施工の神様 powered by 施工管理求人ナビ
  • 施工の神様とは?
  • 記事掲載・取材をご希望の方へ
  • キャリアを考える
  • インタビュー
  • 失敗を生かす
  • 技術を知る
  • エトセトラ
  • 資格を取る
  • 建設用語

福岡女子大生は松永研究室でなにを学んでいるのか?

  • インタビュー
  • キャリアを考える
公開日:2023.02.10
  • シェア
  • Tweet
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • 0 コメント
  • メールで共有

住民のつながり意識と防災の関連性を研究

――それぞれの研究内容を詳しく教えてもらえますか。

東さん 地域における住民間のつながりは、目に見えないので、それぞれ感じているところも異なり、住民のつながりは「これ」と一概には言えません。たとえば、あいさつをしたらつながっていると考える人もいれば、そう考えない人もいます。

私の研究では、このつながりについて、なるべくたくさんの住民の人々にアンケート調査をして、それを分析しています。つながりがあると感じている人ほど、地域に対して安心感を持っているのではないかということで、つながり意識と防犯意識の関連性に主眼を置いて研究しているところです。

――松永先生、東さんの研究内容について補足をお願いします。

松永先生 地域の安心安全には、防災とか交通安全とか、いろいろな切り口がありますが、東さんの場合は、主に防犯を対象とした調査を行っています。防犯には、直接犯罪に巻き込まれるということのほか、不審者に遭遇するとか、犯罪ではない状態も含まれます。

これまでの研究で、実際に犯罪が起きた場所と住民が不安を感じている場所は、あまり一致しないことが明らかになっています。なので、安心安全なまちづくりを進めていく上で、どういうアプローチをするかは、非常に難しい問題です。私としては、エリアマネジメントの手法を住宅地に当てはめてみるという研究をやっています。

物理的な環境要因をしっかり設計するとか、パトロールするとかすれば、一定の効果はあると思います。しかし、それらによって安心感を得られたかと言えば、必ずしもそうではないからです。安心感というものは、それぞれの住民が直感的、経験的に感じているものだと思いますが、なにが貢献しているのかについて、学術的に明らかにするというのが、東さんの研究です。

東さんは、私の子どもが通っている小学校校区でもアンケート調査を実施予定です。

GISを活用し、居住実態とコミュバス利用実態のギャップを研究

――守田さんはどういった研究をしているのですか?

守田さん コミュニティバスはお年寄りなどの日常的な移動を助けるためのサービスだと思っています。糸島市では、少子高齢化が進んでいますが、一方で、他の地域や海外からの移住者が多く、市の人口そのものは増加傾向にあります。つまり、糸島市には、他都市にはあまり見られない人口動態があるわけです。

そうなると、居住分布などにも変化が生じているはずなので、コミュニティバスの路線やバス停にも変更を加えるべき点があるはずです。需要と供給のギャップなど解明するため、GISを使いながら、調査分析しています。

松永先生 この研究は、守田さん自身が興味を持って始めたことです。ウチの研究室では、2021年に別の研究で糸島市役所にご協力いただいたという経緯があります。

守田さん 研究を始めたのはたまたまです。私が住んでいる場所と糸島市がたまたま近くだったからです(笑)。

松永先生 GISを使った調査分析がちゃんとうまくできるかどうかは、守田さんの頑張りにかかっているので、期待しています(笑)。

守田さん 難しいので、ヤバそうです(笑)。

松永先生 チュートリアルがあるので、一緒に頑張りましょう(笑)。

団地における住民の防災意識を調査

――政次さんはどうですか?

政次さん 研究対象となる団地は3ヶ所あるんですけど、そのうちの1ヶ所の団地の近くの広場に防災設備を設置する計画があります。防災設備の設置によって、住民の防災意識がどう変化するかを調査しています。設置完了は私が卒業した後になるので、最後まで調査に携わることはできないのですが、前段階の調査をしています。

ほかの2つのうち1つは、数年前に防災公園が整備されている団地なので、ちゃんと避難訓練が行われているかなどを調べたいです。最後の団地は、自治会の防災意識の高い団地だそうで、なぜ防災意識が高いのか、どういう活動をしているかなどについてヒアリング調査を行った上で、団地整備に必要な要素を把握したいと思っています。

――松永先生、お願いします。

松永先生 高度経済成長期に一気にたくさんの団地が整備され、現在それらの建物の老朽化、住民の高齢化が社会問題になっています。そういった問題を背景に、団地の環境整備が進められています。

政次さんの前の学生が3つの団地内の花壇や農園を比較して、運営組織や管理内容、住民の交流状況などについて調べながら、どうすればうまくいくのかについて分析しました。物理的な環境整備主体でやるのか、自治会などの人的な活動主体でやるのかなどを比較調査するものでした。政次さんの研究は、その延長線上にあると言えます。

防災施設は必要な施設ですが、ただ設置すれば良いというわけでありません。施設がほったらかしになるケースもあるからです。防災施設がちゃんと機能するためには、住民の防災意識が重要であって、住民参加型で環境整備する必要があります。防災にまちづくりには、ファシリテーター以外にも、なにか必要なものがあると考えています。

地元大野城市と隣接市のより良いコミュバス乗り継ぎ運用について調査

――佐藤さん、研究内容の詳細について教えてください。

佐藤さん 大野城市をはじめ、隣接する春日市や太宰府市にもそれぞれコミュニティバスがあります。それぞれのコミュニティバスがうまく乗り継ぎできるようになれば、より簡単に相互の行き来ができるようになります。パーソントリップ調査を使いながら、コミュニティバスのより良い運用に関する調査をしています。

先日、大野城市内を通る西鉄大牟田線の高架化が完了したので、高架化に伴うコミュニティバスの運行時間の変化などについても調べることにしています。調査結果がまとまったら、大野城市さんに提出することも視野に入れています。

――先生、お願いします。

松永先生 大野城市さんは前々からコミュニティバスの相互乗り入れを検討されているようです。ただ、実際にやるとなると、法的、財政的な面でいろいろと問題が出てくるのですが、今のところは、移動の需要がどうなっているのか、どこで乗り継げば効果的なのかといったところを、とりあえず把握するための調査になります。

大野城市のコミュニティバスについては、以前に学生が路線バスとのアクセシビリティの比較研究をしています。大野城市の南部は、路線バスがあるので、コミュニティバスが走っていないんです。コミュニティバスと路線バスとは、運賃や運航ルートなどのサービスレベルが違っていて、市民から不公平だという声が上がっていたりします。

次のページ仕事観や就活状況

«123»
  • この記事をシェアする14
  • この記事をツイートする4
この記事のコメントを見る0
こちらも合わせてどうぞ!
土木とは無縁な福岡女子大で、なぜ土木の教員になれたのか?
土木とは無縁な福岡女子大で、なぜ土木の教員になれたのか?
福岡女子大学で働くようになった理由とは 以前、九州大学土木系OG会「乙未(いつび)の会」に関する記事を書いた。なかなか興味深いお話が聞けたと思っているが、リモート取材だったため、いろいろ物足りなさみたいなものが残っていた...
建築を学ぶ女子大生に聞いた。”建設業界のイメージや魅力、インターンに求めること”とは?
建築を学ぶ女子大生に聞いた。”建設業界のイメージや魅力、インターンに求めること”とは?
若者が建設業界に抱いているイメージやニーズとは 「人手不足」という言葉を耳にするようになって久しい。人材育成以前に、人材獲得に頭を悩ませる業界は少なくないが、とりわけ建設業界は若い人材の獲得が喫緊の課題と言える。 総務省...
BIMを活用したいけれど、どうすればいい? アウトソーシングや人材派遣で解決しよう
BIMを活用したいけれど、どうすればいい? アウトソーシングや人材派遣で解決しよう
※本記事は『建設ITワールド』の許諾を得て掲載しています。 「BIMを活用したいけれど、人材が見つからない」「どう始めたらいいの?」—そんな悩みを解決するのが、ウィルオブ・コンストラクション(本社:東京都新宿区)が提供す...
女子学生が建設現場にやって来た!「建設会社のインターン事情」とは?
女子学生が建設現場にやって来た!「建設会社のインターン事情」とは?
建設現場に女子大学生がインターンシップ 建設業に少しでも興味のある大学生たちは、夏季休暇などを使い、ゼネコンや建設コンサルタントなどにインターンシップしている。私の現場にも、先日、女子学生がやって来た。 他の現場や会社で...

この記事を書いた人

四国の犬
この著者の他の記事を見る
基本的には従順ですが、たまに噛みつきます。
福岡女子大生は松永研究室でなにを学んでいるのか? 福岡女子大生は松永研究室でなにを学んでいるのか?

施工の神様をフォローして
最新情報をチェック!

  • フォローする5388

現場で使える最新情報をお届けします。

  • 施工の神様
  • インタビュー
  • 福岡女子大生は松永研究室でなにを学んでいるのか?
  • 施工の神様
  • キャリアを考える
  • 福岡女子大生は松永研究室でなにを学んでいるのか?

コメント(0)

コメントフォームへ

コメントする コメントをキャンセル


コメントガイドラインをお読みになった上で投稿してください。

email confirm*

post date*

あなたも施工の神様に記事を投稿してみませんか?
おすすめ記事
  • 【髙松建設】「古来の技術と新たな発想を融合する」世界最古の企業”金剛組”再生でベスト・プロデュース賞を受賞

    【髙松建設】「古来の技術と新たな発想を融合する」世界最古の企業”金剛組”再生でベスト・プロデュース賞を受賞

  • 点数稼ぎに走るのは「なんか違う」

    点数稼ぎに走るのは「なんか違う」

  • 「暗闇の先の光見て」コロナ禍の”希望のトンネル貫通写真”が心に響く

    「暗闇の先の光見て」コロナ禍の”希望のトンネル貫通写真”が心に響く

  • 「地元の人間の意地。ただ、それだけ」 家族を失ってもなお、愛する石巻の復興に命を懸けた現場監督

    「地元の人間の意地。ただ、それだけ」 家族を失ってもなお、愛する石巻の復興に命を懸けた現場監督

  • 建設業界をイヤになった主任技術者は”造園”へ急げ!

    建設業界をイヤになった主任技術者は”造園”へ急げ!

  • 人と機械はどう補完? これからの橋梁点検

    人と機械はどう補完? これからの橋梁点検

注目のコメント
  • 権力を振りかざす世間知らずの勘違い野郎どもは本当に消えていただきたいです。

    「○んでくれ」「くせーんだよ」 発注者からの脅迫・暴言集【実録】
  • 公務員なんて、甘ったれのわがまま人間の巣窟。特に、バブル世代にパワハラとかするのが多い気がする。

    「○んでくれ」「くせーんだよ」 発注者からの脅迫・暴言集【実録】
  • 34℃で湿度がどれくらいか判断出来ないが今日びの38℃超え猛暑に比べればまだまし。 皆が言う体調管理なんかで対応出来る範囲を超えている。 朝一番から警戒レベルMAXが普...

    最高気温36℃の”猛暑日”。舗装工事は中止すべきか?【熱中症対策】
  • 勝手に喫煙休憩するな→即飛び蹴り シュールなコントみたいだな

    「暴力も必要かも」大手ゼネコンの若手現場監督に、飛び蹴りした鳶職人
  • 辞めていいんじゃねーか? 下請けの奴隷ならともかく、大手ゼネコンの現場監督ならやりたい奴いくらでもいるだろw

    「暴力も必要かも」大手ゼネコンの若手現場監督に、飛び蹴りした鳶職人
  • 若くても無能なら要らない

    「暴力も必要かも」大手ゼネコンの若手現場監督に、飛び蹴りした鳶職人
  • そんな無能はやめた方が現場のためだよ

    「暴力も必要かも」大手ゼネコンの若手現場監督に、飛び蹴りした鳶職人
  • 飛び蹴りは普通に罪にならないか?

    「暴力も必要かも」大手ゼネコンの若手現場監督に、飛び蹴りした鳶職人
  • 休憩するなら水分取るだけで充分なのにねwタバコまで吸いに行き注意されると即飛び蹴りとはヤニ中毒は危険だな

    「暴力も必要かも」大手ゼネコンの若手現場監督に、飛び蹴りした鳶職人
  • 結局本人の申告によるものでしかないので、無理がありますよ。 すべての作業員さんにカメラつけて録画でもするならば別ですが。 公共工事にしろ民間工事にしろ、昔からすれ...

    「チェックシートで熱中症を防ごう!」 それができたら誰も苦労しない
  • 熱中症チェックシートは本当に不毛。 挙句の果てに、それを書いていても熱中症が発生したら「管理が甘かったからだ!」といってチェック項目を増やしたり、記入内容の真偽を...

    「チェックシートで熱中症を防ごう!」 それができたら誰も苦労しない
  • 建設業界のパワハラと言うよりは特定の会社の特定の上司のパワハラ。

    元自衛官が建設業界に転職したら、”パワハラの巣窟”でした
  • 返信した人の日本語もわかりません。 やり直し

    元自衛官が建設業界に転職したら、”パワハラの巣窟”でした
  • 建設業界って 何処に業界のパワハラをかいてるの? やり直し

    元自衛官が建設業界に転職したら、”パワハラの巣窟”でした
  • 所長が部下の人間性を否定するような現場がうまく回るはずがない。 現場は信頼関係で成り立っている。 現場の雰囲気は主に所長がつくりあげあてしまう。そのような管理職が...

    65歳以上と外国人は、全員”安全弱者”のヘルメットバンドをつけろ!? 納得できない話
  • この著者は神様とは思えないです まず、職人は工程を縮めたいんじゃなく無駄が嫌いなんです。それは管理者もだと思いますよ。 無駄=損害ですからね。

    「不仲説」 現場監督と職人
  • スーパーゼネコンの監督とは仲良くなれないな。

    「不仲説」 現場監督と職人
  • まったく現場の事を理解していない! もっと色んな事を経験して、勉強して下さい。

    「不仲説」 現場監督と職人
  • 不仲は横柄で生意気ななゼネコンのセコカンが原因だと思いますけどね。 舐められない様な教育受けているので仕方ない所もありますが。 職人さんも見栄えよりも工数へらして...

    「不仲説」 現場監督と職人
  •  不仲なら発注しない、請負わない。 お互い仕事できなくなればいい。

    「不仲説」 現場監督と職人
  • キャリアを考える
  • インタビュー
  • 失敗を生かす
  • 技術を知る
  • エトセトラ
  • 資格を取る
  • 建設
    用語
【PR】施工管理技士の転職に特化した求人サイト
施工の神様ロゴ
  • 施工の神様とは?
  • 原稿募集
  • 取材ライター募集
  • 運営会社
  • PR・プレスリリース
  • プライバシーポリシー
  • 広告掲載について
  • お問い合わせ
Copyright © 2025 WILLOF CONSTRUCTION, Inc. All Rights Reserved  リンクフリー
施工の神様