設計がこれまで以上に求められている状況だ。しかし、縮小傾向にある市場の中で新規事業・商材を生み出していくことは、資本力や人材に乏しい中小工務店にとって困難であることも事実である。
こうした中、工務店にとっての新たなビジネスモデルの創造を支援する企業がある。太陽光発電設備の卸販売を行う株式会社TSM(本社:愛知県名古屋市、代表取締役:石原靖之氏)は、卸販売だけでなく、太陽光発電設備の販促ツールの提供、営業向けの勉強会、施主との打ち合わせ同行まで、すべてを請け負っているのだ。
省エネ性能の説明が義務化されたことで、施主の方々はおのずと省エネ性能への意識や性能が高まる。しかしながら工務店が太陽光発電を販売するにあたっては、自社だけで完結出来ないケースが多々ある。
「価格競争にさらされる中小工務店に向けて、いかに太陽光発電の導入障壁の低さをアピールできるか。結局、面倒だと思われてやらない、ということが一番の機会損失に繋がっている」と語る石原氏に、サービスの詳細と工務店が太陽光発電を導入するメリットについて説明してもらった。
工務店にとって太陽光発電は「施主への説明が困難なもの」

株式会社TSM 代表取締役 石原靖之氏
――そもそも、住宅用太陽光発電の導入が進展していかない理由には何があるんでしょうか?
石原 これまでも長期優良住宅のような国の取り組みはハウスメーカーが主導して、中小工務店が追随していく形で進んできましたが、ZEHについては現在7割をハウスメーカーがけん引しており、国の当初の想定ほどは進んでいない印象があります。
なぜ、このような偏りが出ているかというと、長期優良住宅のような制度については、あくまで”建築”の範疇にあるため、中小工務店にとっても理解しやすく、取り組みやすいものになります。ですが、太陽光発電となると、建築の枠を超え、エネルギーや家電という別分野に及びますし、法制度も目まぐるしく変わります。
ですので、中小工務店としても「やらなければいけない」という認識をお持ちでも、太陽光発電を設置する費用が重荷になったり、工期への影響を危惧したり、どのように施主さんに提案していいかが分からないというご意見が多いんです。
施主さんにとっても太陽光発電の導入メリットは大きいものですから、きちんとご提案さえできれば、納得して導入していただけるものであるにもかかわらず、工務店側が太陽光発電の効果とトータルコストについて明確に説明することができない、またそのノウハウがないために、取り組みが進んでいない背景があります。
こうした太陽光発電に興味があっても、なかなか取り組みを始めることができない工務店さんに向けた太陽光発電設備の取り扱い販売をすべてサポートし、売上アップに貢献できるサービスが、私たちが取り扱っている「TSMおまかせエネルギーサポート」になります。
施主への提案から、現場管理、顧客対応まですべてサポート
――どのようなサービスなのでしょうか?
石原 太陽光発電の販促ツールから営業ノウハウの提供、営業同行、案件管理、現場の管理、施工、施主対応、アフターフォローまで、すべてを行います。取引をする会社の組織図の中にエネルギー事業部として弊社が入るイメージです。工務店側にとっては、太陽光を取り扱うことで顧客への新たな営業ツールを持てるようになるだけでなく、1棟当たりの単価もアップすることができます。
――すべてをやってくれるんですか?
石原 ええ。少しでも興味を持っていただけましたら、平面図と立面図を送っていただければ、お見積もりや施主様向けのプレゼンツールをお送りします。これらをご活用いただいての自社のみでの提案が難しければ、私たちが施主様とのお打ち合わせに同席させていただき、ご提案までさせていただいています。そこで設置が決まれば、請負契約を締結します。それまで、一切の費用を頂戴しておりません。
特に、導入サポートの同行提案までさせていただく理由は、工務店さんに「これならば、自分たちでもできる」と感じてもらうことで、営業の苦手意識を払拭していただくためです。

石原さんによる、工務店に向けた勉強会の様子。支店等の少人数での開催にも対応している。
――工務店側にデメリットはないのでしょうか?
石原 工務店側は請負契約を締結するまで費用が発生しないため、コスト面のデメリットはありませんが、強いて言うならば工務店の営業さんに向けた勉強会を毎月定期的に開いていますので、その時間を確保していただくことですね。
勉強会で継続的に学んでいただくことで、最短2か月程度で私の同席がなくても販売できるようなノウハウが自社に蓄積されていきます。ですが、ノウハウの定着途中で「面倒だな」と感じてしまうと取り組まなくなってしまうため、勉強会や定期的な情報提供の時間の確保については、継続してお願いしています。