樹脂窓が好調の背景は「カーボンニュートラル」
――樹脂窓の生産の情勢は。
魚津彰氏(以下、魚津取締役) 納期の遅延は、受注増であることが要因です。背景には、「2050年のカーボンニュートラルの実現」に向けて、ビルダー、工務店、ハウスメーカーがかなり断熱化を意識されました。2021年には住宅ローン減税の駆け込み需要もあり、受注は7月以降、前年同期比で150%を超え、9月の前年同期比で190%でした。この後は少しずつ、落ちていくと思いますが、生産キャパが追い付かない状態でした。
――大手ハウスメーカーへの樹脂窓の拡販方針は。
魚津取締役 大手ハウスメーカーは、少なくともZEH(ゼッチ)をターゲットに入れています。これから、「HEAT20」の G2、G3に向かっていますが木造は有利です。特に、遮音性能をアピールするため、すでに5年来続けているハウスメーカーの展示場での採用をさらに増やしていきたい。「HEAT20」の G2、G3を体感したお施主様が樹脂窓の採用へのポテンシャルが高まります。今からG3を目指していくと、トリプルガラスの樹脂窓になりますから、そちらの方に仕様をシフトしています。

樹脂窓の販売が伸びると予測する魚津彰取締役上席執行役員住宅本部長
――現在、樹脂窓の比率は31%(※2)ですが、比率はさらに上がりますか。
魚津取締役 欧米での樹脂窓の比率は60%ですが、日本では個人的な意見で言えば40%くらいに留まるのではないでしょうか。次に2021年の売上では13%を占めたトリプルガラスですが、今後さらに伸びていくと考えており、供給・販売体制をしっかりと強化していく方針です。
※2 YKK AP住宅用窓の出荷セット数に占める樹脂窓の構成比率(2021年4 月~2022年3月度推定)
「性能向上リノベの会」の会員目標は500社
――リノベーション分野も強化されることで、プラットフォーム「性能向上リノベの会」も設立されましたが、感触は。
山地慎一郎氏(以下、山地副社長) 性能向上リノベーション実証プロジェクトは全国で13物件ほど展開してきましたが、今後、「性能向上リノベの会」の会員を本格的に募って、ストック住宅の断熱化改修を進めていきます。現在、105社の会員がおり、会員に対してソフトや、性能証明などサポートメニューを用意しながら、会員の増強に努めていきたい。
現在、会員目標については500社ですが、会員をただ増やすのではなくストック住宅をよりよくするという意思統一を会員全体で図り、リノベーションの内容を充実する方針であり、手ごたえは十分に感じています。

「性能向上リノベの会」では会員を本格的に募ると説明する山地慎一郎取締役副社長営業担当
――来年では施工面ではどのように強化を図っていきますか。
松谷和男氏(以下、松谷副社長) 施工の取組みは、今のエクステリアを中心に現場施工の課題について、できるだけ技術を導入して省人化とともに、品質の向上を目指している段階です。また、建築にはいろんな施工バリエーションがあり、商材も含めて施工の技術チームを設置し、本格的に検討に入っている段階です。

「技術を活用し、施工を向上するチームを設置した」と語る松谷和男取締役副社長CHRO