トータルステーション設置「最速王」の称号は今
ルールは、三脚を測点鋲付近に少しでも降ろした瞬間にスタートで、それまでどんな調整をしても構いません。この「トータルステーション設置最速王争奪戦」ではアスファルトの上という好条件でしたが、私は最速で17秒というダントツの優勝記録を叩き出しました。
設置する場所が水平に近い舗装道路などの条件が良い場所では、できるだけ置いた時点でほぼ設置完了になるように立てることを心懸けていれば、普段の設置時間も相当短縮できるようになります。
先ず求心鏡の確認に2秒でほぼ予想通りの位置、円形水準器はもうすでにほぼ水準が取れていて、つまり三脚の調整はもう済んでいるのでゼロ秒、2本の直形水準器を同時に見ながら水平微調整ねじは3本同時で5秒、最速を確信したので余裕で求心微調整に10秒使って設置完了です。まだ2~3秒は時間短縮可能でした。
しかし、最近のトータルステーションはレーザーで求心までやってくれて自動整準する優れ物が登場して、昔のわれわれ測量技術者の仕事がまた一つどこかへ持って行かれました。
新人育成で先ず教える外業の基礎は、レベルブックの記帳法とトランシット等の素早い整準法と勝手に思っていましたが、誰もが電子手帳入りのスマートホンを持ち歩き、30秒程で自動整準するトータルステーションが現れたのでは、研修方法も変えざるを得ない時期が訪れています。生き残るために使える物は使えばいいが、訓練を重ねる選択肢まで奪われたという感慨深いものがあります。
将来はわれわれ測量技術者の天敵と思われる人工衛星によるGPSや地上型3Dレーザースキャナーの発展により、測距儀すら必要なくなるような人員削減の波がすぐに来るのかもしれません。いや、もう来ています。
次はAI制御、完全自律型のターミネーターのようなドローンによる測量も構想されていて、測量士たちが上空から全員殲滅される夢を見ることもあります。プレデター的な恐怖を感じて目を覚まします。
これも時代の流れでしょう。
思い出話よりも忘却こそが、より良い前進を生むのかもしれません。
同じ条件なら2〜30秒で設置できると思う。
三脚を置いた時点で設置完了が年に1回か2回ある。
そういった場合はもう一回やり直す。怖いから。