採用は地道な会社PRが一番カタイ
――会社として、売上30億円を目指しているようですが、規模も大きくするということですか?
内山さん 規模ありきでは考えていません。建設事業だけで規模を追求しようとすると、M&Aを活用しないと無理でしょう。ただ、案件自体はそこそこあり、そのニーズには対応したいとは思っています。今の社員数ではちょっと手が回らないところがあり、技能者を含めて社員を継続的に増やしたいです。結果的に特需的な仕事をうまく受注できれば、2〜3年内には30億円はいくかもしれません。
――とくに中途採用者を増やすということですか?
内山さん 中途と新卒両方ですね。中途では、建築技術者が今年1人入りました。採用はハローワーク経由です。うちのホームページを見て応募したようです。
――ハローワーク経由なのはスゴいですね。
内山さん そうなんです。現在活躍してくれている中途採用社員のほとんどがハローワーク経由です。以前には、その他の民間媒体経由も使ったことがありますが、コスパがあまりよくないですね。やはり流動的に動く人材は、よほどのことがないと定着しないように思います。人を採用するなら地道に会社の中身を充実していくことが大事かなと。そして、その取り組みがこういう取材などで対外的に紹介される形が理想です。
――従業員数は増えていますか?
内山さん ええ、数年前からけっこう増えています。今は43名です。新卒は直近5年で4名採用し、全員辞めずに楽しくやっているようです。中途入社組には、社員の紹介による事例もここ数年増えてきていますね。今後も継続的に採用していきたいと考えています。
――年齢構成はどうなっていますか?
内山さん ここ数年間でかなり若返っています。あとは、ベテランが持っている経験値をどうやって中堅若手に伝承するかです。とくに土木は大ベテランがいるので、彼らのノウハウを若手にしっかり継承させていくのが当面の課題です。中堅が何人かいますが、まだ任せきれないところがあるので。この世代間ギャップをどう埋めるかが問題です。定期的に勉強会などをやりながら、なんとかギャップを埋めようとしているところです。
「点数稼ぎ」ではなく「ものづくりの喜び」にシフト
――最近、工事の点数稼ぎにイヤ気がさして、土木のベテランが辞めたそうですね。
内山さん そうです。時期はもう5年以上も前ですが、もうちょっと正確に言うと、テクニックとしての点数稼ぎがイヤだと言って辞めたんです。創意工夫や地域貢献などはどんどんやるべきだけども、本来の目的から離れて点数稼ぎのテクニックになっているのが許せなかったようです。
経営者としては、点数1点の差で受注できないこともあるので、社員には「点数を稼いでくれ」と言ってきたわけですが、内心では同じことを思っていました。手段と目的を履き違えるのは「なんか違うな」と思っていたということです。
――「なんか違う」と言いますと?
内山さん 「点数で評価される喜び」よりも「ものをつくる喜び」のほうが大事だということです。ものをつくる喜びは、子どもにも感じることができる、人間にとって根源的な喜びだと考えています。これは土木だけでなく、建築も一緒です。
点数で評価されることも喜びには違いありませんが、点数ばかりを追いかけると、ものをつくる喜びが失われてしまいがちです。ベテランが辞めたことをきっかけに、そこのところを改めて意識するようになりました。ウチだけでなく、建設業界全体で忘れられかけている大切なことではないかと気づきました。今は、ものづくりの喜びをどうやって復活させるかということを常に念頭においています。しかし、点数を稼がないと、そもそも仕事をとれないので、非常に悩ましいところです。スゴく葛藤があります。
1つの試みとして、現場で完了検査が終わった際に、写真を撮るようにしています。現場担当者と発注者の担当者の2人一緒に、現場をバックにして写真を撮り、ラミネート加工をして2人に渡しています。写真を渡す理由は、それぞれの家族に見てもらい、ものづくりの喜びを改めて感じてもらうためです。
建設業界が人手不足に苦しんでいるのは、少子高齢化という構造的な問題があるにせよ、なによりものづくりの喜び味わっていないから、あるいは、味わっていたとしてもそれをちゃんと情報発信していないからだ、と私は考えています。
テクニックを使って、やみくもに点数を追いかけることはもうしない
――辞めた社員の言葉で経営者として認識を改めた、というのはスゴい話ですね。
内山さん もともと内心ではそう思っていたからです。スゴく仕事のできるベテラン社員から直球で言われたので、それがズシンときた。だから、「そうだよね」と改めて認識することができたわけです。
――おっしゃったように葛藤がものスゴそうですけど。
内山さん そうなんです。建設会社にとって一番悲惨なことは、仕事を受注できずに働く現場がないことです。そうだとしても、以前のように、テクニックを使って、やみくもに点数だけを追いかけることはもうしません。
――点数よりもっと追い求めるべき高みがあるということですか。
内山さん 言ってみればそういうことですね。これをやれば施工がやりやすくなるとか、もっと工程を短縮できるといった技術的な提案は今後もドンドンやっていきます。その結果、点数が上がることは否定していません。それは良いことですし、ものづくりの喜びにつながっていくものなので、引き続きやっていきます。
――数年後(3〜5年後ぐらい)、内山建設をどういう会社にしたいですか?
内山さん さきほども申し上げましたが、建設工事に従事する技術者、技能者がつくる喜びを実感し、家族に誇れる環境をもっともっと創成していきたいです。また、そのつくる過程を縁の下で支える事務職、管理職の社員もつくる喜びを共有し、家族に誇れるような会社にしたいですね。
あと、できればまちづくりに主体的に関われる事業にも携わりたいと思っています。ひむか農園のへべす事業、エコロの培養土事業と合わせて、「地域活性化に貢献しつつ、サスティナブルな経営を目指している」という内山建設グループ全体の価値観が上がれば本望です。
人材採用・企業PR・販促等を強力サポート!
「施工の神様」に取材してほしい企業・個人の方は、
こちらからお気軽にお問い合わせください。
この社長さんはよく考えているなぁと思いました。
異業種で進んでいる6次産業化を進めていたり、
バカバカしい点数稼ぎから抜け出したり、
私的に好感が持てます。
自分が言いたいのは点数稼ぎで利益のない仕事をして下請けさん等に迷惑をかけない会社が増えれば良いと思います。
直接受けた会社のその後の利益だけ考える時代は終わりにしたほうが良いですね。
いわゆる役人さんが足元を見る時代ではなくなっていると思います。
利益がない仕事はハッキリ断って無理をしないことが利権を無くすことにつながると思います。
人材不足で海外の人に迷惑をかけている業界だと実感している今日此頃です。
匙加減の点数制度w
辞めたベテランに一票だ
ぜひうちの会社の上層部も、この記事を読んで考え直していただきたい。そして行政も考え直していただきたい。
点数より安全
点数より強度
点数より仕上がり
です。
静岡県の熱海の事故を引き起こしたく無い。
建設業にとって盛り土事件は考えさせられる思いです。
あんな事故が起こるのは役所の怠慢です。
スーゼネ以上の品質を問われる現場常駐ですが、この間スーゼネの現場にサブコンとして入りました。よく、あんなヌルい現場で厳しいという輩が多いと思いました。それだけ、日本は後進国なんだと実感した。