塗装の種類のひとつ「AEP塗装」。費用が抑えられることから、AEP塗装は内装・外装問わず、さまざまな場所で使用されています。AEPとは、JISやJASSが定めた規格のことで、アクリルエマルションペイントを略した言葉です。
この記事では、AEP塗装について深堀りしていきます。塗装の種類や特徴とともに、AEP塗装のメリットやデメリットについても紹介していきます。
AEP塗装とは
AEPとは「アクリルエマルションペイント」の略で、水性アクリル樹脂塗料のことを指します。そのAEPを使った塗装がAEP塗装です。
「エマルション」とは乳化のことで、主な液体の中に、別の原材料が混ざったり、浮遊したりしているものです。AEPは油が主な成分で、そこに水で分散した樹脂が入っています。つまり、ウレタンやシリコン、フッ素といった外壁塗装で使用される塗料は、エマルションです。
昨今ではAEPとEPが同じものとして認識されています。厳密に言えばEPは溶剤系エマルションなので、AEPとは別の塗料です。しかし、EP自体が使用される頻度が減ってきたことから、AEP=EPと認識されています。
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AEP塗装と塗装の種類
塗装にはAEPやEP、自然塗料、オイルステインといった、さまざまな種類があります。AEPやEPは油に別の原料が混ざったものですが、自然塗料やオイルステインはひとつの原料のみの塗料です。
ここからは、主な塗装の特徴やデメリットについて解説していきます。同義とされているAEPとEPとの違いについても解説します。
AEP塗装とEP塗装の違い
エマルションペイントはAEP(水性エマルションペイント)とEP(溶剤系エマルションペイント)の2種類に分かれます。
AEPは油の中に水で分散した樹脂が入っていますが、EPは油の中に有機溶剤で分散した樹脂が入っています。
AEPは造膜性が高く、可塑剤なしでも被膜を形成することが可能です。一方、EPは耐水や耐アルカリ性に弱いことが弱点になります。
自然塗料
自然塗料は、珪藻土や植物、鉱物といった自然物を原料としたものです。化学物質を使用していないため、寝室や赤ちゃんがいる家では安心です。
吸湿や消臭の効果があるタイプもあり、良いこと尽くしの塗料にも見えますが、高価なことがデメリットになります。
コスト面の都合で自然塗料の使用を断念する場合は、ウレタン塗料がおすすめです。赤ちゃんやペットが舐めてしまっても無害なので安心です。
オイルステイン
オイルステインはその名の通り、油性の塗料で、木質の下地にある木目を引き立たせるための上塗りに使用する塗料です。オイルステインには、ニス入りタイプとニスなしタイプの2種類のタイプがあります。
ニス入りタイプの場合、1回の塗りで完成させる必要があるため、技術が必要になります。しかし、ニスなしの場合は、木を保護するためにニスやラッカーをさらに上塗りすることが必要です。技術がなければ無難にニスなしタイプを使用しましょう。
AEP塗装のメリット
AEP塗装はホームセンターでも簡単に手に入るため、外装や内装、家具といったさまざまなものに使用されている塗装です。内装では基本的に白系の艶消しが使用されています。
AEP塗装には、ほかの塗装と比べると以下の3つのメリットがあります。
- 費用を抑えられる
- 身体への影響が少ない
- 塗装が簡単
ここでは、それぞれのメリットについて詳しく解説していきます。
費用を抑えられる
AEP塗装は、費用を抑えられることがメリットです。塗料の金額は、樹脂の違いや期待耐用年数によって変わります。
樹脂別でみると、単価設定や期待耐用年数は以下のような順番です。
- 無機物配合型フッ素
- ピュアアクリル
- フッ素
- シリコン
- ウレタン
- アクリル
AEPは、水性アクリル樹脂塗料になるため、費用を安く抑えられます。
身体への影響が少ない
塗料には、身体に悪影響を及ぼすものが存在します。EPやオイルステインは、有機溶剤が使用されているため、使用中に気分が悪くなるといった症状が発生します。
有機溶剤に使用されている主な原料は、シンナーやイソプロピルアルコール、メタノール、キシレンです。そのため、吐き気や頭痛を引き起こし、場合によっては呼吸困難に陥る可能性もあります。また嫌な臭いが原因で近隣トラブルが発生するケースもあります。
AEPは有機溶剤ではなく水を使用しているため、無臭で身体への影響はありません。
塗装が簡単
AEP塗装は素人でも比較的簡単に扱えます。広域にはローラー、細かい場所には刷毛を使用すれば、綺麗に仕上がります。油性塗料の場合は、液ダレの扱いが難しく、技術がなければ綺麗に仕上がりません。AEP塗装なら、フラットな質感を簡単にだせます。
また、AEPは補修が簡単です。汚してしまっても、綺麗に上塗りできます。木部だけではなく、コンクリートにも塗布できることもメリットのひとつと言えるでしょう。
AEP塗装のデメリット
AEP塗装には低コストや身体への影響、塗装が簡単といったメリットが多い反面、デメリットもあります。メリットの主な原因である水溶性は、デメリットにもつながります。
以下の項目がAEP塗装のデメリットです。
- 汚れやすい
- 接着力が弱い
- 定期的なメンテナンスが必要
ここからはAEP塗装のデメリットについて解説していきます。
汚れやすい
汚れやすいことがAEP塗装の大きなデメリットです。内装では、クロス(壁紙)に比べると手垢やシミといった汚れがつきやすくなってしまいます。
キッチン周りでは油汚れや水はね、金属の擦れといっただけでもシミや傷が目立ちます。AEP塗装は仕上がりの良さや簡単に塗装できる点がメリットでしたが、逆にいうと汚れやすいということです。補修は簡単にできるものの、頻度は多くなってしまうかもしれません。
接着力が弱い
接着力の弱さもAEP塗装のデメリットのひとつです。AEPは水溶性のため、樹脂を水で分解した塗料です。水を使用しているため、ほかの溶剤系の塗料と比べると接着力は弱くなります。
接着力の弱さは、剥がれやすさにつながります。乾いた塗料も剥がれやすく、何度も塗り直さなければなりません。一定期間しかもたないため、定期的に塗り直しが発生します。
定期的なメンテナンスが必要
AEP塗装には定期的なメンテナンスが必要です。接着力が低いことから、経年劣化により、すぐに塗装の剥がれや塗装面の汚れが発生します。
軒天といった普段なかなか目にしない場所では、劣化に気付くこともできません。劣化に気付かず放置すれば、塗装が剥がれるだけでなく建物にダメージを与えてしまいます。最悪の場合、取り換えや修繕が発生するケースも考えられます。
建物を長く使うためにも、AEPを定期的に塗り替えることが必要です。
AEP塗装の特徴を理解しよう
AEP塗装は塗装の種類のひとつで、水性アクリル樹脂塗料のことです。「アクリルエマルションペイント」の略で、AEPと言われています。
AEPは水溶性のため、費用が安いことや身体への影響が少ないことだけではなく、塗装が簡単という技術面でのメリットがあります。
その反面、汚れやすく接着力が弱いため、定期的なメンテナンスが必要といったデメリットも存在します。
AEP塗装の特徴を理解し、用途に合わせて使用しましょう。
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