事務員から転身した若手女性技術者
前回、高知県の山奥を拠点に建設業を営む湯浅建設株式会社の湯浅雅喜さんの記事を出した。その記事中、事務員から技術者に転身した女性社員のお話が出た。当初の取材予定にはなかったが、その女性技術者への取材を依頼、即了承を得た。
ということで、若手女性技術者である乾すみれさんに対し、ふだんの仕事ぶりなどについてお話を伺った。なお、社長の湯浅さんにも、オブザーバー的に取材に加わってもらった。
事務員やけど、技術屋やってみんか

社長の湯浅雅喜さんとすみれさん
――湯浅建設には事務員として入社したそうですが。
すみれさん そうです。
――なぜ湯浅建設で働こうと思ったのですか。
すみれさん 工業高校で建築を学んだ後、馬路村役場で臨時職員をしていたんです。そのときに湯浅社長から「ウチで働かないか」とお声をかけていただいていたんです。それで入ろうかなと思いました。
――入社したら、その社長から「技術屋をやってみんか」と言われたと。
すみれさん そうです。
湯浅さん 入社直後から、冗談ぽくではありますが、言っていました。
――技術に変わったのはいつですか?
すみれさん 入社2年目です。技術になって今年で3年目になります。
――事務員から技術者になるのは大丈夫でしたか?
すみれさん もともと外の仕事に興味があったので、とくに問題はありませんでした。
とにかく現場仕事がやりたかった
――と言うか、建築の仕事には就かなかったんですね。
すみれさん そこは当然考えたんですけど、学校の先生から「女の人は建築現場よりはデザイン設計のほうが多い」と言われたんです。ただ、私としては現場仕事がやりたかったので、「デザイン設計だったらいいや」ということで、とりあえず地元に帰ることにしました。それで村役場の臨時職員をやっていたわけです。
――建築と言うか、現場仕事をやりたいという感じだったんですね。
すみれさん そうですね。父が大工だったので、大工みたいな仕事をしたいなとやんわりと思っていました。
――そういう流れがあったのであれば、土木の現場仕事もつながってきますね。
湯浅さん 私もそれを知っていたので、現場仕事に誘ったんです。
――技術をやるに際し、決心した瞬間とかはあったのですか?
すみれさん 座りっぱなしの仕事に対して、気持ち的にだいぶキテいたので、カラダを動かしたいというのもあって、決めた感じです。
――土木については、入社してからいろいろ知った感じでしたか?
すみれさん そうですね。書類づくりなんかを通じて、土木の仕事がだんだんわかってきたかなという感じです。まあ表面上でしたけど。
――最初から施工管理をやる話でしたか。
湯浅さん そうです。施工管理しか考えてなかったです。絶対うまくいくと確信していました。
すみれさん 私もそうでした。
――施工管理の仕事についてもある程度イメージはあったわけですか?
すみれさん なんとなくですけど、こんな仕事かなというイメージはありました。
「女の人は建築現場よりはデザイン設計のほうが多い」。希望者が多くて就職は大変なんですよね。