入会すれば技術面など幅広くサポート
性能向上リノベーションのメリットは提案の幅が広がるなどがあるが、一方ノウハウ不足などのデメリットもある。だからこそ、全国でPJを繰り返して実施し、ノウハウを蓄積する必要があり、2022年度も継続して行う予定だ。
このPJで得られた知見やノウハウをもとに、満を持して、提案メニューを充実させ、全国で本格的に展開するため、「性能向上リノベの会」の発足に至ったのである。これには各種サポートメニューを取り揃えることで、性能向上リノベーションの敷居を低くするのが狙いにある。
例えば、技術面では、性能向上リノベーション特有の業務フローの可視化を行い、そのフローに沿って、実務に特化した独自のマニュアルやツールを提供、ボトルネックになりやすい事前相談・調査・契約などの入り口フェーズから、施工、引き渡しまで技術的業務をトータルにサポートするメニューを用意する。中でも興味深いのは、建物全体を総合的に調査するなど、全工程の52項目についてチェックできるチェックリストや工事コストを容易に算出できる仕組みだ。
さらに、提携サービスによる業務サポートでは、省エネ計算や、補助金申請などの煩雑な業務や住宅ローンまで性能向上リノベーション特有の悩みに応える専門会社による独自のサポートメニューを各種用意、住宅事業者を断熱、耐震、住宅ローン、補助金や保険などの面からサポートする。
また、会員同士のネットワークでは、先進的な実績がある会員との交流はもとより、有識者からの情報共有を図り、性能向上リノベーションに関する最新情報や必要情報を適切にアップデートし、様々なコトや企業をつなぐ役割を担い、順次展開するコンテンツの拡充を進める。
入会により、事業者のブランディングも
このほか、営業サポートでは、性能向上リノベーションの認知拡大と、普及促進を図る取り組みや活動を通して、個社ではできない企業ブランディングの向上を図るだけでなく、営業ツールの提供など幅広い役割を担う。
例えば、断熱と耐震のそれぞれの現行基準を3段階のグレード呼称に分類し、性能向上リノベーションがされた証として可視化した「性能向上登録証」を物件ごとに発行し、生活者にとって分かりやすい情報を提供する。
また、施工物件事例を専用サイトで公開し、紹介を進めていくことで、性能向上リノベの認知拡大に繋げていく。
現在、日本国内に6000万戸以上ある住宅のうち、約9割は現行の省エネルギー基準の断熱性能を満たさない住宅とされる一方、政府の掲げる「2030年までに温室効果ガス排出量 46%削減(対2013年比)」や「2050年のカーボンニュートラル社会の実現」のためには住宅の断熱化・省エネ化が欠かせない。
特に、戸建住宅では、窓からの熱の流出入は最も大きな割合を占めており、住宅における冷暖房費抑制のためには窓の断熱化が重要だ。また、耐震性能においても、開口部は弱点となり得る重要な部位といえ、開口部の設計配慮を行うことで住宅の耐震性能を高めることができる。
まず足元での目標は、2022年度には200社による累計200棟を、2024年度では500社による累計1,000棟の施工をそれぞれ目指す。
加盟条件だが、国土交通省リフォーム事業者団体登録簿の構成員もしくは建設業許可、宅建業、設計事務所登録のいずれかを取得されていることなどで、YKK AP商品を積極的に採用する事業者だ。元請事業者、工務店やリフォーム店などは正会員となり、入会金は5万円で、年会費は3万円。対価として、性能向上リノベーションのマニュアル、基本メニュー、各種専門メニュー、研修会・セミナー、事業者紹介、事例掲載などの情報を取得できることで、事業者としての実力をよりアップすることが可能だ。
断熱と耐震の性能向上リノベーションでこれからを暮らす家の新しいスタンダードをつくるためのプラットフォームを目指す「性能向上リノベの会」。これから、YKK APは地域工務店や建設会社の戸建性能向上リノベーションのビジネス展開を支援することになり、これらの住宅事業者との連携について新たなステージに入ったと言えるだろう。