「パーティクルボード(パーチクルボード)」という建材の名前を、建築やDIYの材料で耳にしたことがある方も多いでしょう。
ボードと名前についていることから、板や板状の建材であることはわかるものの、具体的にどのような特徴があるのか、適している使い道は何なのかといったことを理解している方は少ないかもしれません。
そこでこの記事では、パーティクルボードの特徴や合板・無垢材・MDFとの違い、メリット・デメリットなどについて詳しく解説します。
パーティクルボード(パーチクルボード)とは
「パーティクル」という言葉には、細片や小片という意味があります。
その言葉の通り、パーティクルボードとは木材の細片やチップを固めて作った板のことです。
パーティクルボードの素材と製造方法
パーティクルボードの素材は、木材の小片やチップです。建物の解体時に出る廃材なども再利用されているため、資源の有効利用にも一役かっている建材だと言えるでしょう。
パーティクルボードの製造方法は、木材のチップを加熱、圧縮して板状にします。天然の木材と違って、自由な大きさと厚みの板を作れる点が、パーティクルボードの特徴のひとつだと言えます。
パーティクルボードの特徴
パーティクルボードの特徴は、建物を取り壊したあとの廃材などから生み出される木片を主な原料として製造されているので、環境にやさしい建材だという点です。
製造過程だけでなく、さらにパーティクルボード自体を木片にして再利用することもできます。このような資源の有効利用が可能である点が、パーティクルボードの特徴だと言えるでしょう。
パーティクルボードの種類
自由な板を作り出せるパーティクルボードですが、大きく3つの種類に分けられます。分けるポイントは、板に使われている木片の大きさと板の層の状態です。それぞれの種類の特徴は次の通りになります。
単層
単層のパーティクルボードは、同じぐらいの大きさの木片を用いて製造されています。すべて同じ大きさのチップなのでボードの強度が均一です。ただし高密度になるため、重くなるというデメリットがあります。
多層
多層のパーティクルボードは、木片の大きさの違いによっていくつもの層になっています。外側の層には小さな木片が使われており、内側の層になるほど木片が大きくなるのが特徴です。このような構造にすることで、密度を小さくして重くならないようにできます。
3層
3層のパーティクルボードは、用いられることが最も多い構造です。大きめの木片で作られた層の両面を小さい木片で作られた層で挟んでいるので、3層構造になります。
合板・無垢材・MDFとの違い
次に、パーティクルボードと合板や無垢材などとの違いを見ていきましょう。
合板(ベニヤ板)との違い
パーティクルボードと混同されやすく、同じような用途で使われることが多い建材に合板(ベニヤ板)があります。
パーティクルボードと合板(ベニヤ板)の違いは、木片を集めて固めたパーティクルボードに対して、合板は複数枚の薄い板を重ね合わせて圧縮した板を指します。
無垢材との違い
無垢材とは、天然の木の一部分をそのまま使用して加工した素材のことです。自然素材のため体に優しく、木材が持つ調湿作用により、湿度が高ければ水分を吸収し、湿度が低ければ水分を放出することで、快適に過ごせます。
パーティクルボードは、無垢材に比べて価格が安く、大きさや厚さを自由に決めることができます。また、反りや割れが少ないのも特徴です。
MDF(中密度繊維板)との違い
MDFとは、Medium Density Fiberboardの略で、中密度繊維板と呼ばれています。木質ボードの一種で、製造方法はパーティクルボードとほとんど同じですが、加工した木材の小片やチップの細かさが違います。
パーティクルボードは小片やチップが残っているのに対し、MDFは繊維状になるまで細かくするため、断面を見ると違いが一目瞭然です。
パーティクルボードのメリット・デメリット
パーティクルボードを有効活用するためにはメリット・デメリットを把握しておくことも大切です。パーティクルボードには、どのようなメリットやデメリットがあるのか詳しく説明します。
パーティクルボードのメリット
パーティクルボードのメリットとしてあげられるのは、木片を固めて製造しているのでコストが安く、材質が均一であるという点です。
また、安くて品質が安定しているだけでなく、天然の木材よりも反りや割れなどが少ないので、加工がしやすいという点もメリットであると言えるでしょう。
さらに、パーティクルボードは木片を集積しているという構造から、遮音性や断熱性に優れています。そのメリットを利用して、壁や床などの下地にも使われることも多いです。
パーティクルボードのデメリット
パーティクルボードのデメリットとしてあげられるのは、水や湿気に弱い点です。木片を集積して作られているので、水濡れすると劣化してひび割れたり変形してしまうことがあります。
そのため、定期的に部屋を換気したり、エアコンの風や加湿器の蒸気などが直接当たらないようにし、お手入れの際には、柔らかい布で乾拭きするようにしましょう。
また、釘やネジが留まりにくい点もデメリットです。パーチクルボードは、言わば木片の集まりなので、加工しやすい反面、ネジや釘を支える力が弱いのです。
さらに長時間にわたって荷重がかかると、たわみが出やすいというデメリットもあります。机や軽いものを収納する家具などには向いていますが、重いものを長時間支える必要があるものには不向きだと言えます。
パーティクルボードのJIS規格と価格
パーティクルボードには、建材としての品質を統一するために、JIS規格(日本産業規格)が定められています。
パーティクルボードにおける規格として定められているものは次の通りです。合わせて、パーティクルボードの価格も見ていきましょう。
サイズ
JIS規格では、形状や寸法(厚さ、幅、長さなど)が細かく分類されています。厚さが9~40mm、幅および長さが900×1820~1210×2730mmなどのサイズがあります。
表面と裏面の加工
表面と裏面がどのように加工されているかにより、素地パーティクルボード、単板張りパーティクルボード、化粧パーティクルボード、構造用パーティクルボードに大別されます。さらに、それぞれの種類で研磨されているものとされていないものがあるので、見た目や用途に応じて選ぶことが大切です。
曲げに対する強さ
パーティクルボードは、曲げに対してどれくらい強いかでも品質が分けられています。曲げに対する強度により8~30の記号で分類がされ、数字が大きいほど強度が高くなります。
水に対する強さ
建材として重要な耐水性についても、パーティクルボードには規定が設けられています。耐水性が高いものから、耐水2、耐水1、普通、というランクです。
ホルムアルデヒドの放散量
パーティクルボードには、木片を接着するために接着剤が使用されているため、化学物質過敏症やシックハウス症候群の原因とされている、ホルムアルデヒドの放散量も管理されています。放散量の少ない順に、F☆☆☆☆(エフフォースター)、F☆☆☆、F☆☆、というランクです。
パーティクルボードの価格
パーティクルボードの価格は、厚さやサイズ、仕上げによって異なります。
ホルムアルデヒドの放散量がF☆☆☆☆で、表面が研磨されていないタイプの場合だと、20mmの厚さであれば小さいサイズだと2,500円から3,000円程度、大きいサイズであれば6,000円から7,000円程度です。
規格で定められたサイズはありますが、取り扱い店によって販売しているパーティクルボードのサイズは異なる場合があります。また、お店によっては、必要な大きさにカットしてもらうことも可能です。
パーティクルボードの用途
最後に、パーティクルボードには具体的にどのような用途があるか、それぞれの用途について詳しく見てみましょう。
室内の内張り材
パーティクルボードにはさまざまな規格サイズや厚さがあり、さらに加工がしやすく断熱性や吸音性に優れているというメリットがあるので、室内工事の際の壁や天井の内張りをする資材に向いています。
パーティクルボードを内張り材にする際は、主に厚さが10~12mmのものがよく使われます。パーティクルボード同士を繋ぎやすいように、さねはぎ加工(つなぎ目になる板の辺に連結しやすくするための溝がつけられている)されているものが使われることもあります。
家具、インテリア
コストパフォーマンスが良く、加工しやすいパーティクルボードは、加工後に割れたり反ったりといった天然の木材特有のデメリットが少ないため、組み立て式の家具や収納用の家具、インテリアなどにもよく使われます。
ただし、湿気や水分に弱いので、水回りに設置する家具には向いていません。また、重い荷物や本などを載せ続ける必要がある家具にも、あまり向いていないと言えるでしょう。
スピーカー
パーティクルボードの特徴を活かして使われているものとしてあげられるのが、音響用のスピーカーです。パーティクルボードは、コストが安くて品質が安定しており、さらに遮音性があるのでスピーカーに向いている材料なのです。
音響メーカーが、パーティクルボードを使ってスピーカーを製作するだけでなく、加工が容易であるという性質から、自作でスピーカーを作る際にもパーティクルボードが用いられることもよくあります。
用途に合わせてパーティクルボードの種類を選ぼう
廃材の木片などを集積して作られるパーティクルボードは、資源を有効に再利用できるという特徴を持った建材です。さらに、コストがかかりすぎず、さまざまなサイズがあり、木材のように反ったり割れたりしないので、加工がしやすいといったメリットがあります。
ただし、水分に弱い、ネジや釘が使いにくい、荷重がかかり過ぎるとたわむといったデメリットもあるので、それらを把握したうえで使い道を検討することが大切です。用途に合わせて、パーティクルボードの種類を上手に選びましょう。
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パーチクルボードを使うと次に床等をリフォームする時に解体費用が跳ね上がります。
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