一目でどこの現場のダンプか特定できるようにする

国交省のゼッケンをつけて疾走するダンプ
――現場で工夫、配慮していることなどはありますか?
松永さん(江上建設) 散水養生は常にやっています。あとは、振動騒音には注意しています。地元の方々には良く話しかけてもらっているので、お話をお伺いしながら、その都度対応していることもあります。
工藤さん(若築建設) 基本的には江上建設さんと同じです。ウチの現場がというよりは、災害復旧に携わる業者全体として、小学生の通学時間帯は、大型車両を入れないようにするとか、周りの安全や環境に配慮した現場づくりを心がけています。
中村さん(飛島建設) 被災地では、国交省以外にも、福岡県や朝倉市発注の現場が動いています。私が「スゴイな」と思うのが、他の発注者の現場も含めて、国交省さんがリーダーシップをとりながら、安全や環境に配慮した現場づくりをされているのですが、それが非常に徹底されていることです。
例えば、国交省発注工事のダンプは、フロントに番号をつけています。その色や番号を見るだけで、「あれはどこの現場のダンプだ」というのが、わかるようになっているんです。私が最初に被災地に入ったときは、そういうのはありませんでしたが、途中で工夫されたんだと思います。地元の住民の方々も安心しているようで、素晴らしい取り組みだと思っています。
砂防復旧工事では、土砂崩れなど二次災害対策が必須

建設中の砂防堰堤
――砂防復旧工事の監督さんに伺います。それぞれどのような現場ですか?
住田さん(森組) 現場は、乙石川の一番上流に位置しており、本川の中に砂防堰堤をつくる工事をやっています。本川内に砂防堰堤をつくるのは、赤谷川流域では初めてです。乙石川は急勾配なので、雨が降ると一気に水が出てくるので、水の切り回しに非常に神経を使います。口径1000ミリのパイプ4本で水を切り回して、堰堤を半分ずつつくっています。
現在は左岸側(上流から見て左側)の半分の堰堤が天端まで上がっています。現在、右岸側の山の状態が不安定になっているので、その部分の斜面対策工について、国交省さんのほうで設計していただいているところです。対策が完了した後、右側半分の堰堤をつくることにしています。なので、今堰堤工事は止まっている状態です。
川の上流の左岸側に大きな崩落地があります。その崩落地を100mほど上がったところで法面対策を行っています。モノレールを設置して、ロックボルトを485本打設しました。あとは、砂防堰堤のさらに100mほど上流で、管理用道路の施工も行っています。全体の進捗率としては63%ほどになっています。
森山さん(郷原組) ウチでは、小河内川の小河内地区で砂防堰堤をつくっています。この場所は地盤があまり良くないので、コンクリートやセメントなどではなく、2717個のメガタンブロックを使って堰堤を製作しているところです。今のところ、1650個の設置が完了しており、堰堤自体は78%ほどの進捗となっています。
小河内地区の奥のほうも、変位が見られ、あまり地盤が良くないということで、斜面対策として1640mの排水ボーリングを5箇所で行っています。これまで925mの削孔が完了しており、進捗率は60%となっています。堰堤完成後、管理用道路として利用する工事用道路の整備も行っています。
被災した箇所での作業になるので、現場に入るときに、まず作業員さんなどの避難場所を選定しました。それから、どういった基準で警報を出すかとか、土石流などが発生したことを知らせるセンサーをどこに設置するかといったこともやりました。出水期に合わせて、水をかわすとか、水を流す作業を前に持っていくため、工程変更の検討を行いました。
あとは、昨年度にコンクリートの砂防堰堤をつくったのですが、クレーンでコンクリートを打設する際、作業員さんの頭上をクレーンが旋回すると危ないので、コンクリートポンプ車での施工を国交省に提案し、承諾していただきました。
インタビューには私の家族が含まれております。
普段このように仕事について語らない人なので、何だか不思議な感じがします。
安全のため、人々の生活のため働いているとだなと感動しました。そして、誇りに思います。
取り上げてくださり、ありがとうございました。