型枠大工のころから「俺は一級建築士を取る」と言っていた
――そもそも建築の仕事を志したのは、家業の影響があったわけですか?
吉本さん あまり関係ありません。仕事の選択肢がなかったからです。私は高校を半年でクビになっているんです。就職することにしたのですが、飲食店か建設業ぐらいしかありませんでした。それで、東京に出て、とりあえず型枠大工になったんです。その後は解体屋や鉄筋屋をやりましたし、居酒屋でも働きました。10歳代のころは仕事を転々としました。
そういう生活が何年か続いたあるとき、「やっぱり建築をやりたいな」とふと思って、東京のとある建築会社を受けました。求人条件は高卒だったのですが、そこの社長に「中卒なんですけど、面接してもらえませんか」とお願いしたら、気に入ってもらえたらしくて、採用してもらいました。このとき拾ってもらったから、今の自分があると思っています。
その建築会社で働いているときに、二級建築士を取りました。その5年後、30歳のときに一級建築士も取りました。長年の夢が叶った瞬間でしたね。型枠大工だった16歳のころから「俺は一級建築士を取る」と言っていましたから。周りは「こいつバカだ」と思っていたでしょうね(笑)。
親父に「一級取ったよ」と連絡したら、「俺ももう歳で疲れたから、宮崎に帰ってきてくれ」と言われました。それで父親の会社で働くようになったんです。宮崎に帰るつもりはさらさらなかったんですけど、なんとなく帰っちゃいましたね(笑)。
―― 一級建築士を取って、なにをしたいというのはあったのですか?
吉本さん 大きな建築工事の現場管理をしたいと思っていたんです。今思えば、ボクの知識がなかったということになりますが、一級建築士じゃなくても、一級建築施工管理技士があればできる仕事だったんです(笑)。ただ、施工管理だけじゃなく、設計もしたかったので、結果的には一級建築士を取って良かったという思いに変わりはありません。
――設計も施工も全部やりたいと?
吉本さん そうです。設計も施工も全部自分が主導権を持って仕事をしたいと強く思っていました。
――お父さんの会社で働きながら、その夢が叶ったということですね。
吉本さん そうですね。今もそういうカタチで仕事ができています。自分がこれまでに設計施工を手がけた仕事の中で、一番大きい仕事は3.6億円程度です。もっと金額の大きな仕事をしたいというのが、今の夢です。それを実現するためには、技術もさることながら、センスも磨いていかなければいけないと思っているところです。
仕事量が減っている以上に人手が減っている
―― 一般論として、施主や下請けなどとの調整ごとが大変という話を聞きますが、その辺はどうですか?
吉本さん 自分で設計施工している場合は、非常にシンプルです。ただ、別の設計事務所が発注者との間に入っているケースが多いのですが、逐一、設計事務所にお伺いを立てて確認をしてもらいながら工事を進めるので、なにをするにも時間がかかります。時間がかかるだけでなく、発注者の意向を人伝に情報を得ることで施工のやり直しが発生したケースもありました。このあたりは、施工業者側でコミュニケーションの方法を工夫する必要がありますね。
――工種が多いことについてはどうですか?
吉本さん ボクの場合はもう慣れてしまっているので、どうということはありません。ただ、松葉くんからすれば、覚えることが多いので大変だろうなとは思います。私自身も新しい工法など常に勉強していかなければなりませんから。建築の勉強で「もうこれで良い」ということはないんです。知識を常にアップデートしていく必要があります。
――最近の建築業界の動きについて、どう見ていますか?
吉本さん 仕事量が減っている以上に人手が減っていると見ています。ボクの周りでも、仕事はあるんだけども、人手が足りなくてお断りをするケースが多いです。
――「建築は食えない」という話を聞きますが。
吉本さん そういう人は、技術が足りないとか、なにか足りないからじゃないですかね。
――そうなんですね。
吉本さん とくに内山建設の場合は、社長の営業力がスゴいので、仕事が途切れることはまずないです。人手さえいれば、どんどん仕事をとっていけます。
――建築部には何名いるのですか?
吉本さん 10名です。
――人手は足りていないわけですね。
吉本さん 足りてない部分はあります。今はなんとかやりくりしている感じです。この記事を見た建築技術者の中から、私達の仲間に加わってくれる人が増えることを期待しています(笑)。
今の時代は「させてみる(失敗させる)」ができない

パソコン作業中の吉本さん(本人提供)
――建築部を今後どうしていきたいというのはありますか?
吉本さん 若い技術者をどんどん育てていきたいとは思っています。ただ、建築は仕事を覚えるのにスゴく時間がかかるんです。そのための時間を短縮する方法をなんとか考えないといけないと思っているところです。
昔ながらの「やってみせ、言って聞かせ、させてみる」という教え方があります。個人的には良い方法だと思っていますが、もうそういう時代ではないのかなと思っています。今の時代は「させてみる(失敗させる)」がなかなかできないからです。ただ、ボクがカバーできる範囲であれば、若い子にはどんどんさせてみたいとは思っています。
自分で設計施工できるようになりたい

クレーン作業で吊り荷の安全監視をする松葉さん(本人提供)
――松葉さん、今後やりたいことはありますか?
松葉さん 将来的には、吉本さんのように自分で設計施工できるようになりたいです。そのためには、まず二級建築士を取ろうと思っています。
――愛弟子になりそうですね(笑)。
吉本さん 実は私、資格学校で二級建築士設計製図の講師をやっているんです。会社公認でアルバイトをやっているんです(笑)。ウチの社長も生徒さんとして出席しています。私としては正直やりづらいですが(笑)。
――吉本さん、松葉さんになにを期待していますか?
吉本さん 真面目な子なので、良い技術者になることを期待しています。資格を取って設計施工をやりたいという明確な目標があるのは、非常に頼もしいことだと感じています。「絶対にやるんだ」という強い信念を持って、日々の積み重ねを大事にしながら、目標に向かって取り組んでほしいと思っています。
――吉本さんにとって、建築の魅力はなんですか?
吉本さん カタチに残ることですね。そして、それを子どもに誇れることです。ボク自身、小さいころに父親に建築物を見せてもらった記憶がありますが、その建築物は今でも残っています。
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なにかが足りないってあたりまえやwww
なんだ、現場でなく監督か。では何とでも言えるわな。
建築で食えないくらいの人でも他業種に行けば食えるんだから、建築にしがみつく必要ないよ。業界として魅力がないのを人のせいにするのは良くないね。
足りなくて結構だよ。
建設業界じゃ食っていけから転職活動したら
製造業で年収200万アップだもの。
足りないのは俺かい?
建設業界の方じゃないかい?
他業種でも稼げる人は、建築業界を抜けるべきだと思う。建築業界でしか稼げない人に配慮すべきだ。人が足りてないとよく言われるが、実際はその逆で、足りてるからこそ他業種と比較して低賃金・長時間労働がまかり通っている。建築業界に自浄作用は期待できないので、ギリギリまで人が減って、限られた人たちしか来ないような業界になって、ようやく賃金や待遇が改善されるだろう。繰り返しになるが、他業種でも稼げるような人たちは、後輩たちのためにも、建築業界を辞めたほうがベターだと考えている。
他の業界でドロップアウトした人間の受け皿である限りそんな事にはならないよ。
他の業界で挫折して、仕事にあぶれたヤツが駆け込む最後の砦だろ?
建設業界の経営者は社員なんか使い捨ての駒程度にしかみてないから。
それはこれから先も変わらないね。
吉本さんも、なにかが足りないから、父親の経営する会社を受け継ぐとか、立て直すとか出来なかったんでしょうな。
> 年間30日程度と非常に休みが少なかったんです。
サラッととんでもない事言ってる気がする
まじでほんとに年間30日の休みなら労働基準法も守れないドクソブラックの犯罪上等会社って自白してるんですけど…。
いつまでもそんな環境が蔓延ってるからこの業界終わってんだっていい加減自覚したら?
>ギリギリまで人が減って、限られた人たちしか来ないような業界になって、ようやく賃金や待遇が改善されるだろう。
他の業界でドロップアウトした人間の受け皿である限りそんな事にはならないよ。
他の業界で挫折して、仕事にあぶれたヤツが駆け込む最後の砦だろ?
建設業界の経営者は社員なんか使い捨ての駒程度にしかみてないから。
それはこれから先も変わらないね。
それは嘘。建築業で他の業界で通用しないような、まったく使えないやつは見たことないよ(新人は別として)。他業種から建築に来たって人もほぼ見ないし。昔は「最後の砦」だったのかもしれないけど、今はそんなことない。今の時代、仕事にアブれたからって、土方でもするかとは絶対にならないでしょ。
待遇が改善されて人が集まるようになったら今度は「嫌なら辞めろ」式の選別が激しくなりそう
何が足りないかみんな本当は分かってますよね?
予算ですよねw
2位は時間かとw
3位は心の余裕w
沢山のコメントありがとうございます。
ここ数年で建設業を取り巻く環境は大きく
変わってきたことを実感しております。
賛否両論あると思いますが、どんな内容の
コメントも、この記事に関心を持ってくれた
からなんだと大変嬉しく思います。
これからも建設業界を盛り上る一助となれる
よう精進してまいります。